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2016年02月09日

3モデル インプレッション VOL.9/MERIDA SCULTURA 6000(スタンダードモデル)

MERIDA /SCULTURA 6000  IMPRESSION

走行性能と快適性を両立したのがスクルトゥーラ。2016年モデルは空力性能がブラッシュアップされ外見上だとエアロロードバイクなのか、スタンダードなバイクなのか一瞬で判断できない。メリハリのきいたフレームワークは剛と柔を融合させているなと、容易に想像できるが、どんな乗り味なのか想像できないユニークさがある。リニューアルしたメリダのオールラウンドバイクはどんなライディングフィールを提供するのだろう??

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 SCULTURA 6000■フレーム:Scultura CF4 lite MC■フォーク:Scultura Mid Superlite■試乗車のコンポーネント:シマノ・アルテグラ■ホイール:Fulcrum Racing7■完成車実測重量:7.6kg(ペダルなし)■カラー:シルクUD/グリーン(ホワイト)■サイズ:44、47、50、52、54cm■価格:349,000円(完成車、税抜)

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スラッと伸びたストレートカーボンフォーク。繊細でも無骨でもない安心感のある形状。

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ケーブルルーティングは独特で、ダウンチューブの上面から行なう。電動コンポーネントにも対応。

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シートクランプは純正品ながらも軽量サードパーティ風のデザイン。

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リアブレーキをBB下に配置したことで、スッキリとしたバックステイとなった。

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ハンガー部分はライドとも似ている造形。BBはプレスフィットを採用した。


インプレッション

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走りによく響くフレーム性能◎菊地武洋

ミッドレンジのバイクは、どの視点でみるか……で良し悪しが決まる。当たり前だが、入門用のバイクよりは性能もスペックもいいが、トップモデルと比べれば見劣りする。スクルトゥーラ6000は約50万円も高価な上位モデルと同じCF4ライトMCフレームを採用し、アルテグラを組み込んでいる。と、ここまでなら爆安モデルと言っていい。しかし、実際には前後の変速機とシフトレバーだけがアルテグラだ。走り出して感じるのも前記したことに忠実だ。フレームは上位モデル譲りだけあって、精度などに資質の高さが感じられる。それと同時にフレームがしっかりしているぶんだけ、ホイール&タイヤが加速感の鈍さの原因になっていることもわかる。ホイール関係を交換すれば良くなるのは目に見えているが、この状態を伸びしろがあるとか、フレームの良さが際立つという言い方もできる。でも、どちらかといえば「もったいない」というのが僕の感想だ。試乗車の組み付けを見る限り、シフトワイヤーの処理もハンドリングを鈍くさせ、空気抵抗も大きい。高速ダウンヒルで感じる安定感や、ホイールのデメリットを差し引けばスタンディング時の反応性もいい。コスト的に無理をして変速機にアルテグラを奢るよりも、フル105にするかホイールのグレードを上げたほうが、フレームのポテンシャルを引き出すことができたように思う。しっかりセッティングが決まれば、かなり走りそうなフレームだけに現状は残念だが、下級グレードからみたらDi2に対応していたり、走りのスムーズさに驚くだろう。本来、どのモデルにも言えることだが、買う前に自分の求める性能がなにか整理しておく必要があるだろう。

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レースシング性能をいいとこどりした◆小高雄人

レースシーンで武器になる、エアロ性能・快適性・軽量性の3つがバランス良く備わっている。空力を考慮し、BB下にリアダイレクトマウントブレーキを装着し、シートステイからブレーキアーチを廃したことで、乗り味にしなやかさが生まれている。一方でフォークは剛性が高く、フレームをうまく導いているようなバランスの良さを感じる。ダウンチューブなどの形状からもエアロ性能を追求していることが分かるフレーム形状だ。上りでの走りも軽く、ロードレースからヒルクライムまで得意とするシチュエーションは幅広い。これといって不満は感じなかったが、リアブレーキワイヤーの出口がダウンチューブの「MERIDA」ロゴに被っていたのは個人的には少々ざんねん。

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◆山本健一

スクルトゥーラのフラッグシップモデルともなると完成車重量4.5kgという、超軽量バイクを作り出すことができる。一般的に優れた“軽さ”というのは、剛性(運動性能)と両立したときに初めて良しとされるわけであって、永遠のテーマとしてつねに機材性能につきまとってくる。フレームが軽くて強ければ他のパーツに対してマージンをもたせることができわけで、大きなゆとりが生まれるわけだ。この遺伝子を受け継ぐスクルトゥーラ6000は紛れもなくミドルレンジにおけるベストバイ(の1台)といえる。安心感のあるライディングフィールで、低速から高速までスムーズな走りが楽しめた。アルミ製のホイールはバイク全体の重量の中で大きな比率を占めているが、足回りに投資することでワンランク上の走りとなるはず。フレームはほどよい剛性レベルで、踏力を気持ちよくスピードに変換してくれる。バックステイのブリッジを省いたことで、剛性バランスはマイルド傾向にあるだろう。ブレーキの位置はBBの下にあってややメンテナンスのハードルは上がってしまうのは仕方ない。またスローピングフレームのスタイルには好みが分かれるところもあるが、硬派な走りで好感触を得た。メリダの思惑どおりに仕上がっていて、用途を限定せずどんな場面にも対応できる万能なバイクといえる。ツーリングはこのまま行けるし、カーボンホイールを履かせてモチベーション高くをもってレースに臨むのも良い。


(写真:和田やずか)

メリダのお問い合わせ先:ミヤタサイクル TEL:044-221-0191

http://www.merida.jp/

 

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