2016年09月16日
【グラベルフォンド】”愉しむための機材のススメ”
ダートやトレイルでもないグラベルは、ロードの機材で走行可能な砂利道の【未舗装路】のことを指す。イメージとしては人の手が入っている道で、砂利などが敷いてあるコース。多くは林道を利用することになる。10月2日(日)に開催される「第8回グランフォンド八ヶ岳」のHPで募集を行なったが、FUNRiDE主催として併催する形で「グラベルフォンド八ケ岳」を実施することが決まったので、当日のイベントで走行する際の注意や最適な機材の特徴を紹介しよう。
ロードで砂利道を走ることは滅多にしないとは思うが、ラフな道を走ってみると新鮮で楽しい。真っすぐ倒れずに走るためのハンドリングが求められ、バイクのバランスをとりながらなので、ペダリングもままならない。普段の舗装路とは違い多くの制限が加わると、なぜか楽しい。とまあ河川敷に現れるような未舗装路ではそんな”楽しい”ひと時が味わえる。だが山麓から上るようなグラベルに入ると、楽しいとは言い難く非常にチャレンジングだ。そして征服したときの達成感は河川敷の比ではない。ノートラブルで走破の”誉れ”といったら!! もっともパンクした者とともにその日のヒーローになれる。
この記事ではみんながヒーロー(最多パンクじゃないほうの)になれるよう、機材にかんするレポートをお届けしよう。
携行したいアイテムや装備
グラベルに向いているロードバイクとは一体なんだろう? 最近ではメジャーブランドからもグラベル用ロードバイクがリリースされている。一般的なロードバイクとの違いはタイヤクリアランス、直進安定性に優れたジオメトリー、ギア比…..など、より悪路走行に特化した仕様となる。ただし標準的なロードバイクでもグラベルのレベルに制限が生まれ、ほどほどまでは楽しめる。八ヶ岳で行なうグラベルフォンドはタイヤさえ25C以上でエンデュランス用のようなしっかりとしたモデルを選べば、ライドを満喫できるレベルだ。
十分なタイヤクリアランスがあるフレームやブレーキがおすすめ。落ち葉や泥などが詰まってしまうこともあるからだ。ディスクブレーキなら最高!
舗装路のライドよりもグラベルライドは2倍の時間がかかると考えて良い。全行程で50kmなら100km相当。ダブルボトルがベター。運動強度も高くずっと上りを走っている感覚なのでエネルギーの消耗も激しい。補給食もしっかり持っていきたい。
ギア比も通常のロードより軽く設定したほうがよい。コンパクトドライブ×28Tがあれば、男性サイクリストなら問題はないだろう。
サイクルコンピュータは必ずもっていこう。走行時間や距離を表示できるものがあると、気持ちにも余裕が生まれるだろう。そしてGPS機能はあって損はない。
ポンプは圧倒的にフレームポンプが使いやすい。ワイドタイヤという機材の違いもあるだろう。幾度とグラベルのパンク修理に立ち会ったが、コレに勝る携行コンパクトなポンプはない。
飛び石なども想定されるので、超軽量カーボンフレームよりもスチールやアルミフレームのほうが安心感がある。下り悪路での安定性もスチールフレームのほうが優れている印象だ。
携行品のほとんどはトラブルに対応するためのもの。そしてタイヤはワイドタイヤをオススメしたい
・ワイドタイヤ ※25C以上 必須
・スペアチューブ2本以上(クリンチャータイヤの場合) 必須
・パンク修理パッチ(クリンチャータイヤの場合) ・携帯ポンプ(フレームポンプタイプがベスト)必須
・携帯ツール(チェーンカッター付きがベター)必須
・エマージェンシーハンガー
・ボトル2本 必須
・サイクリストID(&保険証の写し) 必須
そしてバイクのメンテナンスはしっかりと行なっておこう。シフトチェンジの精度やブレーキシューの摩耗度など。劣化したタイヤは問題外である。タイヤ幅もトラブルを避けたいなら25C以上は絶対条件である。また25Cサイズでも軽く薄いレーシングタイプのものもある。エンデュランス用、あるいはグラベル用と銘打ってあるタイヤをチョイスしたい。
トラブルの多くはパンク
もっともポピュラーなトラブルはパンクだ。こればかりは運も味方するが、スピードを出せば出すほどパンクする確率は高くなる。走行ラインにも注意を払おう。小さな石と大きな石が混在するようなセクションでは石に乗り上げたときのパンクリスクが発生する。わだちを経て2本の道ができているので、うまく避けられるラインを決めて走る。
万策を記したとしても、パンクしてしまうことがある。その対処をするのは自分自身。スペアチューブはどんな熟練したサイクリストでも2本はもっていこう。
グラベルという特質上、修理中にタイヤとチューブの間へ異物が混入してしまうこともある。そうなるともうパンクが止まらない状態に。できるだけクリーンに保てる場所で作業を行うべし。
ポンプもコンパクトなものよりもストロークが長いフレームポンプタイプだと非常に使い勝手がよい。グラベルでのパンク修理に何度か立ち会っているが、足元が悪くてもポンピングしやすく作業も早いイメージだ。
パンクをしてしまったら
パンク対策としてはできるだけ新しいタイヤをつけていくこと。わずかなキズや亀裂が大きなトラブルをまねく可能性を高めてしまう。携帯するスペアチューブも一度サドルバッグから出してチェックしてほしい。パンクした記憶が思い出せないくらい前なら、スペアチューブは新しいものに換えておくこと。いざ修理しようと取り出したら空気が漏れる……という話もなくはない。街中ならともかく、山道となるとショップもお店もないので万全な体制を整えたい。
もしもグループライドで仲間がパンクをしてしまったら、修理のサポートをしてあげよう。できれば走行時も1人にさせず、2人以上で走るようにするとトラブルに対応しやすい。
次に多いのはリアディレイラーハンガーの破損だろうか。これは落車時などに発生しやすい。MTB用などで販売されているエマージェンシーハンガーなどをもっていれば、その場をしのぐことはできるはず。リアディレイラー自体が破損してしまったら、ディレイラーを取り外してシングルギア化するしかない。
グラベルの上りの走行抵抗は舗装路よりも高く、スピードも落ちる。よく走れる人で【10km=1時間】のイメージで時間を計算すると良い。20kmのグラベルなら2時間。補給食が必要になるだろう。下りはスピードが上がるのでパンクリスクはより高まるし、コーナーではグリップ力を損なわないようにスピードコントロールに気が抜けない。すべてがタフで、脚を休めるなら停車するしかない。
グラベルの魅力はチャレンジングなコースを走破することに限る。そして発生した様々な出来事や、トラブルなどの走行奇潭を仲間と酒を酌み交わして語るまでがライドの楽しみといえそうだ。
チャレンジタイヤ・ストラーダ オープンチューブラー インプレッション by FUNRiDE スタッフ ヤマモト
グラベルフォンドコース選定のため、およそ2回八ヶ岳でグラベルライドを実施。グラベル区間にして50km超、舗装路を含めると200kmのライドを行った。チャレンジタイヤでのグラベル実走は初。フルクラム・レーシング1にタイヤを装着するが、オープンタイヤというフラットな形状であるため、最初ははめにくいイメージだった。しかし、手でタイヤの形に丸めてから行なうと装着しやすいと事後、教えられた。タイヤ幅はもちろん25Cをチョイス。イメージの25Cよりもややワイドな印象だ。コンパウンドは粘りがあってグリップ力がいかにも高そう。加硫成型されていないので傷はつきやすいというが、グラベル自体での走行でパンクすることはなかった。コツとしては下りで攻めないこと。スピードを出すとそれだけ路面とのインパクトも増す。悪路ではコントロールもままならない状態なので大きな石にヒットすることもあるだろう。加速がついていればそれだけダメージも大きい。ワイドなタイヤで路面をしっかりと掴む。サイドウォールスキンのコーティングは泥水の汚れによってくすみが見られるが、性能の劣化は見られず味わいとして受け止められた。乗り心地は高いエアボリュームによってクッション性は23Cから乗り換えると歴然である。加えてタイヤ自体にはコシもあり、舗装路ではペダルを回したときの反応もよく、軽快なタイヤであった。グラベル試走に加え日常のライドでも活用した。舗装路は1500kmほど走ったがグラベル走行によって受けたトレッド面のキズが浸食してきたため使用中止。MTBタイヤとてダート走行では思った以上にタイヤの消耗が激しい。グラベルも同じことが言えるのでタイヤはできるだけ新しいものを用意しよう。ここはケチらないほうがベターだろう。
【使用商品紹介】
チャレンジ ストラーダ オープンチューブラー
価格:7,310円(税抜)
サイズ:700×25C
ケーシング:スーパーポリ300TPI
耐パンクシステム:PPS
推奨空気圧:6.5〜8.5気圧
カラー:ブラック×スキン、ブラック×ブラック
重量:240g
問:カワシマサイクルサプライ HP:http://www.riogrande.co.jp/brand/node/3504
グランフォンド八ヶ岳、エントリーサイトにおけるグラベルフォンドのお申し込みは締切とさせていただきました。
参加案内はグラベルフォンドにお申し込みされました方へメールでご連絡いたします。
(写真/編集部)
撮影協力:Rapha Japan、カワシマサイクルサプライ
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。