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2016年09月28日

【Rapha】10月の八ヶ岳でウエアはどう着こなすべきか

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編集部(以下、編):次はウエアの話を聞きたいのですが、この時期だと選び方が難しいですよね。この週末にグランフォンド八ヶ岳があるのですが、現地の気候を鑑みた感じで記事を進めたいなと思ってまして。今回のイベントに紐づいたウエアのレイヤリングをご紹介したいと思っています。

矢野さん:イベントは10月の頭ですが、清里の森は標高が1200mぐらいありますよね。まず朝一のスタート時間。天候がどんどん悪化しているような場合、気温は一桁に落ちてしまう時期です。特に都心の方から来ると、余計に寒く感じる時期ですね。
そもそもレイヤリング、実は最近のアウトドアウエアもそうなんですけど、レイヤリングって言っておきながらけっこうレイヤー数ってどんどん減らしている傾向にあります。なるべく少ない数の服でできるだけ広い範囲をカバーしましょうというのが最近の動きになっていますね。唯一変わらないものとして、【ベースレイヤー】は一番重要な体温を調整するアイテムになっています。ただ、他の上から羽織るものほど替えやすいですよね。スタートした後でも脱いでポケットに入れたりとか、ジッパーを開いて体温調整できるんですけど、基本的にベースレイヤーだけは着たらそれを着たまんまずっと走らなきゃいけない。よっぽど暑いときは脱ぐことはあるんですけど、まあほとんど脱がないですよね。ですから何を選ぶかというのが重要になってくるんですよね。
一番大事、かつ選ぶのも重要になってきて、失敗するとけっこう汗だくになったり、やっぱり暖かさが足りないとか。特に秋とか春とかっていうのはすごい予測がしにくく、一番範囲が広いっていうか、万能的なやつを使うといいですね。
そうなってくるとメリノ系。晴れの予報だったら、当然寒いんですけど、メリノメッシュを選びますね。半袖か長袖かとかにするのはその人次第だと思うんですけど、これが一番使いやすくなると思います。
曇ってるとか、晴れてるけどすごい気温が低い……。または、まれに10月の頭でも氷点下になるときがあり、朝6時に起きて気温が3℃…となると、日中ももしかしたら晴れてても10℃前後にしかならない可能性があります。そうするとメリノベースレイヤーを選びます。人によってはもしかしたらウィンターベースレイヤーも必要かもしれない。でもメリノベースレイヤーでほとんどカバーできますね。これだったら多少気温が上がっても暑すぎないですし、気温が下がっても大丈夫です。


 

Merino Base Layer-Short Sleeve
Merino Base Layer-Short Sleeve
Winter Base Layer
Winter Base Layer

編;朝は寒いけど日中は結構暖かいな、という日もありますよね。

矢野さん:気温が上がりそうなとき。「朝は4~5℃くらいなのでメリノベースレイヤーを選んだが、日中は天気が良くなって15~16℃まで上がった」。そこでどうするかっていうと、とにかく汗を吸わせないことが大事です。アウターのジッパーを開放したり、ベストだったらすぐに脱ぐ…。ジャケットとか長袖のジャージを着ていたらジッパーを開けるなど、汗が出てもすぐに発散・蒸発できるように調整します。いくらメリノでも汗が溜まってしまうと蒸発するのに時間かかりますね。一度べちょべちょになったレイヤーは速乾性能に優れた素材でも乾くのに時間かかります。それを下りで風を通して乾かしちゃえ、ってやると今度は気化熱ですごく体温が奪われてしまいます。


 

Long Sleeve Classic Jersey II

Long Sleeve Classic Jersey II


Long Sleeve Core Jersey
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Souplesse Jacket

アウターのオススメはロングスリーブクラシックジャージII や、少し買い求めやすいやつになるとロングスリーブコアジャージですね。

編:ジッパーもフルで開くものが主流となりましたね。

矢野さん:ウエアはフルジップが良いですよね。とにかく体温をコントロールできますから。そこでレイヤーを減らせる要素になっていて、最近は保温とプロテクション機能を併せもったウエアが増えていますね。プロチームトレーニングジャージはジャージとジャケットを1つにしたような感じながらも薄手。なのですごく柔軟性が高いものになっています。


 

Long Sleeve Pro Team Training Jersey
Long Sleeve Pro Team Training Jersey

あとはベルベット ウインドブロックジャージはジャージであってプロテクションの要素を持っていますね。プロチームトレーニングジャージはどちらかというとジャケットに近いデザイン。それぞれにスタンスの違いっていいますか、視点が違います。
天候が崩れないとわかっているのであればジャージを選びたい。風を防ぎたい、天気が読めない、なんかどんよりしているなというシーンならジャケットの方を選んだ方がいいと思います。実際に雨が降ってきたときに、ジャケットだったら少しの雨ならしのげますし。それでやっぱり保険っていうのが雨用のジャケットだったり、雨用のジレですね。プロチームレースケープレイン ジレなどを1個持っておくといいですね。長時間のライドでは急激に天候が変わる可能性があります。でも使うことの方がないんですけど、万が一のときに持ってない悲惨さ。そのリスクを考えると、少ないポケットのスペースに入れるには十分妥当だと思います。


 

 

Brevet Insulated Gilet
Brevet Insulated Gilet
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コンパクトに畳むことができる
Brevet Windblock Jersey
Brevet Windblock Jersey
Pro Team Race Cape
Pro Team Race Cape
Pro Team Rain Gilet
Pro Team Rain Gilet

編:グローブの選び方もありますか?

矢野さん:末端の指先がすごく冷える人と、すぐ暑いっていう人がいて、感覚として人それぞれだと思います。10月は雨じゃなかったらフルフィンガーのグローブでもけっこう暑くなる可能性がありますね。せめてメリノグローブみたいな薄手のフルフィンガー。グラベルに入るっていう感覚ならフルフィンガーの方が無難っていう見方もあります。例えば転んだときに手をつく可能性が高いので、そのときに指先の皮膚の怪我とか擦り傷が、グローブしているだけで擦り傷がつくか、つかないかの分かれ目になりますね。擦り傷の対策としては良いと思います。


 

Merino Gloves
Merino Gloves

編:手元を切ると乗れなくなりますよね。

矢野さん:そうですね。指とか、爪の周りとかを傷つけると痛いですからね。大した怪我じゃないのに、非常に精神的に嫌だっていうか。まあマウンテンバイクの人とかはほとんどフルフィンガーをつけるのと一緒ですね。

編:アクセサリー系を使いこなす方法を教えてください。

矢野さん:アクセサリー系っていうのはすぐにポケットに入れられるものがいいですね。使うか使わないはその日の朝に決めればいいんですけど、絶対に持っていくべきなのはメリノウィンターカラーみたいな薄いネックウォーマー。あとはアームウォーマーニーウォーマーもしくはレッグウォーマー。あとはシューズカバー。これを使うか使わないは当日天気によって決めればいいだけなんですけど持っていくべきです。それだけでもかなりウェアの順応性が広がりますね。


 

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Winter Collar
Merino Arm Warmers
Merino Arm Warmers
Merino Leg Warmers
Merino Leg Warmers
Reflective Oversocks
Reflective Oversocks

グランフォンド八ヶ岳の季節だとメリノ系が一番良いと思います。やっぱりなんだかんだ言っても脱ぐのは面倒くさいので、メリノ アームウォーマーとかニーウォーマーレッグウォーマーは全然オーバーヒートしないので、15~16℃だったら暑いと感じないと思います。ウィンターカラーは薄いですけど「息の湿度」が一気に上がるんで、暑かったらすぐに外しちゃってポケットに入れちゃったほうがいいと思います。ヘルメットをつけたまま着脱も一応できますね。

編:伸縮性がすごいですね。それはいいですね。

矢:あとはベースレイヤーなんかも本当は3種類くらい持っていくのがベストだと思いますけどね。メッシュとメリノとウインターベースレイヤーみたいな。少しライト系のやつと真ん中のやつと厚手のやつ。僕はいつもライド、よそに行くときは6種類くらい持っていきます。

編:すごいですね。

矢:シクロクロスやロードレースになってくると7種類ほど持っていきますね。特に秋は。秋とか冬はベースレイヤーを持っていく種類がものすごく増えます。袖無しなのか、ショートスリーブがいいのか、長袖がいいのか、さらに生地の種類があるので。一番全体的なウェアのコンフォートに影響するのがベースレイヤーだと思います。出先で「あのベースレイヤーがあったらいいのに」ってならないようにしています。

編:種類は他にもあるんですか?

矢:全部で何種類あるんだろう。まあ基本的に袖なしと半袖と長袖があるんで、大体×3になってくるんですけど。プロチームが袖なしと半袖の2種類。メリノが3種類。メリノメッシュが3種類あって、ウインターベースレイヤーがあってディープウインターベースレイヤーがあってこれで10でしょ。で、雨用のソフトシェルが1個あって11。まあライディング用に使うのはそれぐらいでしょうね。


 

Deep-Winter-Base-Layer
Deep Winter Base Layer

編:非常に量が多いですね。

矢:全部で11種類。だから大体その半分は持っていきます。まあ季節的には山でもすごく走りやすいですよね。気候が変化しやすいことが準備する量に比例しています。だから冬より荷物が増えたりするんですよね。真冬はほんと冬物だけ持っていけばいいんですけど、秋とか春って暑いとき用と寒いとき用両方持って行かなきゃいけないんで。荷物が本当に多くなるんですが、ほとんどを使わないんですよね。

編:走りやすいぶん、気温の振り幅が大きいですよね。

矢:そうなんですよね。プロのサイクリングチームでも1レースあたり300点ぐらいなんだかんだ渡していて、たぶん半分ぐらいしか使ってないと思うんですよね。ああいうときにはやっぱこれがないと、みたいな(笑)。そういうのばっかりで。

編:年に1回しか使わないとか…。

矢:そうですね。ほんとにそういうのがいっぱいあって。僕ら一般の人たちでもやっぱり秋ってのはそういう時期なのかなっていう。準備しておかなきゃいけないものがいっぱいあるけど…。

編:気温の変動を考え、快適に走ろうと思えば、至極当然にように思えてきました…..。

矢:着るものではないですけど、アームウォーマーやニーウォーマーとかもそうなんですけど、着こなしが大事で袖とアームウォーマーの間に隙間が空いちゃうとか。もちろんちょっとだらしないってのもあるんですけど、そこから冷たい空気が入ったりするんで。アームウォーマーは特に僕らの中だとベースレイヤーのエクステンションみたいな考え方がありますね、特にメリノは。例えば半袖のベースレイヤーを着ていたとしたら、ジャージの袖を1回まくって、ベースレイヤーの袖にちゃんと被せるようにするのが理に適っている綺麗なやり方です。また隙間が出るのはちょっとサイズが大きすぎるかもしれないですね。すき間ができると例えば濡れたりすると、重たくなって落ちてきたりするんですよね。そういうときはプロの選手なんかは安全ピンで留めたりしますね。

編:そうですね、工夫もすごく使いこなすのには大事ですよね。

矢:雨が降ってきてしまったら、例えばシャドーレッグウォーマーや、レインのシューズカバーを履きます、それがどっちを上に被せるかで全然濡れ方が変わってきちゃうんですよね。レッグウォーマーを僕はシューズカバーの上に被せるんですよね。そういう気づかいというか、どう水が入るかというのを考えると、どっちを上に被せるべきかというのがわかりやすい。そこまで考えてればかなりいいと思います。

(写真:Rapha Japan、編集部、インタビュイー:矢野大介 / Rapha Japan GM)
取材協力:Rapha Japan :http://www.rapha.cc/jp/ja/

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