2016年07月13日
3モデル インプレッション VOL.18/ANCHOR
3モデル インプレッション VOL.18 / ANCHOR
◆3モデル インプレッションの定義◆
エアロロード、ノーマル、エンデュランスロードと3つのカテゴリーを有するブランドをセレクトし、この3カテゴリーの代表モデルを各1台、合計3台インプレッションするというもの。ブ ランドのイメージ、それぞれのカテゴリーに特化したバイクの評価、3モデルを総合した印象と比較など3人のライダーが多角的にレポートします…..が、アンカーにはエアロロードモデルが存在しません。よって今回は、タイムトライアルバイクをテストライドしました! ご了承くださいませ。
国内でもっとも大きいフレーム/完成車メーカーといえば、このブリヂストンアンカーだ。ブリヂストンサイクル自体も歴史が古く、国内屈指の多くのデータを持っており、その集積がバイク作りに活かされている。さらにレーシングチームの存在も大きいだろう。先日行なわれた全日本選手権では、個人タイムトライアルと、男子エリートロードレースで二冠(なんと12年ぶり)を達成するなど、今ホットなブランドとも言える。設計も欧州人と比べると小柄な日本人を考慮したサイズ展開で、女性用のミニマムサイズの充実ぶりは他を圧倒しているのだ。さて、今回の3モデルは、スタンダードモデルにハイエンドモデルのRS9、エンデュランスモデルにRL8、そしてエアロロード……ではなく今回は先日発表されたタイムトライアルバイクRT9のテストを行なった。※イレギュラーなセレクトとなりましたが、どうしてもアンカーのバイクをテストライドしたかった編集人の独断と偏見です。お許し下さい。
RS9■車体が前に進む性能を最大化するアンカー独自の最新解析技術『PROFORMAT』を用いて開発。さらにこれまでよりはるかに高い弾性率を誇るカーボン素材を使用することで「進む性能を最大限に高め、大幅な軽量化」を実現。選手が求めた感覚的な性能を的確に数値化しフレームの性能へ落とし込んだ。■フレーム:PROFORMAT 3Pieces UHM-Carbonインテグラルヘッド Pressfit BB■フォーク:HM-Carbon カーボンコラム+アルミインサートクラウンレース一体成型ストレート形状 スーパーオーバーサイズ■試乗車のコンポーネント:シマノ・デュラエース■ホイール:シマノ・WH-9000 C35■完成車実測重量:6.8kg(ペダルなし)■カラー:レーススタイル1色、エッジスタイル33色(一部アップチャージあり)■サイズ:430、460、490、520、550mm■価格(税抜):750,000円(シマノ・デュラエース完成車、完成車基準価格、付属品:LEDランプ, ベル, リフレクター, マニュアルバック)、350,000円(フレームセット、付属品:LEDランプ, ベル, リフレクター, マニュアルバック)
RL8■レースマシンの研究で培われた設計思想に、滑らかな快適性を加えたロングライドモデル、RL8。ボリュームを抑えたフレーム形状が振動吸収性を高め、横剛 性にしなやかさを加えたことで、長距離を走るライダーへの脚の負担を低減。その一方で、テーパードヘッドをはじめ要所の断面積を広げて剛性を確保、レースモデルに並ぶ加速性も獲得した。さらに980g(480mm)のフレーム重量により軽さも確保、ヒルクライムにも最適な走行性能となっている。■フレーム:3Pieces Carbon インテグラルヘッド■フォーク:HM-Carbon Monocoque ストレート形状 スーパーオーバーサイズ■試乗車のコンポーネント:シマノ・アルテグラ■ホイール:シマノ・RS010■完成車実測重量:6.9kg(ペダルなし)■カラー:レーシングカラー3色、シンプルスタイル33色×3タイプのコーティング■サイズ:390、420、450、480、510、540mm■価格(税抜):605,000円(シマノ・デュラエース完成車、付属品:LEDランプ、ベル、リフレクター、マニュアルバック)、210,000円(フレームセット、付属品:LEDランプ、ベル、リフレクター、マニュアルバック)
RT9■限りなく低重心、高剛性であることを目指した理由はタイムトライアルバイクに求められる高速安定性を高めるため。フォーク、ダウンチューブ、チェーンステーの剛性を高め、さらにチェーンステーを左右非対称形状として駆動系パーツ側の剛性をより高くし、確実な駆動力を獲得。シフトは電動変速のみ対応。バッテリーはBB下からフレームに内蔵する構造で低重心化にさらに貢献する。日本人女性ライダーにもフィットするSSサイズも用意する。■フレーム:RT9 FRAME Aero HM-Carbon インテグラルヘッドPressfit BB■フォーク:HM-Carbon カーボンコラム+アルミインサート■試乗車のコンポーネント:シマノ・デュラエース■ホイール:シマノ・WH-9000■フレーム単体重量: 1,900g(Mサイズ)■カラー:レーススタイル1色、エッジスタイル33色(一部アップチャージあり)■サイズ:SS、S、M、L■価格(税抜):410,000円(フレームセット、付属品:ヘッドセット、ANCHOR Aero-Aluminium TypeTT 75L(ステム)、ANCHOR Aero-CarbonTypeTT(シートポスト)、専用チェーン引き、マニュアルバック)
ANCHORのイメージは…….
山本:自転車をはじめたときからつきまとっているブランド。丸石、ブリヂストン、ミヤタ、パナソニックというジャパンブランドとして、つねに意識の中にあって。ブリヂストン・レイダックとか懐かしいですね。かっこ良かった。
芦田:アンカーって選手たちが乗っている自転車という印象がありましたね。一般の方も乗っているけど、ピュアレーサーというイメージがあります。妙な信頼感はありますね。ジャパニーズブランドだし間違いはないよねって。
菊地:日本のスポーツバイクの標準車という感じ。ぶっちゃけ大きなサイズは得意じゃないだろうな、って気はするけど、間違いなく膨大なデータ量をもっているよね。日本の標準的なサイズ、またはより小さいサイズの人にはすごく良い自転車を作っているんだろうな、って思う。
山本:女性用でもこのミニマムサイズは世界でも珍しいですよね。400mm以下とか。
芦田:すごい小さいサイズですよね!?
菊地:安全に関してはすごくしっかりしているよね。特別軽いとかはないだろうけど、安心してつかえる軽さとかね。そういう意味において安心感はある。あまり評価されていないけど、以前のカラーリングはピナレロなんかを先行していた時期もあったもんね。先進的なところもあるし、最近はモデルチェンジするたびにぐぐっとよくなっている気がする。
山本:ひとつ言いたいのは、合番のモデル名。数字の大きさでグレードを示しているのはわかるけど、慣れるまで理解しにくい(苦笑)。ネオコットはずっと忘れないネーミング(と乗り味)ですけどね。
芦田:呼びやすいネーミングが欲しいですよね。以前のラインナップでアルファベット三文字で化粧品のような名前があって。職業柄、妙に親近感がありますけど(笑)。
菊地:名前は難しいよね。海外のモデルでは昔、サーキットの名前を付けたりするけど、国内だと「スズカ!」とか(笑)。痛車かって。もっとずっと使える、アンカーだけじゃなくてもう1つ名前が欲しいよね。アンカーのトップモデルと言ったらコレっていうもの。今後は必要になるかもしれないね。
山本:タイヤはあるのに!
芦田:話を戻すと、モデル名を聞いてどのラインか、というのがすぐにはわかりにくいですね。
山本:チームを持っていて、フレームを作っているブランドっていうのは意外と珍しいですよね。
芦田:以前、埼玉のほうを走っていて、アンカーのサイクリングチームを見かけたことがあったんですよ。もちろん速いのは当然なんですが、同じウエアと同じバイク、そしてすごい綺麗なトレインで神々しかった。
菊地:バイクはみんなよくできているんだけど、後出しジャンケンぽいイメージがあるんだよね。技術もあるし、できるんだから、たまには先にやってみたら?って。RMZはすごくよかったと思うけど、ブラッシュアップされずに放置プレイでしょ。しつこさがないよね。
芦田:そうかもしれないですね!
菊地:研究はすごくやっているよね。アルミ時代が始まってピナレロがケラルライトをリリースした頃、すでにアルミのマテリアルはすべて持っていた。でもそこは俺たちが感じている信頼感とのトレードオフなんだよね。アンカーがやっていることは確実に安全だというのはわかるけど、ギャンブルな要素も欲しいんだよね。
山本:選手も含めて、ブランドもグローバルなところで勝負に出るときが来たら、そんなアンカーのバイクを見ることができるかもしれませんね。そう遠くない未来かもしれないですけれど。
(写真/和田やずか)
問:ブリヂストンサイクル http://www.bscycle.co.jp/
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。