2017年09月09日
【2018 NEWプロダクツVOL.5-1】BIANCHI / OLTRE XR4
BIANCHI / OLTRE XR4
オルトレシリーズの4世代目にあたるXR4。エアロロードタイプのハイエンドモデルとして2016年末に発表。今季2017年はワールドツアー チームのロットNLユンボでメーンバイクとして活用されている。オランダチャンピオンバイクになり、またジロディイタリアやツール・ド・フランスでも区間優勝に貢献するなど、チームの活躍もめざましくバイク性能の影響も少なくはないだろう。
なかでも特徴的なのはCountervail®(カウンターヴェイル)」だ。 マテリアル・サイエンス社と共同開発して生まれたシステムで、フロントフォークとフレームのリアセクションに導入される。独自のカーボン繊維構造と粘弾性によって剛性と強度を向上させながらも最大80%の振動を除去することを実現している。
フレーム単体重量は990g(サイズ55)と、視覚的なフレームのボリュームを考えると軽量に仕上がっているといえる。
BIANCHI / OLTRE XR4 スペック
FRAME Aero carbon w/CountervailPF86
FORK Full Carbon Aero w/Countervail 1.1/8″-1.1/4”
SIZE 47/50/53/55/57/59/61
CAMPAGNOLO SUPER RECORD EPS完成車 ¥1,880,000(税抜) ※Tavolozza +¥38,000(税抜)
CAMPAGNOLO SUPER RECORD完成車 ¥1,480,000(税抜) ※Tavolozza +¥38,000(税抜)
CAMPAGNOLO CHORUS完成車 ¥780,000(税抜) ※Tavolozza +¥38,000(税抜)
SRAM RED E-TAP完成車 ¥1,380,000(税抜) ※Tavolozza +¥38,000(税抜)
SHIMANO DURA ACE Di2完成車 ¥1,380,000(税抜) ※Tavolozza +¥38,000(税抜)
SHIMANO DURA ACE完成車 ¥1180,000(税抜) ※Tavolozza +¥38,000(税抜)
SHIMANO DURA ACE MIX完成車 ¥880,000(税抜) ※Tavolozza +¥38,000(税抜)
SHIMANO ULTEGRA Di2完成車 ¥880,000(税抜) ※Tavolozza +¥38,000(税抜)
FRAMEフレームセット ¥410,000(税抜) ※Tavolozza +¥38,000(税抜)
ヘッドパーツやスペーサーはティアドロップデザイン。空気抵抗を意識している。アッセンブルされるハンドルバーの形状とも統一
プレスフィットBBはフレームのデザインに幅をもたせることができた
カウンターヴェイルが振動を吸収して、ライディングフィールを改善する
ブレード状のエアロフォーク。ダイレクトマウントブレーキとのデザインの統一感がある
IMPERSSION
その特長はエアロにあらず★山本健一
エアロダイナミクス効果が低いというわけではない。エアロロードバイクというには、あまりにも万能すぎるバイクだ。大きな特長は2つ、反応の鋭さと、快適性だろう。
鋭い加速性能はまさにXR4の持ち味といえる。低速から高速域とレンジを問わず色褪せない加速性能を楽しめる。もちろんエンジンの性能がモノを言うわけだが、それでも“いくらでも加速できるんじゃないか……”などと思わせてくれる。
そういう意味では誰でも乗っていて爽快なバイクだ。
もうひとつの爽快な気分にさせてくれるものは快適性だろう。露骨な振動吸収性ではなく、振動をすみやかに収束してくれているというイメージだ。つまりはロードインフォメーションは伝えつつも振動を抑えている。路面の荒さはわかるが、なぜだか快適。そんなイメージで伝わるだろうか。フレームやシートポストの形状を工夫して意図的にしならせて、快適性を高める構造も流行っているが、それとはまったく別の印象。
アッセンブルしているハンドルバーは、エッジの効いた鋭いデザイン。ハンドルといえばエアロ効果が高いパートで、いかにも抵抗が少なそうだが、ただ持ちやすさを追求するなら別のチョイスも考えるべきだろう。
さらにシンプルなパーツ構成と内蔵ケーブルも複雑でないところは、使いやすそうだが割り切りもある。とことんエアロ効果を追求しているメーカーとの温度差は感じられる。
ワールドツアーで使われているバリバリのレーシングバイクながら、リラックスしても乗れる。そんな2つの顔を持つバイク。いいとこ取りの優等生バイクといえる。
基本性能の高いリアルレーサー★菊地武洋
ビアンキは好不調の激しいブランドである。「悪くはないけど、だからどうしたってレベルだな」という時期もあるし、高いヤツから安いモデルまで大当り!みたいな時期もある。そして、今は絶好調。オルトレXR4にしても、そうだ。
カウンターヴェイルが効果を発揮しているかどうかは、正直わからない。複合素材の性能は複雑に構築されているので理由は特定できないが、乗り心地はいい。ほどよく振動が制御されていて、路面の状況をちゃんと伝えつつも収束が早い。下りでスピードを出してもストレスに感じないのは、必要なところにしっかりと剛性があり、各部の精度の高さが余分な抵抗を最小限に抑えているので、速く、そして怖くない。また、フレームとパーツがシームレスにデザインされているなど、空力ウンヌンよりもプロダクトデザインとして質が高い。オッサン体型で乗るにはカッコよすぎるのが弱点だけど、ヒルクライムからTTまで守備範囲も広くマルチに使えるバイクだ。
このバイクは……
レース・エンデューロ向け
独特のエンジニアリングから生み出したライディングフィールが素晴らしい
富士チャレンジ200
グランフォンド八ヶ岳
東京エンデューロin彩湖
関連URL:サイクルヨーロッパジャパン http://www.japan.bianchi.com/
写真:編集部
文:菊地武洋、山本健一
著者プロフィール
山本 健一やまもと けんいち
FUNRiDEスタッフ兼サイクルジャーナリスト。学生時代から自転車にどっぷりとハマり、2016年まで実業団のトップカテゴリーで走った。自身の経験に裏付けされたインプレッション系記事を得意とする。日本体育協会公認自転車競技コーチ資格保有。2022年 全日本マスターズ自転車競技選手権トラック 個人追い抜き 全日本タイトル獲得