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2015年12月24日

「ヘル オブ マリアナ」レースリポートby中村龍太郎 【前編】

今年で第9回になる「ヘルオブマリアナ2015」が2015年12月5日に北マリアナ諸島サイパン島で開催された。地元マリアナ、グアム、韓国、台湾、アメリカから参加があるインターナショナルな大会で昨年3位入賞の中村龍太郎さん(イナーメ信濃山形)が各国の強豪をおさえ見事優勝。
そのレース奮闘記を中村龍太郎さんの自著で紹介します。


 

昨年も参加しましたヘルオブアリアナ(以下、HOM)。二人のロシアンにしてやられ(まぁ自分の力量の問題がほぼ)優勝を逃したレース。マリアナ政府観光局とFUNRiDEさんの全面バックアップによって招待という形にも関わらず、負けてしまうという苦い思い出となってしまった。この敗戦を機に寝汗で枕を濡らすこと数度。負けた時点で「来年リベンジします!」と豪語し、2015年12月5日に開催の予定とアナウンスがあると、すぐに前日の金曜日を青丸で囲み(そう、青丸は有休の合図)、当日に赤ボールペンで「HOM」と書いた。
そのぐらい待ちに待った大会なのである。
前置きが長くなりましたが、今回もWEBサイトとして生まれ変わったFUNRiDEさんに寄稿という形でこの大会を振り返ります。
ぜひとも最後までお付き合いいただければ幸いです。

準備を整え、いざサイパンへ!

昨年は木曜の仕事終わりに夜便で出発し、深夜に到着。金曜は軽く試走兼観光をして土曜日レース。日曜日は観光。というプランだった。
が、今年は日本からサイパン便が一日一便になってしまったため、金曜の午前10時発の便のみ。
便が減ったことで飛行機の予約が取れず、HOMベテランであるイシムさんがJTBのツアーを見つけていなかったらどうなっていたことか……。
準備がゆっくりできるかと思いきや、結局朝バタバタしてしまうのはよくある話。
バックパック一つに着替えを入れて終わり。暑い国に行くので服がかさ張らなくていい。SCICONを担いで自走で駅へ。

通勤のみなさんを尻目に改札前でSCICONにバイクを包む。電車で成田空港第一ターミナルに。
チェックインで受託荷物は23kgまでOKとのことだが、自転車は片道$150の追加料金がかかってしまう。普段$を意識していないと「つまり……?」とポカンとなる。
なので5万円を換金すると$300ちょいちょいになって、なんか不満。だけど札の枚数は増えて財布は分厚い。
トイレで半そで半ズボンに着替える。すでにHOM Tシャツを着る。
搭乗口でイシムさんと合流。二人とも一番後ろの席40番。気兼ねなく座席を倒せるのがいい。
3時間のフライト、途中で出てきた昼飯?は稲荷寿司。ミニオンズがやってて単純に楽しめた、けど画面がちょっと遠いね。
サイパン先取りで半そで半パンだったから空調が効きすぎて寒かった。

現地時間15時に到着。時差は1時間。入国審査待ちしてると「ナーカムーラサマー!」と呼ぶ声が。
中村なんて日本に山ほどいるので、サイパンに来る人に一人や二人いるだろ……と思ってボヤーッと静観。
誰も出てこないので一応(もしかしてVIP待遇の何かが!?と淡い期待を胸に)行ってみると、見事にPCを座席の下に忘れていたようだ。届けてくれたおねぇさんとガッチリ握手。
無事に入国し自転車も回収。案の定倒されていた。海外に行くときはもはや諦めている。
空港から出るとマリアナ政府観光局の中村さんがお出迎え(ほら、中村いた!)。今年もよろしくお願いします。
本来だとJTBのツアーにはホテルまでの往路の送迎がついていたのだが、今回は中村さんにお願いしたので離団届なるものをダウンロードして熊本まで郵送した。
その手続きをしないと行方不明扱いになりかねんのでご注意を。

昨年ほどのえげつない暑さはない。湿気はすごいけど先週まで風邪をひいていた自分にはちょうどいい。実際サイパンに行って風邪が完治した。風邪が長引いている方は是非サイパンへ。
車でホテルに向かう途中。8月に起きた台風の爪痕をまざまざと見せつけられる。屋根のない家、根元から折れている木々、まだ4カ月しかたっていない。
死者がでなかったことが唯一の救いだろう。大会も開催できて、本当に良かったと思う。

7回連続出場石松さんと

7回連続出場の石松克己さん(イシムさん)と。今年もいろいろとお世話になった。

 

前日はコース試走がおすすめ

マリアナリゾートホテルについて受付。今年は昨年1位のファスト氏がいないようなので番号は「2」番。というわけで「1」番は昨年2位のアレックス。リベンジに燃える。
2015年Tシャツ格好いい。加えてボトルも。
自転車を組んで、イシムさんと軽く走ることに。ポンプは中村さんの私物。大会側でポンプを用意するとかはないので個人で持っていかねばならない。
バンザイクリフへ行こうと思っていたけど、楽しくてテンション上がっちゃって、曲がるとこをスルーしてしまったのでスーサイドクリフの途中まで。
途中で雨がぱらつく。サイパンはスコールが急に来るから天気予報はあてにならない。17時には日が落ちてきて、外灯もないため、日没との戦いになる。

無事に帰ってきてシャワーを浴びる。
今回の部屋というかコテージはなんと天蓋付きのダブルベット、外には小さいけどSPA、海を臨むベランダという最高のロケーションの場所に、独り。多くは語るまい……。来年こそは。
夕食はサイパン随一の繁華街であるガラパンにある「金八」さんという日本料理屋にて。血が足りねぇとレバニラ定食をば。
昨年もそうだったがレースのスタートが6:15と早いので、ここで朝ごはん用のお握りを握ってもらうのが常。
1ガロン(って結局いくつよ?)のとりあえず一番大きい水をABCマートで買ってホテルに戻る。
21時には就寝。次の日の起床は4:30。朝ごはんのお握りを6個食べて、ボトルにCCDを入れて準備完了。背中にはCCDのワンセコンドを4つ。急なスコールもありうるため空気圧は6.8ぐらい。ホイールはGOKISO。タイヤはIRCのASPITE。

サイパン在住日本人と

サイパン在住の日本人参加者も多い。

 

いよいよレースがはじまる

5:30にスタート地点に。外は真っ暗。受付でシールをいただく。ヘルメットの前と右。フレームの右側。そしてチップのようなものがついているシートポストに貼るやつ。
昨年はトップチューブに貼って湿気でスタート1kmで風に乗ってどこかに飛んでいったので今年はダウンチューブに沿うように貼る。
シートポストに貼ったセンサーは途中の中間計測の時に反応しているらしく、日本にいても速報が見られるらしい。変なところが最先端。

昨年もそうだったけど出走サインとかはないので6:15ちょうどに一斉にスタートする。来てるか来てないかはどっちでもいいのだ。
実際去年二位のアレックスは朝パンクしているのに気づいて、25分遅れでスタートしたらしい。
昨年同様ピストルとかはなく、声を張り上げて「Ready Go!」。昨年はなかったドローンが飛んでいる――。

(中編へ続く)


ラオラオ高速コーナー

中村龍太郎

イナーメ信濃山形所属。フルタイムワーカーながら2015年度全日本タイムトライアルを制した、強豪レーサー。ロードレースのオフシーズンもシクロクロスレースに積極的に参戦し、年間出場レースは50を越える。Mt.富士ヒルクライム2015でも優勝を果たしている。

 

ヘルオブマリアナ http://www.hellofthemarianas.com/  (大会ホームページ)

         https://www.facebook.com/HOMRace/ (大会フェイスブックページ)

写真提供:中村滋(マリアナ政府観光局)

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