2024年10月21日
【宇都宮ジャパンカップ】世界で戦うネオプロ留目夕陽、初ジャパンカップでチームに貢献!
国内最高峰の自転車ロードレース「宇都宮ジャパンカップサイクルロードレース」が、10月18~20日、栃木県宇都宮市で開催された。20日のロードレースでは、UCIワールドツアー1年目の留目夕陽(EFエデュケーション・イージーポスト)がジャパンカップ初出場。チームメイトの優勝にどのような貢献をしたのか。
パウレスが2022年以来2度目の優勝!
第31回大会となる今年は、大会名称に開催地名をつけて「宇都宮ジャパンカップサイクルロードレース」として新たなスタートを切ることに。国内唯一のUCIプロシリーズのレースで、今年もツール・ド・フランスなどで活躍するUCIワールドチームが7チーム参戦するなど、レベルの高いレースが期待された。
20日のロードレースはお馴染み宇都宮市森林公園特設コースが舞台で、レース距離144.2km(1周10.3km×14周)で争われた。気温は肌寒く風がやや強かったものの、昨年の雨とは一転、秋晴れのレース日和となった。
スタート直後からワールドチームを中心に積極的に展開し、2周目にサイモン・イェーツ(チーム・ジェイコ・アルウラー)、山本大喜(JCL TEAM UKYO)ら4人の逃げが形成。しかし、この動きは4周目に早くも吸収され、その後も時折アタックにトライする選手がいるものの、約35人のメイン集団でレースは進んでいく。
残り5周ごろから集団のペースが上がって集団の人数が絞られ、残り4周で先頭はワールドチーム勢を中心とした5人に。
終盤までこの5人による駆け引きが繰り広げられる中、最後は小集団スプリントを制したニールソン・パウレス(EFエデュケーション・イージーポスト)が自身2年ぶり2度目のジャパンカップ制覇を飾った。
秋のセミクラシック、グラン・ピエモンテ(イタリア)を制した好調さを見せつけたパウレスは「昨年はこの時期に娘が生まれたので(ジャパンカップに)来られなかったが、今年は家族も見ている前でレースができたことがうれしかった」と勝利を喜んだ。
期待の新世代、留目夕陽「来年はグランツールに出たい」
育成チームのEFエデュケーション・NIPPOディベロップメントチームから昇格するかたちで、今年EFエデュケーション・イージーポストに加入した22歳の留目夕陽。今シーズン、UCIワールドチームに所属する日本人選手は、新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)と留目の2人となった。
凱旋レースのひとつとなるジャパンカップは、初参戦。「去年も出る予定だったんですけど、(直前のツール・ド・九州で)落車して出れなくなったので、今年が初めてです」
初コースにもかかわらず、中盤まではメイン集団内でレースを進め、古賀志林道の上りでは集団の前に抜け出すような動きも見せた。
「(遅れていた)チームメイトが追いついたので、僕が前を引いて後ろをどんどん伸ばしていました。結局、集団がくっついたんですけど、あれは集団を絞るための動きでした。全体的にチーム全員でまとまって前の方を走れて、よかったと思います」
パウレスの勝利に繋がる働きを見せる一方、残り5周でペースが上がる中、留目自身は一時9人の先頭集団に入り上位フィニッシュも期待された。しかし、その後の古賀志林道で遅れ、後続の集団に吸収。最終的に24位でレースを終えた。
「こうして日本のお客さんの前で走れて、自分の中で意気込んでいた特別なレースだったので、やってやるぞという気持ちはあった。上りで力の差を見せつけられてしまったので、そこを改善してもっと強くなれたらと思います」
ネオプロ(プロ1年目)の今年は、1月からヨーロッパを中心にレースを転戦した。
「まだ足りない部分が多い。1年間戦って、すごいいい経験させてもらっているし、いいレースを走らせてもらっている。肉体的にも、精神的にも強化された感じがします。今後もっともっと成長して、日本のためにもがんばらないといけないと思います」
2年契約2年目となる来季は、ビッグレース出場にも期待がかかる。
「来年のレース日程はまだ何も決まっていないのですが、僕はどちらかというと上りの方を頑張りたいので、欲を言えばグランツールに出られたらなと思います。そのためには長い21日間のレースなので、トレーニングもしないといけないし、体重、体格も変えないといけない。様々な準備が必要だけど、グランツールに出られたらなと思います」
クリテリウムは逃げ集団からスクインシュが勝利! トレック勢5連勝!
19日、宇都宮市大通りで開催された「宇都宮ジャパンカップクリテリウム」(1周2.25km×15周=33.75km)。小雨が上がった曇り空の下、約5万3,000人の観客が沿道を二重三重に取り囲む中、今年も高速のレースが展開された。
レースはスタートから激しいアタックの応酬で、中盤にはワールドチーム勢を中心とする11人の強力な先頭集団ができる。メイン集団には約30秒の差をつけ、このクリテリウムでは珍しい逃げ切りの展開に持ち込まれる。
最後は先頭集団でのスプリントからトムス・スクインシュ(リドル・トレック)が勝利した。トレック勢はこれでクリテリウム5連勝、通算7勝目となった。
写真と文:光石達哉
著者プロフィール
光石 達哉みついし たつや
スポーツライターとしてモータースポーツ、プロ野球、自転車などを取材してきた。ロードバイク歴は約9年。たまにヒルクライムも走るけど、実力は並以下。最近は、いくら走っても体重が減らないのが悩み。佐賀県出身のミッドフォー(40代半ば)。