2016年06月24日
第20回全日本個人タイムトライアルロードレース大会【速報】
2016年の全日本自転車選手権大会ロードレース(6月24〜26日)は、アジア大会同様に伊豆大島(東京都大島町)で行なわれている。交通手段として。おもに大型船で島へ渡るわけだが、多くの選手や関係者が数時間同船することになり思わぬ交流の時間が生まれたり、
(船旅も悪くないな)とインターネットもスマートフォンも使えない時間がなんとも心地よいものだった。
さて、初日となる個人タイムトライアルはすべてのカテゴリーが行なわれた。午前では女子ジュニア、男子ユース+ジュニア、男子U23、パラサイクリングと続き、午後は女子エリート、男子エリートとなった。U23では昨年3位の結果だった小林海(こばやしまりの・Team KUOTA C.PAULINO)が優勝、女子エリートは昨年に続き、興那嶺恵里(よなみねえり・Hagens Berman Supermint Pro Cycling Team)が制する。2位には昨年までジュニアで活躍した梶原悠未(かじはらゆみ・筑波大学)、3位には萩原麻由子(Wiggle High5)と言う結果だ。女子に関しては翌日がロードレースとなる。上位三名はいずれもレースの中心になるメンバーだ。このTTによる疲労がどのようにコンディションに影響するか、がポイントになるだろう。
「なにが起こっても落ちついて、焦らずに。TTだとわからないんですよね。その日のコンディションがそれぞれあるので。勝つことだけを考えていました。昨年とはコースがまったく違うので、風もありましたし、道も狭かった。昨年は前が見えるレースだったが、今回は近づいていても前が見えなかった。萩原選手は2周目復路の上りで捉えたんですが、また追い抜かれて、またそこからエンジンをかけ直しました」。興那嶺のコメント。
男子エリートは昨年上位3名が参加し、4年ぶり2度目の西薗良太(にしぞのりょうた・ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)が勝利。ゴール後は感極まるシーンも見られた。
2位は佐野淳也(さのじゅんや・マトリックスパワータグ)、3位は増田成幸(ますだなりゆき・宇都宮ブリッツェン)。佐野には後半、タイム差を詰められる場面もあったが、最終的には30秒もの差をつけて圧勝という結果であった。
以下、西薗選手のコメント。「やり残したことがあるのではないかと2年前に復帰しました。そこから進歩できるのかというのが、自分の壁だったんですけど、コツコツやってきて色々な数字だったり、タイムだったり、という練習を積んでいく段階で上がっていくのがわかりました。個人TTは12年に獲ったタイトルだったんですが、15年は勝利を惜しくも逃すという場面が多くて、なんとか今回勝ちたいという想いがありました。その準備のために家族もトレーニングのために協力してくれたり、犠牲になってくれた部分もあり、スタッフにも無理を言って準備をしてもらった。これは自分のためだけの勝利ではありません」「これまで日本のロングのTTは伝統的に大潟村や利根川でやってきていて、学生の頃から淡々としたペーシングの練習をしてきたし、得意としてきた。去年初めて、那須のダイナミックなアップダウンのTTを経験して、平坦基調の感覚で出場して大失敗をした。今回も細かいけどアップダウンがありそういう時のペーシングをどうすればよいかというのを自分なりに研究した。身体的にもTOJの富士山のステージでも日本人トップになったりと、仕上がりも順調だった。出すべくして出せたタイムだった。自分のなかで良いペーシングができたのではないかと思います。データを積み上げるのは得意なのですが、最後は感覚との相談なので、そう言った部分を大事にしながらトレーニングを積んできました。」2日後のロードレースについては「チームの中から誰でも良いので勝てれば良い。このコースを走ったことがあるのはアジア選に出たメンバーだけ。展開がまったく予想がつかないので、逆になにも予想しないで、攻撃をして勝ちを獲りにいきたい」と語った。
PHOTOギャラリーをどうぞ。
増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
西薗選手のトレーニングを支えた福田昌弘氏(ハムスタースピン)、小山浩之氏(自転車空力研究家)
エリート男子個人タイムトライアル
1位 西薗良太(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) 42:57.290
2位 佐野淳哉(マトリックスパワータグ) 43:23.290
3位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) 43:48.900
ピークスグループコーチングジャパン中田尚志氏(左)が西薗選手のトレーナーを務める。
エリート女子個人タイムトライアル
1位 與那嶺恵理(Hagens Berman Supermint Pro Cycling Team) 31:47.100
2位 梶原悠未(筑波大学) 32:24.800
3位 萩原麻由子(Wiggle High5) 32:48.550
與那嶺恵理(Hagens Berman Supermint Pro Cycling Team)
U23男子個人タイムトライアル
1位 小林海(Team KUOTA C.PAULINO) 14:21.150
2位 岡篤志(弱虫ペダルサイクリングチーム)14:27.050
3位 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) 14:31.840
パラサイクリング クラスC個人TT
1位:藤田征樹(チームチェブロ) 15:08.02
2位:佐藤圭一(イナーメアイランド信濃山形) 15:08.55
3位:川本翔大(ヤマトライス)18:43.76
ジュニア男子個人タイムトライアル
1位:大町健斗(安芸府中) 15:21.120
2位:渡邊歩(EQADS) 15:45.940
3位:山本真寛(八戸工業第一) 15:59.250
ジュニア+U17女子個人タイムトライアル
1位 下山美寿々(大阪教育大天王寺) 17:23.680
2位 田上萌々子(筑波大坂戸) 19:01.990
3位 小林あか里(Cherry Japan) 19:18.840
著者プロフィール
山本 健一やまもと けんいち
FUNRiDEスタッフ兼サイクルジャーナリスト。学生時代から自転車にどっぷりとハマり、2016年まで実業団のトップカテゴリーで走った。自身の経験に裏付けされたインプレッション系記事を得意とする。日本体育協会公認自転車競技コーチ資格保有。2022年 全日本マスターズ自転車競技選手権トラック 個人追い抜き 全日本タイトル獲得