2020年04月07日
【NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンス 中根英登選手インタビュー】中編 海外での選手生活
海外で共に走る日本人チームメイト・そして海外選手生活について
ーーー今季は別府選手も含めて石上選手と岡選手といった若手を含めた日本人選手がいる多国籍なチームになりました。そこで若手に対してはどんな風に見ていますか?
中根:二人ともまだまだこれから伸びる選手ですし、石上はフランス歴が長く4年目、堂々としていてアンダーあがりとは思えない落ち着きもあります。実際、今年一緒にランカウイを走って素晴らしい仕事ぶりを見せてくれたので、本当にこれから期待できます。もっともっと強くなってほしい。
岡はアンダーの時にヨーロッパにチャレンジして一度挫折してる経験があって、ブリッツェンを経て、プロチームとしては初めてNIPPOへ。彼も本当にいいものを持っている。
今年はチームから過密スケジュールにも見えるほどたくさんのレースに呼ばれている。他の選手よりも割り増しでレースを走っていて疲れ気味な状態ですけど、その経験が今年の後半や来年に必ず活きてくると思います。今は力をつける期間と割り切ってやるといいと思う、と彼にも伝えています。
コンディションがバッチリ、精神的にもバッチリの時は本当に強い選手だと思います。
今、僕ができることは少ないですが、彼らが順調に成長できるようにサポートできるといいなと思っています。
(C)Team NIPPO
ーーー海外生活のストレスはどんなところに感じる?
中根:僕自身、12年、13年の時は確かに辛かったですね。言葉も話せない、勝手も日本と違いますし。
でもヴィーニファンティーニに移籍して、3年間イタリアにいた時は、後半はむしろリラックスできるほどに慣れていたのは大きかったですね。
ーーーそうなるために必要だったことは?
中根:言語、コミュニケーションさえ取れればある程度のことは、何かあっても、「こういうときどうしよう」とか「誰かに聞きたいけど聞けない」っていう日常生活でのストレスが解消されるので。言葉を操れるのは大きいですね。
あとはその国の勝手を知ること。“日曜日はお店がやってない”っていうことひとつとっても「なんでだよ!」と思うのか、「この国はそういう国だしな」と思うのか、では受けるストレスが違ってくると思うので、その国の生活スタイルに慣れる、ということですね。
日本とは全く違いますし、そういうところも逆に楽しめるようになればこっちものかな、という印象ですね。
ーーー多国籍なチームですが、何カ国くらいの選手が在籍していますか?
中根:日本を入れて11カ国ですね。
ーーー想像以上に多国籍ですね。コミュニケーションはどうしてますか?
中根:フランス籍なので、フランス語と英語です。チームからのアナウンス類、メールやミーティングは英語とフランス語ですね。
あとはスペイン系の選手スタッフも多く、僕自身は3年間でイタリア語がかなり理解できるようになってきていたので、イタリア人選手やスペイン系選手(スペイン語はイタリア語と似ているので)とイタリア語でコミュニケーションをとったりしています。
(C)Team NIPPO
ーーーいろんな言語が飛び交っていそうですね。さて、コロナウィルスの影響はどうでしょうか。選手がそれぞれ自国に戻っているようですが、自主トレのメニューをコーチが送ってきている感じですか?
中根:今までと一緒というか、コーチと一緒に住んでいるわけではないので、トレーニングピークス上にアップされるメニューをやっていくだけですね。コロナの前も後も。
狙ってくるスケジュールがどんどん変更されて先送りになっているので、それによってトレーニングメニューを変えていこうという密な連絡はメールでやりとりしています。
別にコロナの前も結局、マルセイユにいたときもコーチは自宅にいるし、ぼくはぼくで別の場所に住んでいるので、トレーニングピークスでやってましたし、今も日本とフランスですが、時差によるやりとりのレスポンスに少し遅れがある程度で(変わらないです)。
ーーー現在はご出身地の愛知にいらっしゃるんですか? ご家族と?
中根:妻と子供二人と一緒です。家族からは歓迎されていますね。シーズン中ですが家にいる! と。
ぼく的にも、そんなに「レースがないやー」っていう気持ちも特になくて、家に居られて(ラッキーって言うのはちょっとおかしいですけど)。
通常だと数ヶ月単位で家に帰れない時期ですから。この3~4年間ずっとそうだったので。
まだ日本は外でトレーニングできるので、本当にいつも通りですね。
2020年3月中旬取材
写真:(C)Team NIPPO
UCIプロチーム NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンス公式サイト:http://teamnippo.jp/
著者プロフィール
山本 健一やまもと けんいち
FUNRiDEスタッフ兼サイクルジャーナリスト。学生時代から自転車にどっぷりとハマり、2016年まで実業団のトップカテゴリーで走った。自身の経験に裏付けされたインプレッション系記事を得意とする。日本体育協会公認自転車競技コーチ資格保有。2022年 全日本マスターズ自転車競技選手権トラック 個人追い抜き 全日本タイトル獲得