2016年02月26日
3モデル インプレッション VOL.10/RIDLEY編 総論
3モデル インプレッション VOL.10 RIDLEY
山本:僕は3モデルとも結構好きですね。ミドルでもハイエンドモデルに負けず劣らずレーシーな性能でよく走ってくれた。
菊地:100万円の自転車を3本もってくれば良い評価になるのはわかっている。でもそれは読み手を含めてみんながハッピーとはいえない。ミッドレンジをきちんと評価できるかどうか? テスターの評価能力も問われるよね。この値段に相応しい実力を見極めないといけない。ライバルのモデルと比べてどうなの?とか、純粋な走行性能だけではなく相対的な評価も求められるでしょ。
山本:だからハイエンドよりもミドルのほうが面白いときがあります。初級者にも上級者にも、多角的に訴求もあるし。
菊地:リドレーのイメージは肩肘をはらないカジュアルさがいいのかな?
小高:乗っていてせっつかれないようなところもあるんでしょうか?
菊地:最初の1台としては高級だと思う。でも、ブランドに相撲のような番付があったら、リドレーは幕内上位って感じだろうな。レース、エアロ、エンデュランスの3つなら、僕はエアロに乗ってみたい。リドレーらしさがわかりやすいよね、乗った感じも。メーカーのメッセージも伝わりやすい。
山本:レースでガンガンいける、というふれこみですけどポップな感じもする。グラフィックも含めて練り込まれた世界観が受け入れられていますよね。
菊地:ポルシェやフェラーリが良い! といっても、ほとんどの人は買えない。読み物としての最高級品も楽しいけど、自分に関係のある“良い”がいちばん大切。自転車だって同じで、手の届く幸せがいい。してみると、ヘリウムのトータルバランスはいい。パーツテスト用にはこういったクセのないバイクを選びたい。
山本:私もニュートラルな1台を所有していて、それを用いて色々パーツテストをすることもありますね。
小高:漫画やアニメの影響も大きかったですよね。
菊地:弱虫ペダルの追い風を受けて認知は進んだから、この先、どういう風にイメージを管理していけるか。1台目を買ってくれた人が2台目もリドレーになるか、別のブランドになるかを含めて、ブランド力を問われていると思う。
小高:この数年は追い風が吹きましたよね。
菊地:フェニックスは初年度にすごく売れたよね。でもそれ以降、ライバルを含めて大ヒットしたモデルがない。実力のあるブランドはいっぱいあるから、ライバルを出し抜くヒットモデルがほしいところだし、費用対抗だけでなく所有欲を満たすようなサービスも必要になってくるでしょう。
山本:そういう意味ではリドレーは乗ってなんぼの自転車ですね。乗って満足感を得られやすい。
菊地:飾ってナンボという自転車もあるけどね。この王様コレクションどう? って(笑)
小高: 乗りこんで付いていったキズが似合うバイクですね。綺麗なままだとかっこ良くない(笑)
菊地:チェーンステーとか傷がついていたりして、走り屋向きのブランドだよね。
山本:乗って楽しんでもらえるというのは、幸せなブランドですよね。ユーザーの記憶にも残りやすいし。
菊地:これまでは食指が動かなかったけど、今回のヘリウムは初めてリドレーで買いたいと思った。
山本:さっきおっしゃっていたテストライド用に、というのはすごく納得がいく印象ですね。まさに形状といいニュートラルなバイクという感じで。
菊地:年間にそう思うフレームってそんなに出てこないよね。『好きか、嫌いか』とはちょっと離れた ところの良い悪いだから。そういう用途にはルックとかタイムはダメだよね。クセが強いから(笑)
小高:やっぱり好きな物をつけられたほうがイイですよね。
菊地:中立がいいか、右か左か……、っていう話が出たとしたら、間違いなく中立だもんね。でも偏ってないと往々にして面白くな(笑)。
山本:わがまま(笑)。でもある意味リベラル?でどっちにも振れちゃうことができるかも。
菊地:誰にでも乗せやすいっていうか。うまい人からヘタな人までこれでやると良いですよって。
山本:ノアはだいぶ変わりましたよね。機構はとてもシンプルになって。あのギミックは結構好きだったので。今までのはなんだったんだと(笑)。
小高:あの形状設計があったから、今のノアがあるんでしょうね。
山本:リリース当時のノアは非常に硬質なイメージがありました。
菊地:インプレッションを行なった今回のコースは昔のノアでも走ったことがあるんだよね。そのときのことを思い出したよ。今のノア、もちろんミッドレンジだけどすごく乗りやすいよね。
山本:エアロに特化し続けることよりも乗り味を選んでいて、それがうまく作用していますね。
小高:フェニックスSLは良いバイクでしたね。デザインに好みが分かれそうでしたけれど。
山本:フェニックスSLはとても走るバイクだし、プロユースだけどホビーレーサーでも選びやすいっていう特長がある。親しみやすさというか。そういった意味ではスピードを楽しめるし、ゆったりと走る喜びも見いだせる。
菊地:ミドルレンジで勝負できるブランドだね。
山本:“ミドルで良いかな”じゃなくて、”ミドルが良い”というバイクたちでした。
(写真:和田やずか)
リドレーのお問い合わせ先:ジェイピースポーツグループ e-mail: info@jpsg.co.jp
http://www.jpsg.co.jp/ridley/index.html
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。