2020年09月28日
コロナに負けずに五合目を目ざせ!! 秋のMt.富士ヒルクライム開催!
五合目を目ざすサイクリストの「待ちきれない思い」が伝わってくる、そんな1日だった。9月27日(日)、富士スバルライン(山梨県富士吉田市ほか)をコースとして「富士の国やまなし 秋のMt.富士ヒルクライム 2020」が開催された。6月に開催を予定していた第17回大会は新型コロナウイルス感染症の影響を受けて中止となったが、その後実行委員会では関係団体と協議を重ね、本大会とは別大会としてこの大会を立案し、地域の皆様の協力を得て開催。約2千名の参加者は久しぶりのレースを待ちきれないように富士スバルラインを駆け上がった。
感染対策を徹底し、規模を縮小して開催
過去数年約1万人のサイクリストが参加していた自転車界屈指のビッグイベントだった「富士ヒル」だが、今大会は感染対策のため募集人数を絞り、エントリーは約2,000人に。それでも今年は各地で多くの自転車イベントが中止・延期となる中、この規模の自転車イベントの開催はほぼ前例がなかったため、感染対策に力を注いだ。
会場での混雑を避けるため、前日受付やブース出展、ステージイベントは中止。当日、参加者は自らのスタート時間に合わせて会場の富士北麓公園に来場し、体調管理シートを提出、検温を行い、健康状態を確認しないとスタートラインに並べないようにした。また競技中以外は、マスクの着用を徹底してもらった。
またタイム計測は行うもの、主催者選抜クラスや年代別カテゴリーの設定はなく、表彰式も中止になった。それでも、参加したサイクリストは自ら目標タイムを設定し、モチベーションを下げることなくスタートラインに並んだ。
参加人数も大きく減少し、関連イベントもなくなったため例年とは会場の雰囲気も様変わりし、ちょっと寂しさもあったが、参加者、関係者、スタッフすべての協力のもと様々な対策を実施し、最後まで安全に大会を行うことができた。
自転車で走る喜び、イベントに参加できる喜びを胸に五合目へ
朝6時30分に、第1ウェーブが富士北麓公園をスタート。その後も会場の混雑を避けるため、30分間隔で各ウェーブ数100人ずつスタートが切られていった。
コースは例年同様、計測部分の距離24km、標高差1,255m、平均勾配5.2%の富士スバルライン。一度、コースに出てしまえばいつもの富士ヒルと同じく、練習の成果をコースにぶつけて、五合目を目指す姿は変わらない。
この日は早朝から曇り空で、2~3合目まではときおり雨も降っていた。しかし、4合目あたりからは雲も薄くなり、遠く南アルプスの山々が頭をのぞかせているのも目に入ってきた。五合目では雲の切れ間から青空や太陽も見えるようになり、終盤には富士山の山頂がくっきりと見える時間帯もあり、日差しの暖かさも感じられた。
今年は自転車イベントやレースが軒並み中止・延期となり、外で仲間と一緒に自転車を乗ることも難しい時期もあった。そんな中での待望の富士ヒル開催に、毎年参加している人、初めて参加する人も「待ってました!」とばかりに、自転車で走れる喜び、イベントに参加できる喜びで胸をいっぱいにしながら、五合目まで駆け上がった。
完走率は97.8%と、例年同様高い数字となった。フィニッシュ後は、仲間と走り切った喜びを分かちあったり、自らのタイムに一喜一憂したりといったいつもの富士ヒルと変わらない光景とともに、「また来年も参加したい」と来年以降の開催を切望する声も多く聞かれた。
大会翌日の28日朝に初冠雪が記録された富士山。まるで冬支度前最後の1日が、サイクリストの熱い思いで満たされたかのようだった。
※富士ヒルレポート第2弾では、参加したサイクリストの声をお届けします!
レース前半は雨と寒さとの闘い
◆秋のMt.富士ヒルクライム大会HP
https://www.fujihc.jp/
著者プロフィール
光石 達哉みついし たつや
スポーツライターとしてモータースポーツ、プロ野球、自転車などを取材してきた。ロードバイク歴は約9年。たまにヒルクライムも走るけど、実力は並以下。最近は、いくら走っても体重が減らないのが悩み。佐賀県出身のミッドフォー(40代半ば)。