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2016年03月31日

3モデル インプレッション Vol.13/NEILPRYDE BURA SL(スタンダードモデル)

NEILPRYDE / BURA SL

前身にあたるディアブロはBMWグループデザインワークスUSAと共同開発されたモデルで、その高い評価を得た後継モデルがこのビューラSLである。軽量化と剛性の両立、これがコンセプトだ。オリジナルブレンドを施したオリジナルカーボンファイバーは、独自に開発した外骨格技術が施されており、特徴的なのはカーボンリブによって補強されている点だ。これらによって剛性と高いレスポンス性を高次元で確保したという。フレーム単体重量は710g(S/510mm)、フォークは300gだ。

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BURA SL■フレーム:C6.9 TORAY UD■フォーク:C6.9 TORAY UD■ 試乗車のコンポーネント:シマノ・デュラエース■ホイール:フルクラム・レーシングゼロ■完成車実測重量: 6.6kg(ペダルなし)■カラー:ブラック×マット、ブラック×ブルー×ホワイトグロス■サイズ:XS、S、M、L、XL■価格(税別):799,800円(シマノ・デュラエース9000完成車)、599,800円(シマノ・アルテグラ完成車)、429,800円(フレームセット、 シートピラー付属)

 

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シートクランプは内蔵化された。シート接合部の下側へはリブを設け、剛性と空力向上を果たしている。

 

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プレスフィット86を採用したBB。

 

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路面追従性が向上したフロントフォーク。

 

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ダウンチューブ、シートチューブ、チェーンステーに左右非対称デザインを用いることでペダリングパワーの伝達を最適化する。

 

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シンプルながら印象的なグラフィックデザイン。

 

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応力解析技術によって導き出されたリブ形状。全体的な横剛性、ねじれ剛性の強化に貢献する。

 


IMPRESSION

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軽量ながらも全体のバランスを重視★菊地武洋

軽量バイクに心が惑わされそうになったとき、気をつけるべきは重量ではなく剛性である。もし数値だけ重視するメーカーが軽量化したら、どうなるか? かつて世界最軽量のバイクを作った人と話したときに「これはフェラーリのオープンカーと一緒なんだ。毎日は乗れない。特別なときに、特別な気分で乗るべきモノだ」と説明を受けたことがある。特別なバイクでいいなら話は別だが、そういう人は少ないだろう。それでも、日常遣いのバイクだって少しでも軽いほうがいいなら、ビューラSLはとてもいい選択の1つである。700g前半の重量で、これだけ剛性感のあるフレームは多くない。ビューラSLよりも軽いライバルもいるし、さらなる軽量化を図りそうだが、フルモデルチェンジとなった2016年モデルはヘッドチューブ周辺の形状の見直しと、剛性アップのためエンドに補強を入れている。軽量をセールスポイントにしているのに、全体のバランスを重視した手の入れ方は、歴史のないメーカーとは思えない手練れ感がある。スケジュールの関係で少々テスト時間が短かったのだが、ホイールやタイヤの選択やセッティングを追い込んでいけば、さらに良くなりそうな雰囲気もある。フレームの基本性能は素直なので、どのような味付けにするか自由度も高そうだ。シンプルでありながら、効果的な色遣いのコスメは上品で飽きがこなさそうだし、非常にまとまりがいい。大きく飛躍するためには、さらなる個性や大ヒットモデルがほしいところだが、今回のモデルチェンジのようにジワジワと各モデルを仕上げていくのが最善の策だと思う。

 

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シンプル・イズ・ベスト◆小高雄人

部分ごとに丸チューブと四角チューブを使いわけており、細身のフレームながら非常に個性的。まだまだ新しいブランドでもあり、他の人とは違ったフレームに乗りたいという人にはぴったりではないだろうか。走行性能は非常にシンプル。“軽量で高剛性のフレーム”そのもの。そのような性格がはっきりと掴めたのは、ほかに欠点らしい部分がなく、走行フィールにノイズが少なかったからだと思う。ヒルクライムでタイムアップを目指したいのであれば、間違いのない選択であろう。ただし、軽くするために、チューブは非常に薄く仕上げてあるので取扱いには十分注意してほしい。

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ただの軽量バイクとはあなどるなかれ◆山本健一

自転車業界においては100年企業も少なくはない。このニールプライドはレーシングヨットでは40年の歴史をもっているが、自転車は2011年からという、新鋭のブランドだ。この創立して数年のブランドでもハイクオリティのバイクをリリースできる現代において、ブランドの成り立ちという意味が少々希薄になってしまうのでは……などと感じてしまう。情報化の社会、そしてカーボンファイバーを「用いている」ことが、この年月の差を一気に縮めていることは確かであるが、ビューラSLはシンプルに軽さを追求したバイクと思える。というのも軽さというジャンルが成立するのは剛性あってこそだ、と個人的には考えている。フレーム形状こそメジャーブランドの影響を感じるものもあるが、あらゆる意味で実に完成度が高い。またジオメトリーやそういった根本的な造形は、いわゆる150年にも渡る自転車の歴史から導き出されたものなので、根底を崩されることはそうそうない(UCIも伝統を守るべく躍起になっていたし)だろう。バイクの振りが軽くいかにも軽量バイクといった質感だ。踏み込むと硬質なものを弾いたようなパリパリとした反発感を感じ、それに伴うように反応はよい。トルクをかけるように踏み込むと少しソフトに感じるが、軽さが活きているので上りは苦にしない。路面が悪い箇所での振動は結構感じられたが、硬さ=高いレスポンスを得たゆえの代償か。反応性を重視すると硬いホイールがマッチしそうだ。軽量ゆえにもう少し落ち着きが欲しい部分もあるが。一方で下りはよく攻めることができたのは、フォークの剛性がしっかりと発揮できているからだろう。フォークがしっかりと運動性能を補っているようなイメージはあった。クライマーに属するような体型の人にはかなり面白いバイクだと思う。

 

 

(写真:和田やずか)


ニールプライドのお問い合わせ ジオライドジャパン

http://www.neilprydebikes.net/

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