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2019年07月17日

ピナレロドグマF12 DISK インプレッション

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ドグマ(DOGMA) F12 DISK
ドグマF10の進化モデルとして発表された F12。ツール・ド・フランスなど、グランツールを戦う「チームINEOS」に提供されるピナレロの最新ハイエンドモデルだ。
編集部はこのF12をお借りして、
6月30日(日)にイタリアで開催された「グランフォンドピナレロ」175kmの部に参加した。フルコースを走って得たインプレッションをお届けしたい。

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175kmのレース出場を兼ねたインプレッションにスタート前は胸が踊った

グランフォンド向けバイクとは?

事前プレゼンでは「F12こそグランフォンド向きだ」と説明を受けていた。イタリアで「グランフォンド」とは、長距離の公道レースを指し、サイクリング的要素が強い日本のグランフォンドとは少々意味合いが異なる。つまりF12のコンセプトは「長距離をスピードと技術を使って走るためのモデル」ということになる。
乗り味は「ガチガチ」ではなく「スーっと走ってくれる」印象だ。先代のF10から高弾性カーボンT1100 1K素材を引き継いだF12は「高剛性バイク」に属する。ただ、ドグマにとって「高剛性」とは「推進力」を産むためのもの。上り、下り、平坦、あらゆるシチュエーションでペダリングパワーが推進力に変わる実感がある。前へ前へと進むこのフィーリングは、当然長距離での快適さにつながっていく。「走力があるほど、このバイクの恩恵を得ることができる」、これが最初の印象にして、結論でもある。

上り、下り、平坦を助けるスーパーバイク

フレームにその秘密がありそうだ。
まず、F10と比べて存在感を増したフロントフォーク。ディスクキャリパー側の左フォークが太く、左右非対称形状になっている。そのマッシブなフロントフォークと、大口径化されたヘッドチューブが相まってハンドリング性能を高めているのは明らかだ。とくに下りのコーナーリングでは狙ったラインを外さない。路面に張り付くようなコーナーリングを楽しむことができた。

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がっしりとしたONDAフォークにブレーキディスクキャリパーという戦闘的なルックス

一方、上りでは「掛かりのよさ」を感じさせる。フォーク同様にボリュームを増したチェーンステイの恩恵なのか、ペダリングパワーがダイレクトに推進力に変わるフィーリングがあった。
フレーム形状はF10と比べて全体的にボリュームを増した印象が強いが、重量を増やさずに剛性アップを実現している。フレームの中空構造化などで重量を増やさず剛性を高めるという、極限の作りこみがなせるワザだろう。

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スクエア形状のチェーンステイはボリュームを感じるがF10からの重量増はない

空力の改善もF12の目玉のひとつだ。事前のプレゼンでは 40km/h走行時で平均8ワットのパワーセーブを実現していると聞かされていた。
実際に走ってみて、ハンドルからヘッドチューブ、そしてフロントフォーク周りのエアロ効果を、とくに下りで実感できた。リム高40mmのホイール「フルクラムWIND 40C」のエアロ効果と相まって、ノーペダリングの下りでも安定して高速を維持するダウンヒルは最高だった。
上り、下り、平坦が繰り返される「グランフォンドピナレロ」では、175kmのあらゆるシチュエーションで、F12はその持ち味となるところを乗り手に与えてくれた。
ちなみに、昨今のグランツールでは、コースプロフィールによってバイクを使い分けることが多いが、供給される「チームINEOS」はF12一本でレースを戦う。まさにスーパーバイクだ。

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ヘッド周りのルックスからもエアロ効果を追求していることがわかる
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ステム一体型「Talon Ultra」はワイヤーがフル内蔵化されエアロ効果の向上に寄与する

乗り手の走力が真価を引き出す

最後にディスクブレーキに触れておきたい。今回が初めての使用だったが、もうキャリパーブレーキには戻れないというのが実感だ。ほんの僅かなレバー操作でスピードコントロールが自在にできる。とくに下りの安定性において、ディスクブレーキの果たす役割が非常に大きいと実感できた。
175kmを走りきった直後の印象は「このバイクを乗りこなすために強くなりたい」だった。
上り、下りを問わず「長距離を走る」ために設計されているコンセプトは、アマチュアの編集部でも実感することができた。しかし、乗り手の走力が、F12の真価を引き出すことは間違いない。

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今回は25Cのタイヤを装着したが、タイヤクリアランスは28Cまで対応する


ピナレロの製作風景

レース翌日は、ピナレロ本社にある工場でF12フレームの最終工程にあたる塗装とステッカーの貼り付け作業を取材した。スタッフによって一本ずつ仕上げられたフレームは、世界中のサイクリストに向けてイタリアから出荷される。
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ガイドなしで次々とステッカーが貼られていく

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塗装は下地を入れて、少なくとも4回作業があるという


本社ピナレロショップ
ピナレロ本社の敷地内には「ピナレロショップ」が併設されている。バイク、シューズ、アパレルなどが販売されるショップではショッピングが楽しめるほか、ドグマ F12の豊富なカラーラインナップが展示されていた。

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ショップは2階立て。国内の大手スポーツショップと変わらない広々としたスペースだった

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野生生物保護運動を支援する活動を行なっていることでも知られるクリス・フルームの F12には活動の象徴であるサイのグラフィクスがあしらわれていた
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エアロ効果を高めるためにフロントフォークにフィンがついているモデルも展示されていた。UCI規定により現在の形状に落ち着いたそうだ

◆より詳しいドグマF12のスペックはこちら
https://funride.jp/news/dogmaf12review177/

◆グランフォンドピナレロ出走レポート
https://funride.jp/report/granfondo-pinarelloreport/

◆問い合わせ:ピナレロジャパン
関連URL:www.pinarello.jp

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