BIANCHI / ARIA
ビアンキの中級モデルとしては、初のエアロ形状を採用したフルカーボンフレームのアリア。上位モデルに用いられているカウンターヴェイルこそ使っていないももの、フォークとフレームはシームレスなデザイン、ケーブル内蔵加工や、エアロシートポストなど、造形の作り込みはミドルグレードにしておくには少々、役不足ではないか。さらに超軽量のアルミ製アウターケーブルを採用。またアルテグラ完成車は新型r8000シリーズを搭載している。
トライアスロンミックスとは、エアロバーに換装したトライアスロン仕様。価格も105完成車と変わらないバリュー価格を実現している。トライアスロンだけでなくタイムトライアルバイクとしても活用できそうだ。
カラーはアルテグラ完成車にはブラックとチェレステグリーン、105完成車はブラックとチェレステグリーン、そしてレッドの3色展開となる。トライアスロンミックスはチェレステグリーンのみ。
BIANCHI / ARIA スペック
FRAME Carbon PF86
FORK Full Carbon 1.1/8″-1.4″
COLOR CK16・Black、レッド(シマノ105のみ)
SIZE 44/47/50/53/55/57
SHIMANO ULTEGRA完成車 ¥348,000(税抜)
SHIMANO 105完成車 ¥278,000(税抜)
SHIMANO 105トライアスロンミックス 完成車 ¥278,000(税抜)
オフセットしたバックステー。力強いチェーンステーが駆動力をロスなくリアホイールに伝える
プレスフィットBBを採用。ハンガー部分の造形は無駄がないシンプルな形状である
チェレステグリーンカラーの軽量アルミボルト(M5)を採用している。こんなところにも妥協なし
シームレスなフォークとフレームの境界線。 いかにも空力特性に寄与しそうだ。チェレステグリーンカラーのアルミ製の軽量アウターケーブルにも注目
オリジナルエアロシートポスト。それを止めるクランプボルトはフレーム内蔵でスッキリとした外観を実現した。締め付けトルクなどは販売店でよく確認しよう
IMPRESSION
想像以上によく走るバイク◆山本健一
スペック的には上位モデル採用素材のカウンターヴェイルを未使用で、オルトレXR3にも手がとどく価格だけに、どうしてもXR3に目が行きがち。ただし、真のパフォーマンスはライドしてこそ理解できる。
エアロロードバイクとしての造形ながらも機敏なライディングフィールで、語弊を恐れずに言うと想像以上によく走るバイクだ。この「想像」とは得てして価格帯などの一定基準から得られるもので、アリアに関してはそれ以上のポテンシャルを秘めているということである。
入力に対する反応が素直で、キビキビと加速してくれるのが楽しい。フレーム剛性は十分に高く不足はまったく感じない。カウンターヴェイルの特性はその部位から感じ取ることはできず、フレーム全体の印象として感じとるもの。アリアはエアロの造形ながら路面からの過剰な突き上げも感じないし、乗り心地は悪くない。
初期設定のホイールはお世辞にも軽くない。だが「ホイールをハイエンドモデルに換装したら、化けるのでは?」と思わせる素性の良さがある。レパルトコルセのノウハウを踏襲した、ミドルながらにして逸品といえる。
ただし、内蔵シートクランプやアルミ製の軽量アウターケーブルなど取り扱いにデリケートな一面もある。とりわけ最初の一台としてはややハードルが高いといえる。2台目の本格ロードとしても十二分だ。
オルトレXR3の双子の兄弟ようなバイク◆菊地武洋
オルトレXR3とアリアはジオメトリーを見る限り、双子といっていいほど似た兄弟である。しかし、同じシマノ・105を搭載したモデルの価格が33万円と27万8000円だから、差額は5万2000円もある。フロントフォークやシートステーなどスタイリングも違うが、購入を検討している人が気になるのはカウンターヴェイルの有無だろう。2車を性能だけで比較するなら、XR3に軍配をあげる。軽快感やレースをする機材としての反応性など、機敏性はオルトレがわずかに上だ。ヘッドチューブの長さも違うので、ブルベなど限界に挑む人にとってもオルトレに優位性がある。ただ、アリアのストレートフォークのほうがブレーキングのダイレクト感があり、スタイリングのスマートさもアリアのほうが美しい。そして、5万2000円の差があるかと言われたら、これは相当に悩ましい。ホイールのアップグレードなど購入後のアップグレードまで視野に入れるなら、アリアが僅差に勝っているといえる。
このバイクは……
レース・エンデューロ向け
独特のエンジニアリングから生み出したライディングフィールが素晴らしい
富士チャレンジ200
グランフォンド八ヶ岳
東京エンデューロin彩湖
関連URL:サイクルヨーロッパジャパン http://www.japan.bianchi.com/
写真:江西伸之
文:菊地武洋、山本健一
著者プロフィール
FUNRiDEスタッフ兼サイクルジャーナリスト。学生時代から自転車にどっぷりとハマり、2016年まで実業団のトップカテゴリーで走った。自身の経験に裏付けされたインプレッション系記事を得意とする。日本体育協会公認自転車競技コーチ資格保有。2022年 全日本マスターズ自転車競技選手権トラック 個人追い抜き 全日本タイトル獲得