2019年09月30日
快晴!第9回赤城山ヒルクライム開催
今回で9回目を向かえる「まえばし赤城山ヒルクライム」は、1,000m級の山々が連なる赤城山山頂をゴールとする標高差1,318m、平均勾配6.4%、最大勾配9.7%、全長20.8kmのコースで9月29日(日)に群馬県前橋市で開催された。
この大会は前日土曜日開催の「まえばしクリテリウム」との同時開催で、一般部門の参加定員は3,700名と、ヒルクライムとしては国内最大級の大会のひとつだ。
また、クリテリウム同様、JBCF(全日本実業団自転車競技連盟)のJプロツアー、及びエリート部門が併催されているところもこの大会の特徴となっている。
前日のクリテリウムを制してリーダージャージを守ったオールイス・アルベルト選手(右)とホセ・ビセンテ・トリビオ選手のマトリックスパワータグ勢がスタートを待つ
一般サイクリストが普段一緒に走ることのない国内プロ選手と同じスタートラインに並ぶ。ウェーブスタートのためプロと同じレースを走ることはできないが、強豪ヒルクライマーにとっては「プロのタイムを超える」ことが目標のひとつにもなっている。
薄曇の中、午前7時のJプロツアーを皮切りにレースはスタート、続いて一般部門が山頂へと向かっていくうちに次第に雲が晴れ、陽射しが強くなっていく。汗ばむほどの気温の中レースは展開された。
前橋市街を背に次々とサイクリストが山頂に向かう 提供:一般社団法人 全日本実業団自転車競技連盟
声援の多さがこの大会の特徴。威勢の良い太鼓がスタート直後の選手を励ます
手に汗握る展開
コース勾配が比較的安定しているため、例年ロードレース的展開となるJプロ部門では、今回も積極的なアタックが繰り返される展開で序盤は進んだ。
徐々に人数を減らす集団をマトリックス勢が牽引し始めた中盤過ぎ、レースは動きを見せ始める。2週間前のJBCF南魚沼大会で100km以上の逃げ切り勝利を決めたフランシスコ・マンセボ選手(マトリックスパワータグ)がアタックを仕掛けると、集団はマトリックスの海外勢3名と、石橋学選手、徳田優選手のチームブリヂストンの2名による計5名に絞られた。
その後もマンセボ選手が主導権を握って集団を牽引。最後はチームメイトのトリビオ選手に勝利を譲る形で2位でフィニッシュしたが、マトリックスのワンツーを決めたマンセボ選手が、間違いなくこの日の「最強クライマー」だった。
マンセボ選手の強烈な牽引に集団は徐々に小さくなっていった 提供:一般社団法人 全日本実業団自転車競技連盟
最後はトリビオ選手(右)に勝利を譲ったがレースを支配したのはマンセボ選手だった
提供:一般社団法人 全日本実業団自転車競技連盟
声援にサイクリストが応える
一般部門も激しいレースが展開された。強豪ヒルクライマー97名が参加した「エキスパートの部」では、実に25名が1時間切りを達成。序盤からの激しいレース展開によるハイスピードレースを制したのは加藤大貴選手(COW GUMMA)。2位に26秒の差をつける54分56秒で優勝を飾った。ホビーレーサーとはいえ、ことヒルクライムにおいてはプロとの差が縮まっていることを感じさせるハイレベルなレース展開だった。
また、JBCF女子の部では植竹海貴選手(Y’s Road)が優勝。仕事をしながら週末の峠走と週1回のパーソナルトレーニングで実力を付け、「全日本選手権で好成績を残せれば嬉しいですね」と目的を持って取り組んでいる。ホビーレーサーでも実力を付ければ国内トップと戦うことのできる、JBCFが身近に感じられる点もこの大会の意義のひとつだ。
最後の力を振り絞る選手たちに家族や仲間が声援を送る 提供:一般社団法人 全日本実業団自転車競技連盟
JBCFの男子選手と一緒に走ることでペースを維持した植竹選手(中央)。「2位の選手(佐野歩選手/左)にいつ追いつかれるかと心配でした」とゴール後は胸をなでおろしたという 提供:一般社団法人 全日本実業団自転車競技連盟
ゴール後のホスピタリティもこの大会の人気を支える要素だ。下山する選手に沿道から「お帰り!」「お疲れ様!」と声を掛けるボランティアや市民の皆さんに、選手も「ありがとう!」と応えて下っていく。とくに今回は下山誘導に改善が加えられ昨年以上にスムーズになった。ゴール後の選手からは沿道からの声援への感謝に加え、下山のスムーズさを評価する声が多く聞かれた。
プロと一般サイクリストが同時に走る国内では数少ないイベントは盛況のうちに幕を閉じた。上を目ざす選手も、自分自身の目標達成のために走る選手も、赤城山はサイクリストの挑戦をしっかり受け止めてくれる大会だった。
「仮装応援団」や選手の名前を書いたボードを掲げるチームメイトなど「応援も楽しむ」のが赤城山スタイル
◆赤城山ヒルクライムホームページ(リザルトもこちらから)
http://www.akg-hc.jp/index.html
◆JBCF(全日本実業団自転車競技連盟)ホームページ
https://jbcfroad.jp/
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。