2017年09月19日
【2018 NEWプロダクツVOL.5-2】BIANCHI / OLTRE XR3
BIANCHI / OLTRE XR3
2017年春に発表したオルトレ シリーズの末弟、オルトレXR3。上位機種のエアロフォルムを受け継ぎ、ヴァイブレーション キャンセリングシステム カウンターヴェイルを搭載する、もっともリーズナブルなモデルである。フレーム重量は、XR4(980g/55サイズ)と比べても1100gとわずかな重量増にとどめている。
ワールドツアーで勝利を重ねるバイクのテクノロジーとパフォーマンスを受け継ぎつつも、バリュープライスを実現。コンポーネントは2種類、シマノ・アルテグラと105の完成車モデルを用意している。カラーバリエーションはシマノ・105モデルのみチェレステカラーベースと、ブラック基調フレームにチェレステグリーンの差し色が入った2色展開となる。
SHIMANO ULTEGRA 完成車 ¥398,000(税抜)
SHIMANO 105 完成車 ¥330,000(税抜)
フォークとフレームのシームレスなデザインはXR4から受け継ぐ
アルミ製の軽量アウターケーブルを標準装備する。カラーコーディネイトもばっちり
エアロロードバイクらしく、シートピンはフレームに内蔵し、すっきりとした外観を演出する
リムブレーキは標準的なタイプを使用する。バックステイのブリッジはチカラ強い造形だ
プレスフィットBBを採用することで、ダウンチューブのボリュームを拡大することができた。より剛性を高めることができるだろう
シートチューブはリアホイールに沿ってカットアウト。エアロフレームによく見られる造形で、リア周辺の乱流の発生を抑える働きがあるといわれる
IMPRESSION
最初のレーシングバイクとして最適◆山本健一
贅沢なスペックで、まさにバリュープライス。この価格帯からターゲットはホビーサイクリストということになるが、狙いどおりとても乗りこなしやすいバイクに仕上がっている。ハンドリングはレーシングバイクそのものの軽快な動き。加速性能こそXR4に譲るが、重心のバランスが良好でペダリングが乱れにくく、踏み込みやすい。
ライディングフィールにおいてのコンプリートとしての印象であるが、超軽量アルミ製のアウターケーブルを載せるなど、やや攻めた姿勢も見受けられる。過度に曲げてしまうと折れる可能性がある(軽さに特化した)製品だけに、販売する時点での説明をひときわ慎重に行う必要もある。シートピンの固定方法なども一般的なシートクランプよりも、クセがあるので、こちらもユーザーに使い方を理解してもらう必要があるだろう。ある意味ではそういったギミックを使いこなすという喜びも引き出せる。あえてレーシングなスペックの雰囲気を愉しむというのも味わいとしてはアリだ。
期待を裏切らない注目のモデル◆菊地武洋
オルトレXR3は、ビアンキに惚れている人なら気にかけないほうが難しい注目のモデル。価格を抑えつつ、カウンターヴェイルと上位モデル譲りのスタイリングなのだから、人気があって当然だ。しかし、上位モデルと比べると加速感はさすがに一歩譲る。その原因はホイールの重量や性能に起因している。カーボンホイールへ交換すれば軽くなるぶんだけ加速性は良くなり、ロングライドの後半に効いてくる細かい振動の収まりも良くなるはずだ。カウンターヴェイルの効果は他の要素とも連動しているので、コレか!という人もいないだろうと思うが、乗り心地が悪いと指摘する人もいないだろう。ブレーキがXR4同様ダイレクトマウント方式だったら、さらに魅力的だったとは思うが、価格を考えれば合格点以上の完成度を誇っている。
このバイクは……
レース・エンデューロ向け
競い合う楽しみに目覚めたサイクリストに最適なバリューモデル。
富士チャレンジ200
東京エンデューロin彩湖
関連URL:サイクルヨーロッパジャパン http://www.japan.bianchi.com/
写真:編集部
文:菊地武洋、山本健一
著者プロフィール
山本 健一やまもと けんいち
FUNRiDEスタッフ兼サイクルジャーナリスト。学生時代から自転車にどっぷりとハマり、2016年まで実業団のトップカテゴリーで走った。自身の経験に裏付けされたインプレッション系記事を得意とする。日本体育協会公認自転車競技コーチ資格保有。2022年 全日本マスターズ自転車競技選手権トラック 個人追い抜き 全日本タイトル獲得