2016年09月08日
「グランフォンド八ヶ岳」サイクリストなら一度は走ってみたい その魅力を徹底解説
10月2日(日)の本番まであと1カ月ほどに迫った「第8回グランフォンド八ヶ岳」。八ヶ岳や南アルプスの雄大な景色を望むアップダウンのあるコースは走りごたえも十分で、サイクリストなら一度は走ってみたいイベントだ。毎年、多くのお客さんと一緒に参加している静岡のショップ「LIFE…#2(ライフ・セカンド)」の村井 大 店長にその魅力、攻略法をお聞きした。
リピーターでも、初めてでも楽しめる「大人の修学旅行」
「私たちのお店では毎年30人前後で参加しています。リピーターも多いですが、リピーターに誘われて初めて参加する人も毎年います。一度行った人はまた行きたくなるし、仲間を誘いたくなるイベントですね。
年齢層は20歳前後から60代まで幅広く、女性もいます。メディオフォンドやグルメフォンドに参加する人もいますが、ほぼ全員がグランフォンドコースを走ります。東北に引っ越したお客さんとも、このベントのときに再会したりします。お店では1年で最大のイベントで、私たちにとって「大人の修学旅行」ですね。
八ヶ岳は、東京からも私たちの地元・静岡からも意外に近くてアクセスがいいです。普段は街中を走っている人も、信号の少ない大自然の中を思い切り走れるいいチャンスだと思いますよ」
「LIFE…#2」の村井大店長。グランフォンド八ヶ岳ではお客さんをサポートしながら、自らも毎年参加している
昨年のグランフォンド八ヶ岳を走った「LIFE…」のメンバー。ほとんどがピナレロのドグマシリーズのオーナーだという
■走っている間は、ずっと絶景!
「八ヶ岳の魅力は、やっぱりいい景色の中を走れるところ。去年みたいに天気がいいと富士山もよく見えます。おすすめの絶景ポイントは40㎞過ぎ、中央線の線路を越えた先の正面に南アルプスが見えるところです。仲間で集合写真を撮るには最高ですね。赤い橋でおなじみの東沢大橋は、スタート直後の下り区間にあるので通り過ぎがちですが、初めて参加した人はぜひ立ち止まってほしいですね。
正直、おすすめを挙げきれないほど、走っている間はずっと景色のいいところばかりです。サポート体制がしっかりしているので、走ることだけに集中できるのもいいところですね」
40㎞過ぎ、中央線の踏切を越えた先に南アルプスの山々が広がる。絶好の記念撮影ポイントだ
コース序盤に現れる八ヶ岳高原ラインの名所、赤い橋こと東沢大橋
■ここを走り切れば、一人前のサイクリスト
「コースが厳しいのも、グランフォンド八ヶ岳の特徴であり、魅力です。獲得標高は2300mぐらいあり、一番のポイントは後半の海岸寺の約3㎞の上り。毎年、自転車を押す人がいるきつい上り坂で、ここを乗り越えれば達成感がありますね。
他の国内のグランフォンドと比べても難易度は高い方で、中級~上級者向けだと思います。ここを走れれば、どこのイベントでも走れるだろうという目安になります。それだけ挑戦しがいがあるコースなので、10月に向けて練習したり、機材をそろえるのも楽しみのひとつ。今の自分より上を目指して頑張ろうという気持ちになるイベントです」
第5エイドを出てすぐ現れる海岸寺の上り。グランフォンド八ヶ岳最大の難所だが、ここを越えればゴールも近い
■エイドステーションは全制覇が鉄則!
「もちろん、エイドステーションも楽しみです。全部で7カ所と充実していますし、この日のために準備してくれるボランティアスタッフへの感謝の気持ちも込めて、私たちはすべて立ち寄るようにしています。ゴール後の豚汁とおにぎりも、楽しみにしている人は多いですよ」
地元・八ヶ岳周辺の特産物がそろうエイドステーション。すべてのグルメを味わってみよう!
■前日は、あえて違う景色を楽しもう!
「前日は受付をすませてコースを試走する人もいると思いますが、私たちはあえてグランフォンドのコースに入っていないところを走って、本番と違う景色を楽しんでいます。おすすめは天文台(国立天文台野辺山宇宙電波観測所)の方へ回って、飯盛山の上り口あたりまでを往復する2時間ほどのコースです。本番のコースほどきつくはないので、いい脚慣らしにもなります。
走る以外にも、前夜祭のローラー台コンテストにメンバーで参加したりするのも、盛り上がりますね。前夜の夕食会も楽しみで、メンバーにはそれがメインイベントという人もいるぐらい。飲みすぎると朝起きるのが辛かったりしますが、それも含めての八ヶ岳です(笑)。」
ローラー台コンテストなど前日のイベントも積極的に参加して盛り上がろう!
■本場イタリアのグランフォンドに通じる魅力
「グランフォンド八ヶ岳は、ピナレロがイタリアで主催するラ・ピナ・サイクリングマラソンの日本版とも言えます。私も1度参加したことがあるんですが、ラ・ピナは道路も封鎖されて、50km/hで集団走行したりとレースに近い雰囲気。ミゲール・インデュラインやブラッドリー・ウィギンスなどピナレロに乗っていた名選手もゲストに来ます。大変だったけど、おもしろかったですね。
日本はもっとのんびりした雰囲気ですが、グランフォンド八ヶ岳のコースの難易度は本場に近いものがあると思います。ヨーロッパの本格グランフォンドの雰囲気が味わえるイベントですね。
グランフォンド八ヶ岳もピナレロ・ジャパンがサポートしていて、ブースには多くの最新バイクが並んでいます。試乗もアップダウンのあるコースで行えるので、乗り心地をしっかり確かめられると思いますよ」
ピナレロのブースはスペースも広く、最新モデルの展示車・試乗車が勢ぞろい
上りだけでなく、下りもしっかり対策!
■マイペースを崩さないのが、完走のコツ
「グランフォンド八ヶ岳は後半の上りがきついので、普段の練習から長い上りを走る練習をしておいた方がいいですね。当日は、前半は鼻歌交じりぐらいの余裕を持って、マイペースで行きましょう。きつい上りは押してもいいぐらいの気持ちで、ダメになる前に歩こうと話しています。お客さんには、この日のために軽い決戦ホイールを投入する人もいます。機材に慣れるための練習もすれば、乗る機会も増えていいかなと思いますね」
普段から上りの練習を! 本番ではマイペースを守ろう!
■下りは、機材やポジションもしっかり準備して臨もう
「上りよりも気をつけないといけないのが、下りです。路面が凸凹しているところもあるので、気をつけましょう。機材的には、ブレーキだけでも上のグレードのコンポーネントのものをつけるようにお客さんに勧めています。
下り坂では、下ハンを握る練習した方がいいと思います。下ハンの方が、ブレーキもかけやすく、安定します。ブラケットを握っていて、段差で跳ねて手が滑ったりすると危ないですから。
特に女性は手が小さくて、握力も弱いので、ハンドルやブレーキにきちんと手が届くようにポジションを調整することも大事です」
■気温差が大きいので、調節できるウエアを
「着るものは悩むところですが、朝と昼で気温差が激しいので、脱いだり着たり調整しやすいものを選びましょう。薄いインナーに半袖ジャージを着て、ウィンドブレーカー、アームウォーマーなど暑くなったら脱いでバックポケットに入れられるものを用意しましょう。厚手のジャケットは必要ないです。
あと、パンクのときのチューブ交換は、道具も一通りそろえて自分でできるようにしておきましょう」
スタート前は気温が10度以下に下がることも。後で脱げるようにアームウォーマー、レッグウォーマー、ウィンドブレーカーなどで調整しよう
受付時に配られるマップはエイドステーションや絶景ポイントを確認するのに便利な必需品。折りたたんで、バックポケットにも収まる
■周りを思いやる気持ちで
「大人数で参加するときは、走力の違いで自然とバラバラになるので、ペースの合う人同士で数人ずつのグループに分かれて走ることになります。私たちスタッフは一番遅いグループの最後尾について、トラブルで止まっている人がいれば、サポートするようにしています。
レースではないので、速い人もみんなとペースを合わせるように心がけています。奥さんの背中を押したり、先に行っても戻ってきて、みんなとまた一緒に走ったりする人もいますよ。
中には集団走行に慣れてない人、ラインのとり方がわからない人もいます。子どもたちが家族と一緒に参加しているのも見かけますね。経験ある人は、周りの動きを予想しながらフォローする意識を持ってほしいです。怒鳴ったりする人は、サイクリストとしてレベルが低いなと思いますね。
周りを思いやって、助け合う気持ちで走れば、ゴールした時の感動もさらに増すと思いますよ」
上り坂でパートナーの背中を押す。こういった助け合いもグランフォンドならでは
LIFE…#2(ライフ・セカンド)
同じく静岡市内にある1号店「LIFE…#1」と合わせて、ロード、MTB、DH、BMX、ミニベロ、ランドナーなどあらゆるジャンルの自転車をそろえる。ロードバイクはピナレロ、コルナゴなど「長く愛されるブランド」を中心にラインナップ。村井大店長は中学生のころから自転車旅が好き。北海道や東北、さらには海を越えてイギリス、フランス、スイスなどへもツーリングに出かけた旅の達人だ。
静岡県静岡市葵区沓谷2-9-11
TEL:054-298-9881
FAX:054-298-9891
営業時間:11~20時(月水金土)、11~18時(木)、12~20時(日)
定休日:火曜日
http://life4130.com/
第8回グランフォンド八ヶ岳
今年で8年目、八ヶ岳南麓・山梨県北杜市を舞台に行われる獲得標高2,000m以上、標高差約1,000mを誇る、日本国内でも屈指の本格山岳グランフォンド。八ヶ岳高原の絶景、地元のあたたかいおもてなし、充実したエイドステーションなど、大人気のロングライドイベント。
エントリー募集は9月11日(日)まで!!
著者プロフィール
光石 達哉みついし たつや
スポーツライターとしてモータースポーツ、プロ野球、自転車などを取材してきた。ロードバイク歴は約9年。たまにヒルクライムも走るけど、実力は並以下。最近は、いくら走っても体重が減らないのが悩み。佐賀県出身のミッドフォー(40代半ば)。