2016年04月19日
3モデル インプレッション Vol.14/TIME SKYLON AKTIV(エアロロードモデル)
TIME / SKYLON AKTIV
スカイロンのコンセプトは爆発力、パワー、精度。タイム社のもっている優れたカーボン縫製技術によって具現化したエアロロードフレーム。ZXRSに対してねじれ剛性が30%、BB周辺剛性が45%アップしているといい、爆発的な加速、リズミカルなペダリングを可能にし風に抗う。スカイロン アクティブは従来のスカイロンに振動減衰特性に優れるアクティブ フォークを搭載したモデル。このフォークはエネルギーロスに繋がる柔軟性に頼った振動減衰システムとは一線を画した新しい概念といえる。フレーム単体重量はメーカー公称で945g。電動メカニカル兼用フレームで、電動コンポーネントを採用する場合にスカイロン専用電動パーツキットが必要となる。
SKYLON AKTIV■フレーム:カーボン■フォーク:SKYLON用AKTIVフォーク、CMTフロントドロップアウト■試乗車のコンポーネント:カンパニョーロ・スーパーレコードEPS■ホイール:カンパニョーロ・ボーラウルトラ35■完成車実測重量: 6.8kg(ペダルなし)■カラー:グラファイト×グロス、チーム×グロス、ブラン×グロス、ルージュ×グロス■サイズ:XXS、XS、S、M、L、XL■価格(税抜):600,000円(フレームセット、付属品:タイムクイックヘッドセット、専用シートポスト、ボトルケージ2個)、680,000円(フレームセット、オプションカラー 付属品:タイムクイックヘッドセット、専用シートポスト、ボトルケージ2個)
およそ10年の開発期間を経てリリースされたアクティブ フォーク。ライディング中に不快に感じたり、疲労を引き起こす低周波振動をフォーク内部に配置したダンパーによって減衰する画期的フォークだ。
ダイレクト トランスリンク シートマストも健在。
エアロダイナミクス アナリシスとライディングフィールを調和したスカイロンのデザイン。
ZXRSと比べてBBの剛性は45%アップしたスーパー スティフ ボトムブラケット。BB規格はBB386。
ハンドルバーやステムもタイム社で製造している。フレームのパフォーマンスを最大限に発揮したいなら同一メーカーのパーツを使用するのは前提となるだろう。
IMPRESSION
史上最強のタイム★菊地武洋
歴代タイムのオーナー。そう、残念ながら昨年までの最高級モデルZXRSのオーナーを含め、タイムの支持者は買い換えのタイミングがやってきた。スカイロン・アクティブの破壊力は、10年前に発売されたVXRS以来である。正確に言うと、ライバルに圧倒的なアドバンテージを築いているのはフレームよりも、アクティブ フォークだ。このフォークの中にはビルやタワーの耐震機構として採用されているチューンド・マスダンパーと同様の機構(アクティブ・マス・ダンパー)が採用されている。このフォークによってタイムは唯一無二の乗り心地を手に入れている。エンデュランスバイクのような柔軟性による快適性ではなく、ソリッドなのに振動を感じない。路面コンディションのよくないダウンヒルでも視界が安定するので、スリルを楽しみたい人には退屈なバイクかもしれない。しかし、より速く、さらに安全に走りたい人なら、間違いなく虜になるだろう。ただし、エアロに関しては大きな進歩を感じない。もっと言えば、「これ、そうなの?」レベルである。空気抵抗の低減というよりもディープリムホイールとの相性と考えるほうが正しい。スカイロンはエアロタイプ、少し外周部が重くてもいいからねじれ剛性に強いホイールと組み合わせると相性がいい。ハンドリングやブレーキングは正確無比で、史上最強のタイムだと断言できる。
個性派フォークを従える万能フレーム■小高雄人
今回インプレッションした3台にはすべてアクティブ フォークが装着されていたが、この個性派フォークとの相性が一番良かったのが、スカイロンであった。際立った性能があるというより、すべての性能がまんべんなく高い。ロングライドからロードレースまであらゆるシーンで最良の相棒となるはずだ。丸みをおびたフレームデザインであるが、乗り心地も高剛性さを感じさせながらも、どこか丸みを帯びているような印象を受けた。しっかりと振動を吸収しつつ、ライダーの思い通りに加減速を繰り返せるだろう。前トップモデルZXRSを彷彿とさせるラグのような接着構造がステイ部に残っていたのが個人的には好印象であった。
トップクラスのレスポンスの良さ■山本健一
エアロロードのスカイロンは、いかにも高剛性だ、というスタイルと印象が見事にマッチしているフレームだ。エアロフレームながらもキビキビとしたロードバイク然とした小気味よい動きを実現しており、アクティブ フォークのパフォーマンスがここにも発揮されているのだ、と感じる。そしてエアロフレームっぽいリニアにスピードが加速している様はまさにレーシングバイク。スピードのノリもよくコーナーからの加速が非常に気持ちいい。そして絶対の安心感を与えてくれるフォークがライダーのメンタルにもゆとりを与え、ハイスピード時の恐怖心を抑えてくれる。よって下りのコーナーは非常に快適で楽しい。アクティブ フォークの印象がかなり強く、ダンシングするとその剛性の高さがいかんなく発揮される。しっかりとステアリングを支え、無駄なたわみなど一切感じず、パワーロスも最小限に抑えられているといったイメージだ。重量はノーマルフォークよりもかさんでしまうので、軽さを重視する人にとってアクティブ フォークを自分のバイク選びの基準から外してしまうかもしれないが、このパフォーマンスなら重量のハンディなどを補い余るものだ。スピードが増すほどに増大する空気の壁を切り裂く形状。優れたパワー伝達性能はタイヤが路面にしっかりと設置していないとホイールは転がらない。振動を減衰する機構ほど、高いスピード域の維持を追求するスカイロンのようなバイクこそ、アクティブ フォークの性能が活きるのかもしれない。
(写真/和田やずか)
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著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。