2016年03月30日
第19回ツアー・オブ・ジャパン公式記者会見!
平成28年3月30日、第19回を数えるツアー・オブ・ジャパンの公式記者発表がスバル スター スクエアで開かれた。公式記者発表は、メディアのみならず、ファンや一般の方々も招待し、ロードレースの魅力を広く知る機会を設けている。ここではレース概要や、活動などをゲストトークを交えながら、紹介された。
石黒克巳氏(ツアー・オブ・ジャパン組織委員会会長)
「私がTOJの会長となり4年が過ぎました。今年の特長は京都が加わり全8ステージとなった。移動日(休息)はなし。この8ステージというのは世界的に見てもUCIからOKがでるのは難しいが、19年の歴史をふまえて認められました。ツアー・オブ・ジャパンはUCI2.1ランクと高いランクになりました。海外からもワールドチームが1、プロコンチネンタルを含め8チーム、国内と合わせて16チームでレースが行なわれます。しかしこれほど大きなレースが行なわれているのに、自転車競技の人気がなかなかわかない。格の高さながら観客動員数は少ない。とはいえ昨年は30万人を動員して徐々に盛り上がっているのは感じられる。来年は20周年。ここでいうのは早すぎるかもしれないが、最後の東京ステージをなんとかお台場にもっていけないかなどと勝手に希望している。そういう形で実現して、ツアー・オブ・ジャパンが隆盛していけばうれしい」
大会ディレクターの栗村修氏
現時点での出場チーム予定は、UCIワールドチームは1チーム、ランプレ・メリダ(イタリア)、プロコンチネンタルチームは2チーム、ニッポ・ヴィーニファンティー二(イタリア)、ユナイテッド・ヘルスケア・プロフェッショナルサイクリングチーム(アメリカ)かつて別府史之ともチームメートで、グランツールでも上位に位置する力をもつブライコビッチが所属している。
海外コンチネンタルチームはピシュガマン・ジャイアントチーム、スカイダイヴ・ドバイ・プロサイクリングチーム、アルアハリ・クラブ、タブリーズ・シャハルダリ チーム、アヴァンティ・アイソウェイスポーツ、トレンガヌ サイクリングチームに交渉中だ。迎え撃つ日本はランキング上位のコンチネンタルチーム7団体に加え、日本ナショナルチームが出場する。
新しい取り組みも
ドーピング対策を改めて取り組む。MPCC(世界的反ドーピング倫理運動)への参加だ。これはアジアのレース主催者としては初めてである。これはツールドフランスのASOなどが加入している。チーム以外にも加入が可能だ。
地域に関係がある人物をTOJアンバサダー、好評だったTOJキッズを設ける。またTOJホームステージという取り組みにも注目だ。出場する国内チームが各ステージごとにホームチームとなり、地域とより密接なレースを盛り上げる取り組みを行なう。現在、暫定で堺ステージはシマノレーシングチーム、京都ステージはNIPPOヴィーニファンティーニ、美濃ステージは愛三工業レーシング、いなべステージはキナンサイクリングチーム、南信州ステージはチーム右京になる予定だ。
16年間を振り返るトークショー
16年間におよぶスバルとTOJの歴史をテーマにトークショーが行なわれた。それぞれ関係がつよいシマノから黒川邦彦さん(SHIMANOニュートラルサービス)、マヴィックからは村上嘉之さん(MAVICニュートラルサービス)、そしてかつてミヤタ・スバルレーシングチームに所属していた大会ディレクターの栗村氏のトークショーが開かれた。1999年から3人はTOJに関わり、栗村氏が現役当時のエピソード、レースをサポートする側のお二人からはスバルのパフォーマンスのおかげで厳しいレースサポートを乗り切ったという逸話で盛り上がった。
「公平中立なサービスでレースを盛り上げていきたい」(黒川さん)。「全ステージ、スバルとともに安全安心、平等な対応をして、むしろ我々が活躍をしないような展開を期待したいと思います」(村上さん)。
地域貢献とロードレース
第2部はロードレースと地域貢献の未来について、増田成幸選手(宇都宮ブリッツェン)と伊丹健治選手(キナンサイクリングチーム)の2名が登壇した。増田はTOJでは2年連続の最高位だ。チーム運営とレース運営はセットになるべきと考える。そして体現しているのが彼らの所属しているチームだ。昨年発表したネクスト10という大会フィロソフィがありその1つに地域貢献がある。宇都宮ブリッツェンはまさに地域貢献チームのパイオニア。昨年は単独チームとして2億円の売上げを記録した。あらためて宇都宮ブリッツェンの活動を振り返った。
キナンサイクリングチームは、今回のホームステージを企画する以前からいなべステージとは連携が深かった。TOJのレースの期間だけではなく、いなべのコースでレース主催やイベントを行なっている。
「今年は京都が加わり完璧に休息日のない8日間のステージレースとなった。ここで真のステージレーサーの資質が問われる舞台が整った。僕自身は長い距離や休みのないレースは回復力には自信があるので得意としている。最後に総合優勝した福島晋一さんは僕の大先輩でもあるので、これだけすばらしい舞台を用意してもらったので日本人選手の活躍しかないなとも思いました。また自分が総合優勝することを目指して残り2ヶ月を過ごしたい」(増田選手)「僕はホームコースのいなべステージが脚質にあっているのでステージ優勝を目指したい。チームでは上れる外国人選手がいるので総合を取りにいくのではないか。なかでも今年加入したスペイン人選手は富士山ステージで期待している」。(伊丹選手)
新設した京都ステージの詳細の紹介が行なわれた。
5月30日。2日目の第2ステージは普賢寺ふれあいの駅をスタート。同志社大学のキャンパスをとおり、16.8kmの周回コースに入る。周回序盤から標高差約150mを駆け上る鳥谷池が山岳セクションの導入だ。一旦下り、再び上った先がKOM(山岳ポイント)の高船バス亭。すぐさま一気に200mを駆け下りる、テクニカルなダウンヒルセクション、途中からは田園風景が広がり観戦ポイントとしてもいいだろう。その後も一列棒状を余儀なくされる幅員の狭いコースレイアウトなど、総合順位に大きく影響するステージとなりそうだ。栗村氏は「ややキツすぎるのではないか、という懸念もある。序盤の第2ステージであること、コースの特性からリアルスタートをきってから105kmとやや短めの設定にしている。だが地域のよいアピールになるのでは」と、新設コース設置の苦労を語った。
2014年に総合優勝を果たした唯一の日本人、福島晋一さんからビデオメッセージが届けられた。
ランプレ・メリダの新城幸也がサプライズで登場
「担当医師からは、野性的な回復力ですねという評価をいただいている。復帰戦はまだ決まっていませんが、あと2〜3週間したら決まると思う。6月のレース復帰を目指し、7月を過ごし、そしてオリンピックへという計画をしています。また2007年のTOJ東京ステージで区間優勝してからずいぶん経ちますが、また日本人選手が活躍するレースが見たい」と激を送った。
第19回ツアー・オブ・ジャパン(UCIアジアツアー2.1)は2016年5月29日から6月5日の日程で開催される。ステージは以下のとおりだ。
第2ステージ 【京都】5/30(月)9:25
第3ステージ 【美濃】5/31(火)9:15
第4ステージ 【いなべ】6/1(水)9:30
第5ステージ 【南信州】6/2(木)9:15
第6ステージ 【富士山】6/3(金)10:00
第7ステージ 【伊豆】6/4(土)9:30
第8ステージ 【東京】6/5(日)11:00
総走行距離 = 747.45㎞
テレビ放送は日本テレビ系列で放映される。事前番組はBS日テレ、日テレジータスにて放送される予定だ。例年放映している総集編は6月下旬を予定している。またインターネットではTOJメルマガ、プロ観戦者への道を行なう。これは有料放送となるが、レースの観戦ガイドを放送する予定だ。
http://www.toj.co.jp/?tid=100613
また、5月5日(木・祝)明治神宮外苑 聖徳記念絵画館前通りにて、サイクルドリームフェスタ2016が開催される。5月は昭和56年に自転車基本法制定を記念して設立した自転車月間。体験型自転車安全講習を通じて、自転車の楽しさを体感してもらいながら、自転車の安全な利用について考えてもらうコーナーも用意される。またJスポーツサイクルロードレースでもおなじみの、DJサッシャ氏と、栗村修氏のトークショーも展開予定。
http://bikecology.bpaj.or.jp/bikemonth/2016/2016info.html
(取材・撮影 編集部)
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。