2026年04月24日
【桜のアルプスあづみのセンチュリーライド2026】インサイドレポート

北アルプス山麓・安曇野で開催された「桜のアルプスあづみのセンチュリーライド2026」。大会プロデューサー 鈴木雷太氏 によるインサイドレポートをお届けします。
桜を追いかけ、春の安曇野を走る。桜のAACRに込めた思い
2026年4月19日、「桜のアルプスあづみのセンチュリーライド2026」を開催しました。アルプスあづみのセンチュリーライド(通称:AACR)は、順位やタイムを競うレースではありません。
北アルプス山麓・安曇野の自然と景観の中を、それぞれのペースで楽しみながら走るサイクリングイベントです。私たちがこの大会で一貫して大切にしてきたのは、「速さ」ではなく「豊かさ」を持ち帰っていただくこと。今年の桜のAACRも、その原点をあらためて確かめることができた、そんな一日になりました。

夜明け前から梓水苑のスタート会場にはライダーたちが集まりはじめ、まだひんやりとした空気の中に、これから始まる長い一日への期待がゆっくりと満ちていきました。160kmクラスは松本市の梓水苑をスタートし、120kmクラスは安曇野市の国営アルプスあづみの公園 堀金・穂高地区から白馬を目指します。スタート前の風景を見るたびに、「今年もこの日を迎えられた」と実感します。

第一組の参加者とサポートライダーと 
安全走行のお願いと注意事項の説明
走り出してほどなく、桜並木が参加者を迎えます。そして次々とAACRらしい景色が現れます。

信号が少なく、リズムよく進める道。安曇野らしい田園風景と清流、遠くに見える北アルプスの峰々。AACRの魅力は、単に長い距離を走ることではありません。この土地の春を、風の匂いも、路面の感触も、沿道の空気も含めて、丸ごと味わっていただけることにあります。
今年の「桜のAACR」は、その名にふさわしい一日になりました。桜だけでなく、花桃、新芽の緑、やわらかな春の光が重なり、安曇野から白馬へと続く景色は、まさに”走る春の回廊”でした。参加者の皆さんから「最高のお花見ライドだった」「絶景に次ぐ絶景だった」といった声が届いたことは、準備を重ねてきた私たちにとって何よりの喜びでした。

もちろん、AACRは景色を眺めるだけのイベントではありません。160km、120kmという距離を、自分の脚で安全に走り切るロングライドです。美しい風景に背中を押されながら、自分の体力と向き合い、補給を考え、ペースを整え、最後まで前へ進む。その積み重ねがあるからこそ、AACRのゴールには独特の充実感があります。
その一日を、より特別なものにしているのがエイドステーションの存在です。AACRのエイドは、単なる補給ポイントではありません。穂高、大町、鹿島槍、白馬、安曇野と続くエイドには、地域の皆さんやボランティアスタッフの温かさがあり、そこに立ち寄るたびに、この大会が多くの人に支えられて成り立っていることを実感します。

穂高エイドはチューリップが満開 
ボランティアによるスープの振る舞い 穂高エイドはチューリップが満開
エイド食もまた、AACRの大きな魅力のひとつです。やさいぱん、ポロネギポタージュスープ、豆腐汁、大福餅、ねぎ味噌おにぎり、漬物、ピザ、コンソメスープ、信州おやき、わらび餅、信州りんごジュース、わさびチーズ、赤飯まんじゅう、シンシューエナジー、からし稲荷。全15品目を7か所のエイドに散りばめ、走る楽しさに”食べる楽しさ”も重ねました。

やさいパンとポロネギポタージュスープ 
穂高エイドはフォトセッションタイムに忙しい 
大町エイドでは豆腐汁と大福餅。この豆腐汁が美味いんだな! 
大町エイドの皆さんと 
昔の相棒、辻浦圭一選手と、サイクリングガイド協会渋井氏と
特に、エイドで交わされる何気ないやりとりには、この大会の本質が表れています。「頑張って」「この先もきれいですよ」「もう少しで白馬です」。そんな言葉の一つひとつが、参加者の皆さんの背中をそっと押してくれます。

「美味いね~」「頑張ってね~」のキャッチボールが参加者の気持ちを後押しする 
鹿島槍エイドは伝説のネギ味噌おにぎりと漬物 【写真18】鹿島槍エイドの皆さん 
各エイドでイベントの運行チェックを行いながら、ルート上の安全などを確認しつつ先を急ぐ 
朝は肌寒さもあるが日中は快晴で気温も上がり絶好の花見サイクリング日和となった 
仁科三湖を抜ければ折り返しの白馬は目前 
雪が少なかったとはいえ残雪が眩しい白馬 
白馬エイドの皆さん 
白馬エイドは人気のピザ 
「信号」や「止まれ」が少ないのもAACRならでは 
姫川源流と北アルプス
今年は春とは思えない暑さを感じる時間帯もあり、さらに前日には地震もあって、主催者としては決して平穏な気持ちだけでスタートを迎えたわけではありません。それでも大きな混乱なく大会を進行できたのは、参加者の皆さんが高い安全意識を持って行動してくださったこと、地域の皆さんが変わらず支えてくださったこと、そしてスタッフ、ボランティアの皆さんがそれぞれの持ち場で責任を果たしてくださったおかげです。

メカトラはつきもの。仲間と直す。出来ない時はMAVICカーがヘルプに来てくれるのもAACRの充実したサポート体制 
地元の子供たちが沿道で応援してくれる 
鹿島槍エイドはWエイドになっており往復で活用される。復路は信州おやき 
家族総出でサポート 
仲間と美味い信州おやきをいただく
AACRは、主催者が用意するイベントである前に、参加者の皆さんと一緒につくり上げる一日です。速く走る人も、仲間と会話を楽しみながら進む人も、景色を見るたびに足を止める人も、それぞれの楽しみ方があっていい。北アルプス山麓と安曇野の魅力を、自転車という最高の移動手段で味わっていただく。そして「またこの場所に帰ってきたい」と思っていただく。それが私たちにとって何より大切な願いです。

安曇野はやっと田んぼに水が入りだす時期でもある 
桜だけでなく花桃も咲き乱れる 
安曇野エイドは信州りんごジュース、わさびチーズ、赤飯まんじゅう、シンシューエナジー。わさびチーズはピリッとわさびを感じつつ、思わず「生中!」と言いたくなるテイストだ! 
医療従事者によるAEDサポートライダーはAEDをしょっての参加。彼らがいるお陰で安心して運営できる。 
ゴール地点はからし稲荷。「からし稲荷」は、長野県松本地域を中心に親しまれている郷土料理です。甘辛く煮た油揚げの刺激的な辛みが特徴で、地元では一般的ないなり寿司と区別して呼ばれる「ソウルフード」です。 
松本サポートライダーズ(オレンジジャージ)、セーフティーサポートライダーズ(イエロージャージ)、MAVICサポートチーム、医療チーム、元サポートチームなど皆さんと。
そして、桜のAACRの次に待っているのが「緑のAACR」です。春のやわらかな色合いから一転し、新緑に包まれた安曇野と白馬は、またまったく違う表情を見せてくれます。同じルートを走っても、季節が変われば風の匂いも、山の見え方も、田畑の色も変わる。だからAACRは、何度走っても新しい。
「緑のアルプスあづみのセンチュリーライド2026」は現在もエントリー受付中です。160km、120kmに加え、サイクルトレインというAACRならではの楽しみ方も用意しています。桜を追いかけたその先にある、鮮やかな新緑の安曇野へ。ぜひ次は「緑のAACR」でお会いしましょう。

著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。