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2020年07月24日

【JBCF】レースシーンはWithコロナ時代へ。JBCF東日本ロードクラシックレポート/「身近な理事長に」安原昌弘JBCF理事長コメント

本来であれば2020東京オリンピック開会式の前日だった7月23日(祝/海の日)、自転車ロードレースシーンにおいては、withコロナ時代へ向けた新しい様式でJBCF(全日本実業団自転車競技連盟)が主催するJプロツアーのロードレースシリーズが開幕した。

当初掲げられていたレースカレンダーではなく、新型コロナウイルス感染防止対策がしっかりと行うことのできる会場として群馬サイクルスポーツセンターが採用され「 東日本ロードクラシック 群馬大会 」として7月23日(木)~25日(土)までの3連戦で開催された。今回は初日(23日)の模様をお届けする。

Jプロツアー開幕戦ながらも無観客レースという大会ルールとなり、会場入りする選手・関係者はAIサーマルカメラや非接触型の体温計によって発熱者を検知する方法で入場管理が実施された。
入場が許可されれば、パスが配布されるという仕組みだ。

AIサーマルカメラで入場を管理する
検温で問題がなければ入場パスが配布される
受付もソーシャルディスタンスを保つために、ラインが設けられる

参加者は昨年の参加実績からおよそ80%ほどの募集を行なったという。
「本当にレースにエントリーされる方がいるのか不安でしたが、エントリーを開始してみれば数日で定員に達するなど、レース開催を待ち望んでいた方が大勢いたことがわかりました」とJBCF事務局長の沼澤氏は語る。

JBCFでは開催にあたり、感染予防のためのガイドラインを設置している。
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議等公的機関のガイドラインに則した内容である。今日に至るまでに対策専門家会議においても数度の見直しがあり、ガイドラインはその都度刷新をしている。今後も効果的、効率的な運営ができると判断した場合はガイドラインは随時更新されていく。
https://jbcfroad.jp/covid19-guidelines

手を触れることなくアルコール消毒ができる。自転車片手でも使いやすい

7月21日現在、以下の項目が対策ガイドラインの軸となっている
・マスクの着用について
・チームによる誓約書提出のお願い
・健康状態に関する申告書提出のお願い
・新型コロナウイルス接触確認アプリインストールのお願い
・未成年参加同意書のお願い

バイクのセルフチェックをすることで出走サインは省略された
スタッフは厳重な感染防止対策下で

健康状態に関する申告書においては大会14日間前からの検温をオンラインで提出するなど参加者にとってはこれまでにない経験となる。「これら施策を講じることで、参加者の負担は増えます。しかし非常に協力的に行っていただいています。
ガイドラインは7月18・19日に行われた山口県のきらら浜タイムトライアル・クリテリウムで実行されました。実施内容においては、できるだけ多くの大会を開催していくため、開催することを前提にブラッシュアップをし続けていきます」と丸田専務理事は語る。

また、JBCFはこのほど理事長以下、理事会メンバー構成が一新された。これからJBCFを引っ張ていく新しいボードメンバーのコメントを、監督、選手を交えて紹介しよう。

チームや選手にとって身近な理事長に

安原昌弘JBCF理事長(マトリックスパワータグ監督)

「チームの監督とJBCF理事長という2つの顔でやっていきます。負荷という意味ではとても高い。チームのこともあるし、自分も現役の監督ですし、E3で走る現役選手でもあるわけです。ちなみにE3優勝は目標であり続けますよ。今回は“そういった今の状況を優先しますが、それでも良いなら”ということで今回のお話を引き受けました。
今日は今シーズンの開幕戦ですが、改めて思った以上の負担だと感じています。
過去の理事長職には重鎮が名を連ねていますが、そこに自分も入ったからには、言い訳なしにしてやるしかない。
今日、各チームの監督たちが「現役の監督の理事長だということが逆にがありがたい」と言ってくれました。選手目線、チーム目線の理事長は話しやすいと、今の段階ではチームの皆さんからは評されているとのだと思います。
今日は会場でいろいろな意見をいただきましたが“現役の選手や監督やってるから身近に感じてもらえているようです。”“安原さんも走ってるからわかるでしょ!”と。
身近な理事長ということで、やっていこうと思います。
崇高な目標を掲げてもできないことできない。元来の実業団の競技中心ということで、足元を固めていくつもりです。

過去には2,980人いた登録者が現在は2,000人になってしまった。魅力的なレースをできていなかったことも問題のひとつだと思います。
“10,000人にする”という大きなことは言えませんが、まずは過去を超える3,000人を目標としています。
競技をしっかりと運営しないと選手は戻ってきてくれません。方針としては選手ファースト、チームファースト。
開かれた理事会としてやっていこうと思います。

こうした公約のようなものを掲げることでチームや選手、運営と一枚岩となってやっていきたいですね。
大きな目標もいいけれど、身近な確実にやれそうな、でも少し難しいぞ! という目標を掲げ、それが達成できたら、大きな目標にシフトしていくという形にしたいですね。
年々、自転車に乗る人は増えていますが、だからといって競技をやっている人は多くはない。そんな人たちが競技に出てみようかな、と思ってもらえるような大会を作っていくことが私たちの使命といえます」

これからのJBCFについて

佐藤成彦 JBCF理事(弱虫ペダルサイクリングチーム監督)

安原理事長は選手ファースト、チームファーストを掲げていますが、同じ思いです。
私はエリートツアーやトップカテゴリーでも走った経験もあります。そしてチームにはユースやフェミニンツアーの選手もいますので、Jプロツアーに偏ることなく、すべてのカテゴリーのチームに近づきながら、選手に寄り添ってより良い形にもっていければ良いと思っています。
登録者を増やしたいですが、魅力あるレースを作ることができなければ、それもかなわないと思います。今やらないとレースがなくなってしまう。
どうにか元の状態に戻すこと。そして自分たちができることをしていこうと思います。

レース勘を取り戻せるように

宮澤崇史監督(ヒンカピー・リオモ・ベルマーレ・レーシングチーム監督)

選手がトレーニングしかできない辛い状況の中で、チームとして何かができないかということでこのレースの前に合宿を行いました。レースのような刺激になりましたし、フラストレーションみたいなものをはき出すことが直前にできました。
今回は積極的にというよりはレース勘を取り戻すような感じでいければ。
前半はかなり激しいレースになるだろうし、ゴールするための走りというよりは本能的な走りをする選手が多いはず。積極的に逃げるというよりは、周りの動きを見ながら走りたい。
今日の選手はコンチネンタルが3人、JPTが4人、というメンバー。
コンチネンタル組は勝たないといけないけど、早くヨーロッパで勝利を掴みたい。
日本でのレース再開によってコンチネンタルチームへの期待値も高まります。早い段階で勝利につなげてヨーロッパのレースに出場したいですね。

こうして走れるのは嬉しいこと

小森亮平選手(マトリックスパワータグ)

春先シーズン最初のレースが中止になってから、いつでもレースが始まってもいいようにトレーニングを続けてきました。ですから、このレースが開催されるのが決まってとても楽しみでした。
シーズンインの時期にいままでこういうことの経験がない、すごい未知な部分が大きいですね。
しかし選手の仕事はレースを走ること。こうして走れるのは嬉しいことです。

どこまでこの経験を伝えていけるか

佐野淳哉選手(レバンテフジ静岡)

例年ならもっと早い時期にレースが始まって、チームワークの確認ができているところですが、新規チームでかつコロナ禍によって、レースはおろかまとまった活動もできないので、正直どうなるか未知数です。その中でもトレーニングを行う中で“レースでこういう風に動くんだよ”と伝えてきたので、今日は“どれだけ出来るか”というレースになると思います。
僕以外は全員若い。僕が教えられることはありますが、何回か練習した中で僕以上に能力的に高い選手は何人かいます。彼らに狙ってもらうというのも目標ですね。彼らの成長が、僕が成績を出す以上に大きなことだと思います。
僕も覚悟を決めて移籍をしました。どこまでこの経験を伝えていけるかというのがベテランの仕事だと思います。

◆Live配信のお知らせ
本大会は7月23日~25日の3日間のレースをLive配信する。詳しくは以下、JBCFホームページから。
https://jbcfroad.jp/news/182

関連URL:JBCF
JBCF東日本ロードクラシックDay-1 レポート   https://jbcfroad.jp/news/184
JBCF東日本ロードクラシックDay-2 レポート  https://jbcfroad.jp/news/186
JBCF東日本ロードクラシックDay-3 レポート  ttps://jbcfroad.jp/news/188

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