2016年03月08日
3モデル インプレッション Vol.11/795LIGHT(スタンダードモデル)
LOOK / 795 LIGHT IMPRESSION
795同様のNACAデザインを採用し、高速走行時の空気抵抗を695ライトに対し-5.7%と大幅に削減(時速40km、ライダーの体重70Kg、出力300ワット、シマノ・DA9070、マヴィック・CCUホイール使用時)。またリアホイール交換の頻度が高いライダーのことを考慮しスタンダードタイプのブレーキキャリパーを採用している。しかも25Cサイズのタイヤやワイドリムにも対応する。フレームセット重量は2300g(付属品:フレーム+クランク+フロントフォーク+ステム+E-POST2+ヘッドパーツ 未塗装Sサイズ)
795ライト■フレーム:HM、IM、HR ウルトラライト1.5Kカーボン■フォーク:HM、IM、HR ウルトラライト1.5Kカーボン■試乗車のコンポーネント:シマノ・デュラエースDi2■ホイール:マビック・キシリウム プロカーボンSL■完成車実測重 量:6.3kg(ペダルなし)■カラー:プロチーム、ブラックリフレクト、イエローフローリフレクト、カーボンレッド■サイズ:XS、S、M、L、XL■ 付属ステムサイズ:XS=90、S=100、M/L=110、XL=120■価格:649,800円(フレームセット、付属品:HSC8エアロフォーク、 フロント/エアロブレーキシステム、リア/シマノ・DA 9010ダイレクトマウント、ヘッドフィット3ヘッドパーツ、エアロステム、ZED2クランクセット、BB65カートリッジシールドベアリング、Di2内蔵バッテリー対応E-POST2)
ZED3クランクへバーションアップを果たした専用クランク。
シマノDi2のジャンクションはヘッド部に完全内蔵できる。
内蔵式バッテリーは専用の小物を使ってEポスト2にぶら下げる。
フレームと調和した形状のエアロステム。795/695専用の強靱なHMカーボン製で、プラス17°からマイナス13°の間で角度調整可能。
第8世代のルック製カーボンフォーク。795ライトはノーマルブレーキを搭載する。
795エアロライトと同じシルエットながらブリッジを設けブレーキをマウント。795ライトのほうが汎用性という点では分がある。
IMPRESSION
病みつきになるバイク!?★菊地武洋
ダメなロードバイクというのは決まっているが、いいロードバイクには決まりがない。なぜ、いいバイクの定義がないか? それは時代が決めているからだ。ルックのトップモデルに乗ると、それがよく分かる。795は軽快な走行感がすばらしい。いささか値段が高すぎるが、それは好き嫌いの問題だろう。走りの軽快さは一辺の曇りもない。「これが今の高級車です」と説明したくなるほどだ。BB、ヘッド回りともに十分な剛性があり、走行感に大きく影響を及ぼす部分は見た目以上にマッシブだ。薄っぺらい硬さではなく、しっかりとした肉感を保ちつつ軽く感じさせる。ターマックのような剛性の塊ではないが、弱さは微塵もない。この演出の巧みさが795の魅力である。走りの軽さと言ってもいろいろある。物理的な車重の軽さにしても、ホイールの剛性やタイヤやリムの重さによっても質感は異なる。795の軽さはコンパクトなホイールベースに、高めのボトムブラケットといったレシピで作り出したものだ。それゆえ、少々ホイールが重くても、他と比較すれば走行感は軽い。595までのルックはウイップを使ってトラクションを得る方向で考えられていたが、695以降は剛性を高く、ウイップの少ない味付けになると同時に、オリジナルパーツでちょっと不便さを強いてくるようになった。この不便さはオーナーになると、愛着に変換されて病みつきになる。破たんしないバランスの良さと、他にない個性を併せ持つ、それが795の光である。
個性派レーシングバイク◆小高雄人
トップチューブから一直線に伸びるステムといい、ZED3クランクといい、E-POST2といい、とにかく個性的な専用パーツでアッセンブルされる、LOOKのレーシングモデル。上位モデルである795エアロライトとの違いはノーマルタイプのブレーキを採用している点だ。それだけの違いでも、見た目も乗り味もだいぶ印象が違う。
良い意味でエアロライトよりもじゃじゃ馬感が強く、サラブレットのようなイメージ。路面からの振動もそれなりに感じるが、そのぶん飛ぶように走る。独特のフレーム形状に関しては乗ってみると、ほとんど気にならず、ハンドルまわりの動作にも不自然なところはなかった。上りでの俊敏性も高く、どのようなコースでも対応できる優秀なレーシングバイクだと感じた。
悩ましいラインナップにした張本人◆山本健一
ルックの2015〜16年のラインナップには少々不満がある。少々どころか、“いずれかの795”の購入を考えたとき、その投資額からすると少々どころの騒ぎではない……。というのも795エアロライトと、この795ライトのスペックおよびライディングフィールを考慮すると、どちらを選べばいいのか実に悩ましいのだ。究極ともいえるスペックなら795エアロライトだし、レースで使ったり汎用性を考えると795ライトだ。正直なところ、ノーマルフォーク、ブリッジを設けたリアステーなど、標準的なロードバイクのセンスを極限まで磨き上げた万能な走りを795ライトから感じる。正直に言うと795エアロライトよりも好きだ。卓越した運動性能は上りがどうとか、スプリントが良いだとか、そんなことをわざわざ比喩的表現を交えて伝えるまでもない。実にバランスが取れた一台だ。だが、端から見たら795エアロライトは絶対的な存在感を放っていて、795ライトを選ぶことが、背徳的な行為にすら思えてくる。しかしながら、795ライトの琴線に触れまくっている人の背中は全力で押してあげたいと筆者は考えている。しかしながら、795エアロライトをベースにして、ボリュームダウンしたかのようなスタイルが減点1点だ。795エアロライトが存在している時点で、99点のバイクという評価となるが、素晴らしい運動性能を誰にでも隔てなく提供してくれる、まれに見るすばらしいバイクといえるのは間違いない。
(写真:和田やずか)
ルックのお問い合わせ先:ユーロスポーツインテグレーション TEL.03-3329-1065
http://www.eurosports.co.jp/
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。