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2016年02月24日

3モデル インプレッション VOL.10/RIDLEY NOAH(エアロロードモデル)

RIDLEY / NOAH IMPRESSION

上位モデルのノアSLと同じフレーム形状(ノアSLはノアよりもカーボン素材のグレードをアップしているのだ)で優れたエアロダイナミクス性能を誇る、リドレーのエアロロードバイクのノア。外見上の大きな違いはフロントフォークで、スリットをなくしたエアロブレードタイプを採用している。エアロにこだわり抜いたフレーム形状ではあるが、レース現場での使い勝手、ライダー自身における利便性を考え、あえてブレーキはスタンダードなタイプを採用。またワイドリムや、25Cのタイヤとの互換性もある。また安全性とフレームの耐久性の向上を目指し、ステンレスで補強を施したドロップアウトを使用している。より実用的なバイクに仕上がった。またエンドユーザーのことを考えたギミックもまたノアのポイントだろう。

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バイク名■フレーム:30ton.24ton. HM Carbon■フォーク:オリジナルカーボンフォーク■試乗車のコンポーネント:シマノ・アルテグラ■ホイール:FFWD・F4R■完成車実測重量:7.2 kg(ペダルなし)■カラー:■サイズ:XXS, XS, S, M■価格:285,000円(フレームセット、税抜)

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スリットを無くしたエアロブレードタイプのストレートフォークを採用し、空力性能の低下を抑え、コストパフォーマンスとのバランスを実現。

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上側1-1/8、下側1-1/2のテーパーヘッドチューブを採用し、確かなステアリング操作を約束。

 

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空気抵抗を最小限に抑えるために、シートクランプは内蔵式となる。

 

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メンテナンスがより確実な従来のブレーキシステムを採用。実用主義だ。

 

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コンパクトになったリアトライアングルは横方向の剛性を保ちながらも優れた快適性を確保。

 

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ボトムブラケットは剛性と重量の最適化を実現したプレスフィットBB30を採用する。

 

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ダウンチューブを窪ませた、独自のカーボン整形技術”インモールドF-サーファス+”テクノロジーによって、滑らかな翼形状よりも平均7%の空気抵抗低減を実現する。

 


IMPRESSION

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ユーザーのことを考えたエアロロード◆菊地武洋

“弱虫ペダル”銘柄として追い風の中を疾走するリドレー。プロダクトには個性があるし、勢いもある。走行性能が高くても不思議はないのだが、それでもノアには驚いた。従来のノアはユニークだけど、強烈にいいわけでもない。費用対効果でいえばお買い得だけど、さして欲しくもない。それがイメージだった。新型はハンドリングがシャープで、高速コーナーからタイトコーナーまで意のままに掌握できる。フロントフォークは言うまでもなく、ヘッドチューブ周りのねじれ剛性は高く、反応性もいい。路面の振動の伝え方はスパルタンで挙動のレスポンスも早い。もう少し直進安定性が高いと理想だが、エアロバイクとしてはコントロール性も十二分に高い。旧型では制動力に課題のあるカンティタイプのブレーキだったが、ノーマルタイプを採用することで改善している。ファッション的には物足りないかもしれないが、空気抵抗が増えたとは感じないし、制動力の向上は速く走るためにも、安全面においても歓迎すべきだ。また、ブレーキ性能の向上によって峠も苦にしない。さらにISP(統合型シートポスト)から一般的なシートポスト方式にするなど、些末な差しか産まない空力向上よりもユーザビリティを優先。ユーザーのことがわかっているなぁ……と思う。旧作の弱点を改良しつつ、あらゆる性能のバランスを崩さないのはリドレーの武器といってもいい。高性能なバイクが珍しくなくなった今、購入するかを決めるのはエモーショナルな部分が大きい。性能は悪くない。あとは好きか嫌いかだ。

 

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エアロを追求するリドレーの二男坊◆小高雄人

昨年までラインアップされていたノア ファストはエアロロードモデルとしては異質の存在感を放っていたように感じる。インテグレーテッドブレーキや整流効果を生むためのサーファステープ、スリットの入ったフォークなど、決して他のブランドでは見ないようなテクノロジ—のオンパレードであった。その流れをくむノアSLでも、フォークに開けられたスリットは健在。空力を考えて施されたダウンチューブの窪みなどからも、エアロを極めたノアのDNAを感じる。唯一明らかに違う点は、前後ともにノーマルブレーキを採用している点。個人的にはホビーユーザーの目線に立ったセレクトであり好印象を与えてくれると感じる。今回テストライドを行なったノアはセカンドモデルとして、スリットのないノーマルのフォークがアッセンブルされている。エアロ性能ばかりに偏ったモデルではなく、非常に乗りやすく、扱いやすい1台に仕上がっている。リア三角が小さいこともあってか俊敏性が高く、ギヤのかかりが良い。ロードレースやエンデューロでとくに相性が良さそうだ。

 

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機敏で上れるエアロロードバイク◆山本健一

エアロロードは、風を切り裂きアベレージスピードを高めてくれる反面、上り性能を犠牲にしているようなイメージがある。このノアはまさしくエアロロード然としたフォルムで高いエアロダイナミクスを予感させるが、それだけではなく機敏ともいえる上り性能も魅力だと思う。撮影の裏話となるが、このノアの撮影はあろうことか上りでのシーンとなった。いざ撮影場所に向かう局面で感じたのは類希なるペダリングの軽さだったのだ。縦方向に潰しのきいたメリハリのあるフレーム形状ながらもしっかりと横剛性が保たれているので、実にバランスがよくペダルが良く回る。スタンダードモデルと同じ…..というと言い過ぎかもしれないが、実に上りが軽快だったのが印象的だった。ホイールの軽さやギアレシオの関係もあるかもしれないが、それを越えた何かを持っているバイクである。さらに加速フィールもすこぶる良い。上位モデルはさらに軽量になることから、ややピーキーになると予想できるので、安定感を犠牲にしたくないライダーはノアを選ぶのも手だといえる。重量こそ軽量とはいえない。しかし常套句ではあるが運動性能がそれを補い余るといえる。

 


(写真:和田やずか)

リドレーのお問い合わせ先:ジェイピースポーツグループ  e-mail: info@jpsg.co.jp

http://www.jpsg.co.jp/ridley/index.html

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