2015年11月12日
3モデル インプレッション VOL.2 COLNAGO編/C60 (スタンダード)
COLNAGO / C60 IMPRESSION
コルナゴのハイエンドモデル”C”シリーズの最新モデル、C60をインプレッションしよう。BBの機構やチューブ構造のスペックが変わっても一貫して続けるのはラグを用いたフレーム製作方法だ。ことBBに関しては独自のスレッドフィット(ねじ込み式)にプレスフィットを圧入しフレームに装着するというもの。発想の転換というよりも、昔ながらの機構がいかに優れているかという意味をコルナゴが知らせてくれている。
COLNAGO / C60 フレームはカーボンチューブ+カーボンラグ、フォークはC60 HHM-HM カーボン。試乗車のコンポーネントは、カンパニョーロ・レコード。ホイールはカンパニョーロ・シャマル ミレ。完成車実測重量は7.0kg(ペダルなし)。カラーはクラシックブラック、クラシックブルー、クラシックレッド、クラシックホワイト、ポリッシュブラック、ポリッシュホワイト、イタリアンブラック、イタリアンホワイト、イタリアンレッド、レースブラック。サイズは420S、450S、480S、500S、520S、540S、560S、580S、600S、530、550、570 価格:665,000円(フレームセット、税抜)
ラグとチューブは特殊な接着剤によって接合される。その耐久性はプロのレースで証明されている。
メガチューブ化したとしても、つぶしの入る独自のチューブ形状は継続している。
コルナゴとひと目でわかるグラフィック。フレームカラーのパターンも多い。
独自のスレッドフィットBBによって、何度もBBを変えてもフレームにダメージが残りにくい。
豪快なチューブ構造にあわせて、シートポストはΦ31.6mmを用いる。シートクランプは標準的なスタイル。
モノステイながらも太さはツインステイと同等はあるだろう。角断面チューブを用いていて、パワフルに見える。
”C”は王者の資質
コルナゴの『C』に乗る。それはイタリアンバイクが好きな人にとって、特別な響きだ。オシャレ中年雑誌に「成功した大人なら、持っておきたいモノ」の1つにスポーツバイクが選ばれるようになった現在、C60を所有するだけでも相当に心地よいことだろう。ライダーの実力もバイク相応の走りが求められる……と構えると敷居は高いが、幸いなことに『C』の人たちは往々にして体脂肪率が低くないから、ゆっくり走れるバイクでもある。とはいえ、基本性能に優れるのは疑う余地もない。ソリッドで切れ味鋭い加速は、さすがコルナゴの頂点に君臨する王者。僕のパワーで全開で踏んだところで、ビクともしない。V1-rよりもわずかにホイールベースとヘッドチューブが短く、よりレーシーでスパルタンな設計は峠でマシンを操る楽しさに満ちている。特に低重心で安定感ある高速コーナーはライバルと比較しても、速くて強いという印象を受けるだろう。その強さを引き出しているのが『特盛り!』状態のぶっといシート&ダウンチューブで、写真で見るよりも実際の方が太い。選手のリクエストで強化されたのかもしれないが、体格の小さな日本人や身体は大きくても僕のように貧脚なライダーにはオーバースペックに感じる人もいるだろう。個人的には軽快感のあるC59のほうが好みだが、C60にしてもフレームの剛性そのものよりも、ホイールやドライブトレインとのバランスを見直すだけでも、印象が良くなりそうだ。タイヤの選択も僕だったら24Cぐらいでセッティングを煮詰めてみたい。
純プロ仕様のフラッグシップ♣︎小高雄人
とにかく剛性感が高い。BBまわりだけではなく、トップチューブもダウンチューブも同等に硬さを感じた。ただ、低重心な乗り味ということも寄与してか、その硬さにあまりネガティブな印象は受けない。あまり多くのバイクを乗り比べたことがないので、定かではないが、この硬さはラグフレーム特有のものかもしれない。コーナリングや上りでも、バイクの印象は変わらず、脚のあるレーサー向けの走行性能を有しているといえる。一方で、トルクをかけないで走れば、非常に快適に走行できるという面も併せもつ。レーサー志向のサイクリストから長年のコルナゴファンまで唸らせるスペシャルなバイクだ。
真のプロスペック♣︎山本健一
ファンが思い描くコルナゴらしさを体現したカーボンフレーム。現在主流のカーボンフレームの形ではなく、カーボンラグとカーボンチューブを用いたコルナゴ的スタイルは、独特の印象と魅力を放つ。世代を重ねるごとにボリュームアップしたC60のカーボンチューブとラグは迫力が違っていて、これにともない運動性能もすこぶる高く、フレームの剛性は非常に高い。またがった瞬間にその剛性と反応の鋭さを感じ取ることができる。カーボンラグを用いたことでチューブの設計やジオメトリー調整の自由度が高く、パワーが段違いのプロが駆るプロスペックとしてなら、それなりの変更が加えられてしかるべき。ベースともいえる市販モデルでこの剛性レベルは、脚を試されているようにも感じる。走りそのものはピュアレーサー向きではあるが、20年以上前から変わらないスタイルのグラフィックは往年、新規問わずコルナゴファンの心を鷲掴みなのである。乗りこなす喜びと所有する喜びを満たせるイタリアンバイクといえる。ようやくこのバイクに手が届いた! というミドルエージにはまさにアガリのバイクとしても納得の完成度だろう。そしてストイックに走りたいレーサーの一点豪華フレームとしても絶対の満足感を得られるはず。
(写真/和田やずか)
コルナゴのお問い合わせ先:エヌビーエス お問い合わせフォーム http://www.colnago.co.jp/
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。