2018年10月19日
次世代の人車一体感。GIANT ESCAPE RX-E+ デビュー
ロードバイクに乗っていて、E-BIKEに興味を持っている方はどれくらいいるだろうか?
「自分には関係のないジャンル」と思っている方も多いかもしれない。私もどちらかといえば、「もちろん便利なのは分かっているけど、自分には必要ないかな」と考えてしまうタイプだ。
今回、2019年モデルとしてGIANTから満を持して発表されたE-BIKE「ESCAPE RX-E+」の試乗会に参加した。じつはじっくりとE-BIKEに乗るのは今回が初めて。結論から言うと、前述の考えは、ESCAPE RX-E+に乗ってみて一気に吹き飛ばされた。
試乗会会場はジャイアントストア聖蹟桜ヶ丘。お店の前にずらっと並んだESCAPE RX-E+
ヨーロッパのトレンドであるE-BIKE
新たなユーザーの獲得を期待
試乗の前に行われたプレゼンテーションでは、E-BIKEの市場やESCAPE RX-E+のテクノロジーの説明が行われた。
E-BIKEはヨーロッパを中心にここ数年人気が拡大しており、昨年比で20%ずつ販売台数が増加しているという。日本でも、一般車を中心に電動アシスト車の販売台数が好調に伸びており、その影響がスポーツタイプのE-BIKEにも広がりつつあるととのこと。E-BIKEを販売しているどのメーカーも言われることだが、E-BIKEの登場によりスポーツサイクルの新たなユーザー層の獲得が期待されている。
そのような状況のなか、GIANTが発表したESCAPE RX-E+。クロスバイクジャンルでもっとも高い知名度を誇るといっても過言ではないESCAPEシリーズのトップグレードモデルであるESCAPE RXをベースとしたジオメトリーとなっており、スポーツサイクルとしての軽快さを有しているそう。
E-BIKEの心臓部分となるモーターとバッテリーに関しては、それぞれYAMAHA(モーター)、Panasonic(バッテリー)とタッグを組み開発し、長距離をパワフルかつスムーズにサポートする仕様を実現。フル充電の際に、もっとも強力な「スポーツ」モードで90km、一番アシスト力の弱い「ECO」モードで225kmの走行が可能だ。バッテリーは500回の充電することができるので、単純に計算して、ずっと「スポーツ」モードで走行したとしても、少なくとも45000kmは走行が可能という計算になる(実際はそれよりはるかに長い距離を走行可能だろう)。オプションパーツとしてバッテリーもラインアップされているので、その点も安心だ。
ドライブトレインはシマノ ティアグラグレードを採用。フロントをシングルとして、リアは11~34Tの10速仕様となっている。油圧ディスクブレーキに32Cのタイヤと、足回りのセレクトもターゲットユーザーを見据えて抜かりのない印象だ。
ということで、早速インプレッションをお届けしたい。
シクロクロスレースでも活躍をするジャイアントの斉藤朋寛さんによるプレゼンテーションが行われた
ストレスから開放された
新感覚のライディングフィール
モーターの操作レバーは左ハンドルに配置されている。右レバーにリアディレイラーシフターがあるので、フロント変速をする感覚で、モーターを操作できる。
操作レバーは非常にシンプルでUIに優れたデザイン。とくに説明を受けなくとも、問題なく操作することができた。セントラルメーターの表示もシンプルで見やすい内容となっている。
まずは「ECO」モードに設定し、さっそく走り出す。踏み出しと同時にごく自然にモーターが稼動し、ペダリングをアシストしてくれる。「ガクンッ」といった不自然な加速感はまったくなく、下手をすればアシストされているのを忘れてしまいそうなほどのスムーズさだ。
スピードが上がっていくにつれて、モードを一段階ずつあげていく。リアギアも徐々に重くしてみる。どのギアでも、どのアシストモードでも、心地よいライディングフィールは変わらなかった。ちなみに、アシストモードをオフにしてみても、走行感はスポーツ車らしく軽快。E-BIKEなのでバイク自体に重量はあるものの、30km/h程度までならスムーズに加速していく。
アシストの恩恵がもっとも受けられるのはやはり上りだろう。試乗コースに設定されていた約800m、平均勾配7%程度の上りはつねに22km/hほどで楽々と走り続けることができ、思わず笑みがこぼれてしまった。感覚としては、結構な追い風が吹く平坦路を走っているとき程度の負荷がペダリングにかかっているイメージ。このアシスト力があれば、Mt.富士ヒルクライムのコースでも簡単に1時間10分を切ってしまう。
優れたアシスト力に加えて、油圧ブレーキによる制動性も備えているため、どんなシーンでも走行中のストレスがほとんない。気がつくと自転車に乗っていることを忘れるぐらいにボーっと景色を楽しみながら、走っていた。何か考えごとをするには最高かもしれない(笑)。自身の思い通りにバイクを操るといった類の、これまでに言われてきた「人車一体感」ではなく、自転車と自分との境界がだんだんと曖昧になってくるような、未来的な「人車一体感」を創出しているような気さえした。E-BIKEは、自分には関係のないものと考えている方にもぜひ一度乗ってみてほしい。きっと今まで味わったことのないライド体験ができるはずだ。
なお、今後ジャイアントでは、各ジャイアントショップでの試乗やレンタサイクルを進めていくとのこと。
当日は20℃ほどの気温。ジャケットを着て走って、軽く汗ばむぐらいの運動量だった。上りの快適さに思わず笑ってしまった
E-BIKE ESCAPE RX-E+
価格:280,000円(税抜)
カラー:アイスグレイ(トップ写真)、ブラック
サイズ:445(XS)、485(S)mm
重量:20.0kg(445mm)
走行モード:SPORT(90km)、NORMAL(110km)、ECO+(150km)、ECO(225km) ※()内は一充電あたりの走行距離
ドライブトレイン:シマノ ティアグラ(10速)
ブレーキ:シマノ MT200
ホイール:ジャイアント GX-28 ホイールセット
タイヤ:マキシス RE-FUSE 700×32C
YAMAHAと共同開発されたモーター。セッティングデータが他社比較で12倍内蔵されており、スムーズなモーターサポートが可能。最大トルク:80Nm、最大ケイデンス:110rpm
視認性に優れたセントラルメーターも分かりやすい表示。バッテリー残量やモードごとの走行可能距離なども確認できる
セントラルメーターはマイクロUSBポートを搭載し、スマートフォン等の充電が可能
バッテリーから給電式のLEDフロントライト。明るさは2パターンから選択可能。
問:ジャイアント https://www.giant.co.jp/giant19/
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。