【NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンス 中根英登選手インタビュー】後編　そこまでが本当に遠かった

ーーー中根さんの強さっていうのはそういうところにあるのかもしれないですね。芯が強いというか。

中根：いいように捉えていただいてありがとうございます（笑）
走れない、恥ずかしいところを見せたくない、というビビリなのかもしれないですけれど。

目標はオリンピック、そして将来は

ーーー2020年オリンピック(※)。
チームとして選考についてミッションを課せられて走ってる印象がありますが？

中根：チームとしても目標の一つにはなっています。

ーーーポイント争いが白熱してるところです。
センシティブな話かもしれませんが、今レースがストップしている中で、チームとして個人としてどのような準備をしていますか？

中根：次のレースがいつ再開されるかわからないですし、4月30日まではUCIがレース中止です。
次、チームが出るレースに向けて、準備しているだけというか。
特に」ああレースがない～どうしよう～ポイント取れない～」とは思っていないですね。こればっかりはしょうがない、というか。

ーーー（オリンピック）コースとしては、向いているのかな、と思っていますが？

中根：僕的にもそれは思っています。

ーーー事態が落ち着いて、準備が進められることを願っています。

中根：オリンピックに関しては去年から選考がスタートしているじゃないですか。
最初はチームとしても目指して欲しいという思いと、ぼく自身もかなり意識していたんですが、去年そこを意識しすぎたあまりというか。序盤のレースでいいリザルト残せたあとに、食中毒、内臓のトラブルがあってから全然調子が戻らなくなって。
オリンピックに行くにはポイントを取らなきゃいけないという変なプレッシャーを自分にもかけてて、まったくうまくいかない。
「もういいや、って気にしないで走ろう」って思ってから、いつも通りの感覚を取り戻せたので、今はそんなに強く意識しないというか。
チームで与えてくれるレースでちゃんと結果を残すということが、プロ選手としてはそれが一番の仕事ですし。そういう感じで意識を変えたというか。
去年（2019年）は前半苦しんで、ツール・ド・台湾、TOJ、ツール・ド・コリア、全日本の時は事故で走れずに、3月～6月の４ヶ月をダメにしてしまった。５～６レースのUCIポイントが取れなかったんです。

レースで1ポイントも取れなかった。これまでそういうことはほとんどなくて、これはいよいよダメだな、という感じになっていました。
そこがある意味（ターニング）ポイントだったかな、と。

そこの時点で０ポイントだったのに、今暫定３位にいるということを考えると、そんなに気にしなくても良かったのかなと。ひとつひとつのレースをちゃんと走る、という意識でやってます。

ーーー2020年のポイント現時点（3月末）で、2019年の倍も獲得しているんですね。

中根：どれだけ去年が最悪なシーズンだったかってことですね（笑）。
後半はすごく良かったんです。イタリアのワンデーレースでもヨーロッパのポイントとりましたし、最終戦のジャパンカップもいい走りで6位入賞しました。

ーーーこの巻き返しに機運があるなというイメージを持ちました。

中根：ちゃんと走ればちゃんと取れる、ということがわかりました。病気はどうしようもなかったというか、食中毒は想定外でした。

ーーー怪我と食べ物に気をつけて….. 。そんな過酷なスポーツですが、生涯走り続けたいと思いますか？

中根：これ、言っていいのかな。僕はそれほど思ってないんですよね。最高のパフォーマンスが出せなくなった時はそこで終わりだと思っています。パフォーマンスの低下が見えたら、そうなったらキッパリやめにしようと思っています。

ーーー裏を返せば最高のパフォーマンスが出せるうちは続けるということ。あと10年は大丈夫ですよ！

中根：えっ（笑）。長くやろうとは特には思っていないです。
今自分がいる環境はすごくありがたい、このチームに所属できていることもありがたいことです。
NIPPOがスポンサーをしているということもありますけど、それに対しては結果で返していきたいと思っています。
できるだけ長くというよりは、所属させてもらっているうちは、ということになりまね。

 

愛嬌のある佇まいでどこか親しみぶかい中根選手。インタビューはその穏やかさ、そのままの印象です。しかし自転車競技と対峙するときには並々ならぬ決意、覚悟を感じます。最高のパフォーマンスを発揮できるうちに出し切る。という強い意志を感じました。

中根英登選手
1990年5月2日 (年齢 29歳)
twitter：@hideto_252
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2011   ダンジェロ&アンテヌッチ・NIPPO
2012-2013  チームNIPPO
2014-2016  愛三工業レーシングチーム
2017-2019  NIPPO・ヴィーニファンティーニ
2020-  NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンス
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プロ勝利
2020ツール・ド・ランカウイ 区間優勝（第6ステージ）

※取材を行った3月中旬はまだ東京2020の延期は決定していませんでした。

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写真：©️Team NIPPO
UCIプロチーム NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンス公式サイト：http://teamnippo.jp/