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2020年11月10日

【MCT 中鎖脂肪酸】オフシーズンにやりたい、MCTで脂肪をエネルギーとして利用しやすい体質に

持っている能力を引き出す油のパワー

サイクリングは長時間走り続けることができるスポーツだが、効率の良いペダリング技術はもちろんのこと、エネルギーも重要となる。いくら良いエンジンを持っていても、錆びていたらパフォーマンスを発揮することができない。
エネルギー源としてはまっさきに「糖」が頭に浮かぶが、大きな力を発揮できる「糖」を温存しながら、長時間運動できる燃料があるとしたら? それは「脂質」である。

脂質は糖と比べ約50倍のエネルギー量を体内貯蔵することができる。
体内に準備されている糖質の量は約2,000キロカロリーと言われているので、脂質の体内貯蔵エネルギーは約100,000キロカロリーとなる。この膨大なエネルギーが効率よく使えたとしたら? 大きな武器になることは間違いない。

実際のところ、サイクリング中の運動強度をグラフで見てみると、有酸素運動を行っている時間の割合が大きいことがわかる。

右のグラフは運動強度を示している。ロングライドでは特にZ1やZ2の有酸素運動の割合が大きい データ:Funride編集部

当然、持久力が試されるサイクリングにおいては、脂肪を燃焼させて走る能力が高いほうがいい。
よって脂質を効率的に使えるからだづくりが重要になる。ただし脂質といっても様々で、やみくもに摂取するのはお勧めできない。
そこで、いま注目のエネルギーに変えやすい脂質であるMCTを紹介したい。

MCT=中鎖脂肪酸…ってなに?

MCT(Medium Chain Triglyceride)の主成分である中鎖脂肪酸は一般の植物油に含まれるオレイン酸やリノール酸と同じ脂肪酸の仲間で、母乳や牛乳などにも含まれており、少量だが普段から摂取している成分だ。

MCTは、一般的な油よりもすばやく消化・吸収され、すぐにエネルギーになりやすいという特長を活かし、医療現場・スポーツ分野における栄養補給や、生活習慣病予防など、様々なシーンで利用されている。

ココナッツやパームフルーツなどヤシ科植物に含まれる成分。
ココナッツオイルには、約60%の中鎖脂肪酸が含まれる。

一般的な油の約4倍早くエネルギーになる。

MCTは分子の長さが、LCT(長鎖脂肪酸:大豆油、なたね油)の半分で、水に溶けやすい糖質とおなじく、小腸から門脈を経由して直接肝臓に入り分解される。一般的な油は、小腸から吸収されるためリンパ管や静脈を通って脂肪組織や筋肉、肝臓に運ばれ、必要に応じて分解・貯蔵される。消化・吸収後の経路が違うため、MCTは一般的な油と比べて約4倍早くエネルギーになるのだ。

さらに分解の時間にも大きな違いがある。MCTの場合は3時間後に最大となり、投与後10時間以内にほとんどが分解されている。

脂質の誤解……。実は大事な栄養素

食事はバランスよく摂取することが大事。
脂質は三大栄養素の一つであり、肌や髪を健康に保ち、脂溶性ビタミンなどの栄養素の吸収を助けてくれることに加え、脂質に含まれる必須脂肪酸は脳や神経の働きを支える重要な栄養素である。
ダイエットの大敵とされがちな脂質だが、カラダに不可欠な必須脂肪酸が不足すると体調の維持ができなくなる。
近年の栄養学の進歩から、肥満は脂質よりも糖質の摂りすぎが問懸念されるという説もある。
また、植物油の多くはコレステロールを下げる成分を含んでいることも知られている。
上記のように油が悪いというのは誤認で、むしろ少ない量で多くのカロリーを摂れるため低栄養素状態が懸念される高齢者などには、特に有効な栄養素といえる。摂りすぎは禁物だが、適量摂取を心掛けていただきたい。

脂質を使うとは? 継続的なMCT摂取がポイント

脂質は生命活動に必要不可欠なエネルギー源。もちろん糖も同様に必要なエネルギー源だ。短時間・高強度を必要とする場面では糖が多く使われ、一定のペースで長時間走るような持久力を必要する場面では、脂質が重要な役割を果たす。

MCTの2週間、継続摂取による運動試験では


持久的な運動のパフォーマンスを向上させようとする場合には、エネルギー源としての「脂質」を利用しやすくするようなからだづくりが重要となる。実際、持久的運動によるトレーニングの効果として、筋肉での脂質利用が高まることで糖質の利用が節約されることが知られている。

MCT、もしくは一般的な油(LCT)を含む食品を2週間摂取した後に、自転車をこぎ続ける器械(エルゴメーター)による運動の試験を実施。結果は以下の通りだ。

「中強度」(息が上がらない程度の)運動では血中乳酸濃度は低く、引き続いての「高強度」(息が上がってしまうような)運動では、より長く運動できることがわかった
「高強度」(息が上がってしまうような)運動では、より長く運動できることが確かめられた

MCTを継続的に摂り入れることで持久的運動のパフォーマンスがアップ

MCTを習慣的に摂ることによって、運動中のエネルギー源として「脂質」を利用しやすくなる変化が体内に生じていて、これが終盤、ラストスパートまでの「糖質」温存につながったのではないかと推測される。
持久的運動の向上、つまりはトレーニングやレースの後半のねばりにつながっていく。

この冬は、脂質をエネルギーに変えやすい体質にするために、MCTの継続摂取を採り入れて、持久力アップを目指してみてはいかがだろうか?

(資料引用)日清オイリオ MCTサロンhttps://www.nisshin-mct.com/

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