2016年01月19日
3モデル インプレッション VOL.8/GIANT DEFY ADVANCED 1(エンデュランスモデル)
GIANT / DEFY ADVANCED 1
2016年モデルのディファイ アドバンスド シリーズはすべてディスクブレーキ化をはたし(ディファイ シリーズは通常のリムブレーキを搭載)ている。ジャイアントの動向でトレンドを推し量れるが、まさにディファイ アドバンスドのアッセンブルからはディスクブレーキ化の流れを強く感じさせるもの。快適性を追求したその形状設計、そして天候にたいしてセイフティマージンの高いディスクブレーキを搭載することで、より頼もしい存在となったディファイ アドバンスドを紹介しよう。
DEFY ADVANCED 1■フレーム:Advanced-Grade Composite OLD135mm■フォーク:Advanced-Grade Composite、Aluminum OverDrive コラム■試乗車のコンポーネント:シマノ・アルテグラ■ブレーキセット:TRP SPYRE AL 160mm■リム:ジャイアント・P-R2ディスク 28H■ハブ:FORMULA Cartridge Bearing Disc 28H■完成車実測重量: 8.5kg(ペダルなし)■カラー:ブラック×ホワイト■サイズ:445(S)、480(M)、515(ML)mm■価格:250,000円(シマノ・アルテグラ完成車、税抜)
Dフューズ シートポストは前後にしなるような形状設計で、快適性向上をねらったもの。またクランプ部分をフレームに内蔵することで、すっきりとした外観を演出。
ディスクブレーキ台座はインターナショナルAタイプとなる。TRP製デュアルピストン機械式ディスクブレーキを採用。
フロントもリア同様の仕様。ハブは従来のクイックレリーズ方式を採用している。
フレームの左側にケーブルの取り回しをまとめたことで、スッキリとした配線を可能にした。
フロントはコンパクトドライブ(50/34T)に対してリアは11-28Tを用いることで、ワイドなギア設定にしている。
アップライトなポジションを設定しやすいように従来のサイズ感よりもトップチューブは短く、ヘッドチューブを長めにしている。
一新したフレームはより幅広い用途向けに◆菊地武洋
2015年モデルからディファイシリーズはフレームを一新。リムブレーキではなくディスクブレーキ搭載を中心としたラインナップに生まれ変わった。このポイントをどう考えるか……で評価はわかれるだろう。ディスクブレーキをロードバイクに採用するのには賛否あり、否定的な偏見をもっている人もいる。しかし、リムブレーキを大きく上回る安定した制動力、抜群の制動感やコントロール性は大きな魅力だ。もちろん課題もあるが、長期的にはMTB同様、ロードバイクもディスク化していくと僕は思う。初心者や先進的なライダーなら、まずは積極的に使ってみるべきだろう。さて話がブレーキに集中したが、ディファイには電動変速以外の最新機能がほぼすべて投入されている。直進安定性の高いジオメトリーに、トップチューブが短く前傾姿勢の浅いライディングポジション。さらに“カマボコ”みたいな断面形状のシートポスト(Dフューズ)や平べったいシートステーによって路面の振動がお尻に響かない……となれば、多くの人にとってデファイ アドバンスドは最良の選択の1つだ。バリバリにレースをやりたい人には、ハンドル位置が下げられないのが気になる場合もあるだろうが、基本的な守備範囲は通勤・通学からグランフォンドまで、本当に幅広く使える。25万円でカーボンフレーム+ディスクブレーキと考えれば、買って損のない1台といえるだろう。
ディスクブレーキと調和したエンデュランスバイク◆小高雄人
振動吸収性がバツグンに良く、リアはもちろんのこと、フロントからも嫌な振動を感じさせない。ディスクブレーキモデルにシリーズごと一新されて早2年目だがコンプリートバイクとして完成されている気がする。現状もっともディスクブレーキとの相性が良いロードバイクと言えるだろう。28Cのタイヤを装着していることもあり軽快感こそTCRやプロペルに一歩譲るが、重心が低く安心感がある。また直進方向に安定していてシッティングはもとよりダンシングがしやすかった。長距離ライドにおすすめのモデル。少しの悪路なら気にせず山にも入っていけそう。ジャイアントが世に発信したスローピングチューブ。そのなかでもディファイはスローピングの率がとくに高いルックスである。好みの分かれるところだろうが、日本人でもシート長が出せるので、かっこよく見えそう。
リーズナブルながらも走りは本格◆山本健一
機械式ディスクブレーキながらも、通常のブレーキとは明らかに違ったフィーリングが得られる。ブレーキへの入力に対して比例して制動力が得られるのは通常のブレーキとは違った印象で、油圧式でなくてもその印象は得られたことは収穫だった。ペダリングに対するレスポンスの良さは満足。とくに上りでは幅広いギアレシオの恩恵もあってか、かなり快適にこなせる。ワイドギアであるため、ケイデンスやスピードが変化するような場面、例えば競いあって上るときには隣り合わせの歯数の差が大きいことが、ストレスに感じられるかもしれないが、イーブンペースで上るならまったく気にならない。快適性に関しては、まさにそれに特化したフレームということで、全体的なコンフォート感はヒシヒシと感じられる。その上、外観からもわかるようにフレームは構造的にもしっかりとした不安感のない仕様になっている。フォークは制動時のバイブレーションは抑えられているが、試しにコーナーを高速で攻めてみたところ、少したわみの影響が見られるような感じもあった。エンデュランスライドに非常に適した設計であり、スピードにもゆったりとした走りにも気前よく応えてくれる。カーボンフレーム×ディスクブレーキながら、価格面でも25万円というリーズナブルかつ妥協のないスペックにはジャイアントの心意気が伝わってくる。週末のロングライドを心待ちにしているサイクリストにとって素晴らしいパートナーになりそう。
(写真:和田やずか)
ジャイアントのお問い合わせ先:ジャイアント TEL:044-738-2200
http://www.giant.co.jp/giant16/
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。