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2016年08月29日

3モデル インプレッション Vol.19/CERVELO R3 (スタンダードモデル)

 CERVELO / R3

R3/Rシリーズは、プロジェクトカリフォルニアのスペシャルモデルRCa、上位モデルのR5、そしてこのミドルのR3。そしてR2というラインナップだ。レギュラーモデルのR5の次に位置するモデルで、設計やフレーム形状は上位モデルから継承されている。2014年にフルモデルチェンジを果たし、前モデルよりも空力特性に優れたスクオーバル3チューブによってBB周りの剛性も高まり、ライディングパフォーマンスは著しく高まっている。どちらかというと軽量バイクに分類されるが、シンプルなフレーム設計であることもあり、オールラウンドに使える一台といえる。

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■フレーム:カーボン■フォーク:サーヴェロ・オールカーボンテーパードR3フォーク■試乗車のコンポーネント:シマノ・アルテグラ(クランク:ローター・3D30)■ホイール:マヴィック・アクシウム■カラー:マッドブラック×ホワイト■サイズ:48、51、54、56■価格:700,000円(シマノ・アルテグラDi2完成車・税抜)、570,000円(シマノ・アルテグラ完成車・税抜)、350,000円(フレームセット・税抜)

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上下異径ヘッドチューブはポピュラーな1-1/2インチではなく、さらに大口径な1-3/4インチを採用。これが理想的なステアリング性能を引き出す。

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シートクランプはオーソドックスなモノを採用する。使いやすさを第一に考えたチョイスだ。

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ダウンチューブのボリューム、そして非対称のチェーンステーを採用。オリジナル規格のBBrightの恩恵だ

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空力特性を高めるために、ケーブルはダウンチューブに内蔵されている。

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スクオーバル3チューブは横風にも強くロードレースに有利な性能を秘めた形状だ。エアロダイナミクスでは前モデルより7.4g(7.4ワット)の空気抵抗を削減している。

IMPRESSION

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都合の良い1台!?■菊地武洋

Rシリーズのコンセプトは、軽さの追求。スポーツバイクの永遠のテーマであり、それ自体は新しくも珍しくもない。高価な素材と最新のテクノロジーが駆使され、いつの時代にも魅力的なバイクを作る原動力となってきた。しかし、UCIの最低重量(6.8㎏)を簡単に下回れるようになり、軽さだけでは魅力的にみえなくなってきた。Rシリーズにしても、ライバルにも大きな影響を与えた極細シートステーはそのまま残っているが、単に乗り心地がソフトな軽いフレームではない。ダウンチューブのねじれ剛性は強化され、Sシリーズのウリであるエアロさえ身につけているという。
軽くて剛性も高く、空気抵抗は少ない。そんなに都合のいいフレームがあるなら、これだけでいいだろう!と思う人もいるだろう。おそらくほとんどの人はR3が一台あれば、大きな不満を感じることはない。僕も、その一人だと思う。ただ、すべてに最高なのかと聞かれれば、答えはNOだ。もっと軽いフレームもあるし、振動をより早く減衰するライバルも、空気を切り裂く軽快なライバルもいる。R3が魅力的なのは特化した性能ではなく、総合的なバランスの高さが生み出す歪みのない走行感なのだと思う。この感覚はS3にもあって、両者の違いは風味と言っていい。質感も似ているし、走行性能自体も極端には違わない。R3は「しなやか味」、S3「レース味」。どちらを買っても後悔しないし、もう1台を不要だとも思わない。評価が上下に分かれず、左右に分かれる。これはサーヴェロというブランドの成長に他ならない。二者択一ならR3を選ぶ。理由は贅沢な日用品になり得るから。風の影響やパーツの選択の幅を考えると、R3のほうが自由度は高い。そして、ホイール関連による伸びしろが大きそうだからだ。

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軽妙洒脱◎芦田昌太郎

私がもし自転車を買い替えるのなら、R3はかなりの有力候補になるだろう。シャキシャキして気持ちよく反応してくれて、軽さと硬さのバランスがちょうど良い。ヒルクライムではスイスイと進み、平地でもあっという間に加速していく。体重の軽い私でさえアウター×トップまで持っていくのに苦労しないのだ。外観の印象以上にエアロダイナミクスの恩恵を感じられ、上りもスプリントもできる。ホイールを取り替えれば、さらに面白さは増すだろう。35mmにしようか、50mmのディープリムにしようか…なんて考えている時間さえも楽しいものである。全体的に素晴らしい出来栄えなのだが、ダイレクト感がもう少し強かったらライド中に自転車を支配している感覚が持てて、もっと楽しくなるかも知れない。いずれにせよ、一度はこのR3で富士ヒルクライムのような緩めのヒルクライム・レースに出てみたいものだ。

 

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サーヴェロの良心★山本健一

サーヴェロのバイクはお世辞にもリーズナブルとは言えない。高嶺の花であることは間違いないが、このR3にはそれでも投資の価値がある。
オールラウンドな運動性能、と、このバイクを評価したいが胸がすくような走行性能だけでなく、ユーザビリティの高さにも注目をしたい。バイクの組みやすさや、シンプルな小物パーツのチョイスによるトラブル時の対処のしやすさなどユーザーのことを考えた、フレームの扱いやすさだ。ライディングフィールの優れたバイクというのは、ここ最近では数多く存在しているが、使い勝手の良さというところまで幅を広げるとセレクションにかけることができる。そんなオーソドックスなフレームながらにして形状設計にも工夫を凝らしている点もよい。エアロチューブ化しておりホワイトペーパーではその優れた性能をうたっている。しかしながらエアロを極めたわかりやすい形状のSシリーズとは違い、その控えめなシルエットによってメリットとして認識されにくくはあるのはもったいないところ。また、実際の効果を感じにくい部分ではあるのは事実だ。反面、下りでの安定性がすこぶるよくなった印象があるのは、ステアリング形状の変化によるところが大きいだろう。ステアリングコラムの下側のベアリング口径を拡大したことで、ハンドリングの安定性が増して安心する。どうしても軽量バイクはソワソワとした挙動になりがち。R3は“超”がつくような軽量フレームではないが、軽さと剛性を卒なく両立したフレームだ。そしてRシリーズとしては性能と価格のバランスが実によい。ライドして高い満足感を得たいならR3は要求を満たすバイクの1台だと断言できる。

(写真/和田やずか)

問:東商会 http://www.eastwood.co.jp/

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