2020年07月19日
コロナ禍の中のスクール再開 サイクルスクール@向ヶ丘自動車学校
7月19日(日)神奈川県川崎市宮前区の向ヶ丘自動車学校で「サイクルスクール@向ヶ丘自動車学校」が開催された。
このスクールは休日の自動車教習所をスポーツバイクの「スクール会場」として活用するユニークなもの。主催はスポーツバイクトレーナーの第一人者である安藤隼人さんが代表を務める「スマートコーチング」で、クラス別の参加者には講師が正しい自転車の乗り方をじっくりレクチャーする。コロナウィルス感染拡大のため、一時中断を余儀なくされていたこのスクールだが感染症対策を講じてこのほど再開した。その模様をお伝えしよう。
5年前、このスクールを立ち上げたきっかけはスマートコーチング代表の安藤さんの問題意識にあった。「やっていることはごく当たり前のことです。しかし、今の日本にはこういった基本的なことを学ぶ機会がないからいきなり『富士チャレンジ200』でデビューなんてことになってしまいます。そこを少しでも改善したかった」。
すでに開催実績は30回近くになる。今では「自動車教習所でのスクール」という話題性だけでなく、その充実した内容にリピーター、新たな参加者ともに増加している。
「コロナ禍での開催に際してはアンケートでの参加意識調査から、医療関係者へのヒアリングなどを通じて研究と模索をしてきました」という安藤さん。参加者への事前ヒアリングシート提出、スタッフのマスク着用、全員の検温など数々の対策を経て、今回の開催のこぎつけた。再開されたスクールの風景はマスク姿を除けば、これまでの風景と変わりはなかった。
アマチュアが「我流」なのは日本だけではない
「久々に外で走りました。こんなに気持ちがよかったんだと再発見です(笑)」
「エンデューロに出たいと思っています。レースが開催されるかわからないですけどその時に備えて」
「3回目の参加です。クラスをレベルアップしていくことが目標です」
「集団走行をしたことがありません。どんな感じなのか体感したいです」
午前のスクールと午後のレースに集まった延べ約100名の参加者は一様に期待感を隠さない。目的はそれぞれだが、皆さん外での実走を楽しみ、課題を明確に持っていることが印象的だ。
クラスは初心者の「M3クラス」から「M2」、「M1」と順にレベルアップしていく。内容はレベルに応じているが一貫しているのは「まっすぐ走る・曲がる・止まる」の基本三要素だ。今回はM2クラスの講師を務めたハムスタースピン代表の福田昌弘さんは「昔はこういう機会はなく我流だけでした。でもそれは日本だけじゃなくて、市民レース界は世界的に同じ。アマチュアは体力も練習環境もプロとは違います、日本だけが我流なワケではありません。ただ、ああいった年代から乗り方や走り方を身に着けているかどうか、という違いはあります」と話す福田さんの視線の先には、8の字スラロームを楽しんでいる子供たちのスクール風景があった。確かに小さいころに身に付けた感覚やスキルは生涯のものになる。
しかし、大人になってからこのスポーツを始める人が大半の日本において、このスクールが幅広い年代を対象としている点は意義深い。
「ペダル平行、頭は動かさない、骨盤を意識。この3つですよ!」とシンプルにスラロームのポイントをレクチャーするのは小笠原崇裕さん。MTBクロスカントリーやXTERRAなどの第一人者とあってバイクコントロールは抜群だが、教え方も上手い。参加者も数を重ねるごとにどんどんうまくなっていく。自然と笑みがこぼれ、ますます挑戦したくなっていく。
「これまで下りはずっとブレーキを握ってましたが、効率的なブレーキングがあるんですね」と話してくれた女性は、新たな発見に目を輝かせている。
「コーナーはこれまでずっと外足荷重の意識だけでしたが、目線ひとつでずいぶんコーナーリングがスムーズになるんですね」という男性は「まさに目からうろこです」と笑った。
これからはナイターもやりたい
「今後はナイター教室もやりたいんです。自動車教習所なら、夜の自転車通勤の環境も再現できますよね。後ろから来る車のライトの感覚や、歩行者の見え方なんかも日中とは違いますから」と話す安藤さん。
回数を重ねるごとにスクール「卒業生」も増えるが、コロナ禍を機に自転車通勤や新たなスポーツへのチャレンジを目的とする「新入生」も増えていくだろう。
そして「安全」「楽しみ」「目的」、何よりも「仲間」を提供するこのスクールの役割と将来性も高まっていくに違いない。
◆スマートコーチング
〒160-0004 東京都新宿区 四谷 4丁目 18 高橋ビル地下1階
https://coubic.com/smart-coaching
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。