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2016年03月11日

E-BIKE インプレッション【the PARK P7HE編】

東洋フレームが展開するブランド”the PARK”よりリリースされているEバイク、P7HE。このバイクに色々な可能性を感じ、編集部でテスト&チェックを行った。その模様をレポートしよう。

スポーツ車として設計したそのフレームはフラットバー向きのジオメトリーとなる。トップチューブ長が570mmと長いのはフラットバーで操作する上で、日本人の平均身長前後でコントロールしやすい長さに整えられているといえる。チューブは国産スチールで、製作は東洋フレームだ。バッテリーがやや主張しているものの、スチールフレームにあわせてシルバーポリッシュのホイール、シンセティック レザーのサドルとグリップと、全体のフォルムが調和した落ち着きのある雰囲気をかもしだしている。

走りをアシストするユニットはハンガー下に搭載している。搭載するのは日本製モーターとバッテリーだ。一回の充電でロングモードならおよそ95kmの走行距離をアシストしてくれる。ほかに2モード用意され、ノーマルモード(走行距離:77km)、パワーモード(走行距離:40km)がある。各モードの違いは補助力が加わる速度域が変わる。よって高速走行からツーリングなど、幅広い用途に対応してくれるのだ。これらは手元のコントローラーで操作を行なう。

 

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P7HE■フレーム:日本製 クロモリ鋼材■フォーク:日本製 クロモリ鋼材■試乗車のコンポーネント:マイクロシフト9スピード 12-25T 1×9■ホイール:700C HI-POLISHED RIM + ORIGINAL SMOOTH TURN HUB■完成車実測重量: 17.0kg(ペダルなし)■カラー:ガンメタル 、ネイビー■サイズ:シート長 490mm(c-t) /トップ長 570mm(ホリゾンタル換算)■価格:270.000円(完成車、税抜)

 

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ヘッドチューブに取付けられたヘッドバッジが燦然としている。

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ホイールはまさしく銀輪な仕様。アッセンブルするタイヤは太目の32Cでオールラウンドに使えるだろう。

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手元のコントローラでモードの変換、アシストのON/OFFを行なう。

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日本製のモーターはBBの直下に搭載している。

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変速は1×9スピード。フロントは41T、リアのトップは12T、ローは25T。アシスト機能を考慮すれば、どんなコースにも対応できるギアレシオだ。

 

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テストライダーの菊地氏はけしからんことにフロントホイールをライトウェイト・ギッフェルストームに換装してインプレッションするという暴挙! に。※もちろん通常装備でもテストライドを行なっています。


IMPRESSION

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現在、もっとも伸びしろのある自転車と言えば、Eバイクだろう◆菊地武洋

93年にヤマハとホンダが発売し、日本では永らくママチャリと原チャリ(原動機付き自転車)の中間的なポジションを担ってきた。スポーツバイクに興味のある僕たちにとっては無縁なカテゴリーだったが、近年になってヨーロッパでEバイクに火が付いて、身近な存在になりつつある。法規の関係で日本には輸入されていないが、大手総合完成車メーカーなら必ず、バリバリのレーシングブランドでもEバイクをラインナップに加えている所が多い。東洋フレームと電動アシスト自転車という組み合わせは違和感があるが、世界的な流れで考えればごくごく自然なことだ。10万円以下で電動アシスト自転車が買えるご時世に、27万円のプライスタグを設定するのは勇気がいる。《P7HE》が他の電動アシスト自転車と一線を画するのは、価格に占めるフレームの割合だろう。ママチャリタイプのアシスト車はパワーユニット+フレームだが、《P7HE》の主役はフレームにある。発信直後はアシスト車らしい加速で車体を安定させ、あとは素直でスポーティーな走行感が楽しめる。外から見ているとバッテリーの大きさが気になるが、乗ってしまえば関係のないこと。アシスト力のマネージメントには好みが分かれるが、補助効果をハッキリと感じたい人向けといえる。フレーム細部の作り込みは、さすが東洋フレームが関わっているだけあって、僕たちのようにスポーツサイクルを趣味にしている人でも満足できる出来映えだ。フレームの素性が良さそうなので、前輪だけライトウェイトを装着してみたが、驚くほどスムーズで快適になった。電動アシスト自転車のフレームというのは、車重が重い分だけ、実は良く出来ているモノが多い。それでも、これだけスポーティーさをもっているフレームは希有な存在である。

 

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スポーツ×電動アシストの合わせ味◆山本健一

踏み出しからスムーズな加速を生み出してくれて、抵抗をまったく感じない初速のスピードがやみつきになる。船橋オートのバンク角度は2度だ。オーバル状のバンクを回っているぶんには、そのカントに気がつかないが、バンクの内側から外側へ向かって走るとそこそこの上りとなる。急勾配とはいかないが、日常で遭遇するプチ坂道のような雰囲気でバイクを垂直に上ってみると、その軽快さはさらに鮮明に感じることができる。アシスト機能ってすごく楽しい。スポーツバイクの軽快性と相まって非常に高い運動性能を感じる。時速24km以上のスピードまでもっていくと、アシスト力はゼロになるが、それ以降はバイクの性能を楽しめる。スチールだからこその粘りのある剛性と直進安定性で、踏み込めば40km/h程度まで気持ちよく加速できる。フレームワークは東洋フレームが、プロデュースしているだけあって、よどみなく走る。

菊地氏の言うとおり、スポーツとして自転車を捉えたとき、電動アシスト機能に頼るのは無縁であると思う。しかしそれも多くの人は40代までで、そこから身体能力が低下していくのは目に見えているわけで、そういった意味ではEバイクはかつての青春を取り戻すことができるツールだと思う。かくいう筆者も不惑に脚を踏み入れたばかりであるが、寄る年波の脅威は日々感じているところだ。かつて若かりし頃の疲労という言葉を知らんがばかりの行ないを、Eバイクに乗って、せめてバイクライディング中だけ若さを取り戻せるなら、それはある種の生き甲斐を得たとも言える。Eバイク全体の評価ともいえるが、東洋フレームは日本で使える数少ないスポーツEバイクを着手した国内メーカーとして高く評価したいのだ。スチールフレームのフォルムから乖離したバッテリーの大きさなどブラッシュアップできる部分はあるが、大出力バッテリーとして距離への不安を払拭してくれる。つまりはスポーツを行なう楽しみを再確認させてくれるギアとしては優秀なのである。筆者を含めた中年の話になってしまったが、もちろんスポーツ初心者の若者や女性がたしなむためのもの、としても良い。電動アシスト機能をより前向きに捉えることができたテストライド デイだった。

 


(写真/うさみ たかみつ)

the PARK オフィシャルサイト http://thepark-tokyo.com/lineup/ebike/

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