2016年06月11日
3モデル インプレッション Vol.16/CARRERA編 プロローグ
3モデル インプレッション VOL.16 / CARRERA
◆3モデル インプレッションの定義◆
エアロロード、ノーマル、エンデュランスロードと3つのカテゴリーを有するブランドをセレクトし、この3カテゴリーの代表モデルを各1台、合計3台インプレッションするというもの。ブランドのイメージ、それぞれのカテゴリーに特化したバイクの評価、3モデルを総合した印象と比較など3人のライダーが多角的にレポートします。
第16回目はカレラ。1989年に元プロ選手のダビデ・ボイファヴァとルチアーノ・バラキによって設立。メジャーなイタリアンブランドとしては歴史が浅いながらも多くのレースで勝利に貢献した由緒正しきレーシングバイク。日本人サイクリストの間でも故マルコ・パンターニの名前は聞いたことがあると思うが、彼がプロデビューを飾ったカレラ・タッソーニで駆ったカレラのバイクはその美しいグラフィックから現在でも根強いファンが多い。さて、今回はエアロロードとしてニューモデルであるAR-01を、スタンダードモデルとしてSL950を、エンデュランスモデルとしてフィブラ エボをチョイスした。
カレラ/AR-01 カレラがもつ高精度の製造技術によって生み出された優れたバイク性能と、その過程で生まれたデザインによって、特徴的なエアロバイクに仕上がっている。しかし、その性能は高い剛性、素直で安定したハンドリングなどの基本性能を最高レベルに突き詰めたレーシングバイク。トップチューブのラインをそのまま延長したような専用ステムの造形もエアロロードらしい。■フレーム:カーボン プリプレグ T-800sC HM50 T – Hs40 – Hs60 T 1K■フォーク:CM58 カーボン 60HM finish 1K 1-1/8” – 1,5” 重量 : 365g■試乗車のコンポーネント:シマノ・デュラエース■ホイール:カンパニョーロ・ボーラウルトラ35■完成車実測重量:6.7kg(ペダルなし)■カラー:ディアブロマット、A6-31グロッシー、A6-32マット■サイズ:XS、S、M、L、XL■価格:490,000円(カラー:A6-31、A6-32、フレームセット、税抜)、540,000円(カラー:ディアブロ、フレームセット、税抜)、510,000円(カラー:A6-31、A6-32、ディスクブレーキ仕様フレームセット、税抜)、560,000円(カラー:ディアブロ、ディスクブレーキ仕様フレームセット、税抜)
カレラ/SL950 T800炭素繊維を用いた衝撃や応力にきわめて強靭なフレーム。カレラ独自のVa.B.M.やEPUテクノロジーを採用し、高性能であるだけでなく長距離でも快適に走れる。長距離のライドで理想的なパフォーマンスを味わうことができる。■フレーム:T800HM-HS 60T SHM XN60 special nano■フォーク:FF43 カーボン 60HM 1K 1-1/8” – 1/4” 重量:370g■試乗車のコンポーネント:シマノ・アルテグラ■ホイール:カンパニョーロ・ボーラウルトラ35■完成車実測重量:6.4kg(ペダルなし)■カラー:A6-40マット、A5-11マット、 A5-12マット、A5-13マット■サイズ:XS、S、M、L、XL■価格:260,000円(フレームセット、税抜)、330,000円(シマノ・アルテグラ完成車、税抜)、295,000円(シマノ・105完成車、税抜)
カレラ/フィブラ エボ ユニークな形状のフルカーボンロードバイク。トップチューブとバックステイは横扁平加工が施され、さらに弓なりの円弧を描き、シートチューブが貫通するようなじつに特殊な設計。縦方向に扁平したフォーク形状や、大ボリュームなダウンチューブなど迫力のあるフレームワークだ。■フレーム:カーボン プリプレグ T-700sC HM50 T – Hs40 – Hs60 T 1K■フォーク:CM30 カーボン 60HM 1K 1-1/8” – 1,5” 重量:390g■試乗車のコンポーネント:シマノ・アルテグラ■ホイール:カンパニョーロ・ボーラウルトラ■完成車実測重量:7.5kg(ペダルなし)■カラー:A6-45グロッシー、A6-44グロッシー、A7-07マット■サイズ:XS、S、M、L、XL■価格:280,000円(フレームセット、税抜)
カレラのイメージは……
カレラのイメージは……
山本:パンターニのイメージがありますね。
菊地:そうだね。古くはビゼンティーニも乗っていた。
山本:もう新興ブランドじゃなくて、イタリアンブランドでも中堅規模で安定感がでてますね。
菊地:一時期ちょっと不振なときがあったけど、エラクルから一気に第一線に戻ってきた感じじゃない? フィブラの第一世代くらいまでは暗黒時代だった。
山本:2005年くらいの記憶がないですね。でもその時期を過ぎたあたりに、ラインナップのボリュームが増しました。試乗車を借りて乗ってみると、どれも走るなあ! って。
菊地:エラクルがリリースされて、乗ってみたらめちゃくちゃ良い! ってなったよね。いつの間にか戻ってきた感じ。今はこっそり良い感じのブランドってイメージ。
山本:知る人ぞ知るというレーシングブランドというか。あまり派手に表に出てこない感じがしますよね。価格もリーズナブルだから、高級車が欲しい人からは注目されず、でも走りは一級品と。
芦田:そんなイメージがありますね。
菊地:良い中堅ブランドだよね。
山本:ともあれ初代フィブラのインパクトは忘れられないですね。当時はエラい高額だったし、見た目と乗り味がリンクしないバイクの代表的な存在。
菊地:ものすごい高剛性で、そういった類いのフレームのハシリだったよね。
芦田:僕がカレラを知ったのはフィブラが最初でした。だから、すごくアバンギャルドなメーカーだな、って思いましたね。圧倒的なそのフォルムは、ほかとは違う形状をしていたし、特にフロントフォークのインパクトはすごかった。いまでこそ、いろいろな形状のフレームを見かけるようになりましたけど。
山本:フレーム形状の規制がUCIからかかったのが2000年くらいで、これ以降のフレームとしてはかなり大胆にふったデザインでしょうね。
菊地:一度、沈んだのがよかったのかもしれないね。出ずっぱりだったら、今の良いイメージになることはなかったかなって。
山本:いまだにカレラといってまず頭に浮かぶイメージはアルミ黎明期のコロンブス・アルテックで組んだフレームだなあ。カレラ・ジーンズのチームカラーは今でもカッコいいと思えるし。
菊地:グラフィックはエアブラシで仕上げてあったよね。あの当時のものは今見てもいいよね。
山本:そのデザインが近年、復刻していたのも記憶に新しいですが、人気がありましたね。グラフィックも乗り味も。
菊地:クセがあってね、記憶に残っているよね。
芦田:大衆車ではないですよね。それこそスーパーカーって感じはする。
菊地:だから、マッチする、しないははっきりしているよね。でもそれで良いと思う。
芦田:方向性がはっきりしていて良い。可もなく不可もないバイクって、あまり面白くない気がしますよね。それじゃあ何に乗っても一緒じゃんって気もしますし。
(写真/和田やずか)
問:ポディウム http://www.podium.co.jp/carrera/
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。