2017年11月01日
【2018年 NEWプロダクツVOL.9】BRIDGESTONE ANCHOR 生まれ変わったセカンドモデル RS8/RL8 レビュー
アンカーのロードバイクシリーズのうち、ミドルグレードにあたる“8”の称号がつく、RS8、RL8、そしてエントリーモデルのRL3がフルモデルチェンジを果たした。
RSシリーズはレーシング志向で、RLシリーズは年々需要が高まっているロングライドモデルだ。またアルミフレームのRL3もリニューアルを果たしている。と、ほかにも多くの2018年モデルが展開される予定だが、今回はRS9とRL8の詳細と試乗レポートをお届けします。
BRIDGESTONE ANCHOR・RS8
力強く進むレーシングロードバイク
RSの最高峰モデルはRS9で、これは日本屈指のレーシングチーム「ブリヂストンアンカーサイクリングチーム」が使う主要モデルとなる。このトップモデルの形状を受け継ぎながら、構成するカーボン素材を変更し、走行性能と価格のバランスを最適化したのがRS8である。このRS8がフルモデルチェンジを果たしたのだが2017年モデルを剛性100とした場合、前三角は125%の剛性アップ、後ろ三角はほぼ同じ剛性レベルという設計となった。ちなみに上位モデルのRS9は175%、135%になるという。
フレームセット重量は2017年モデルよりも70gの軽量化を果たした。メーカー公称値で1620g(フレームとフォークセット、490mm)となる。
完成車モデルはシマノ・アルテグラ、シマノ・105の2タイプを用意している。また電動コンポーネントにも対応。カラーバリエーションが豊富で、人気が高いレーシングスタイル1色、エッジスタイル2色、シンプルスタイル38色を用意。シンプルスタイルは新色5色を追加している。ロゴのカラーも3色から5色に増えており、よりオリジナリティを追求できる。
価格:335,000円(シマノ・アルテグラ完成車)、255,000円(シマノ・105完成車)、180,000円(フレームセット)
フレームサイズ:430、460、490、520、550mm
メリハリの効いたバック三角。バックステイは細く、チェーンステイは力のかかるドライブトレイン側を太く設計した。左右非対称デザイン。
ブリヂストンアンカーの開発技術、プロフォーマットを用いた形状設計
IMPRESSON
パリパリとした反応が気持ちよいレーシングバイク
レースに主眼をおいたRS9直系のセカンドモデル。ジオメトリーはもちろんフレーム形状も同じで、違いとしてはカーボンのグレードや積層だ。カーボンの弾性率の違いが乗り味に色濃く反映されるものだが、コストパフォーマンスに大きく振っているにもかかわらず、ライディングフィールのパフォーマンスは高く維持されていると感じられる。より高い峠を越え、より速く走りたいというロードバイクの原理に則った設計だろう。たくましいフォークと、軽快なハンドリングを実現するジオメトリーによって鋭いコーナリングを楽しめるが、同時にタイヤやホイールもそれに耐えうるグレードを用意したい。
さすがにRS9の加速維持性能もろもろを超えられているわけではないが、十分にレーシングスペックを楽しめるモデルに仕上がっている。コンポーネントも熟成の域に到達しているといっても過言ではないシマノ・アルテグラを搭載しつつも33万5000円と、高い競争力をもっているだろう。カスタマイズ可能な豊富なカラーバリエーションもまた、近年高まる自分だけの一台が欲しいというニーズに対応する柔軟なスタイルも持ち合わせている。
レーシングバイクが欲しいけれど、種類が多すぎてどれを選んでいいかわからない、というユーザーにとっての最適解。いい意味で質素で扱いやすく、かつレーシングパフォーマンスが十分に発揮されており、レース活動をするにも余計なストレスを生み出すこともないだろう。
プロフォーマットを導入
プロフォーマット(推進力最大化解析技術)は、一昨年RS9から導入したフレーム開発技術。ペダリングのエネルギー効率を最大に高めるため、フレームの各部にかかる細かな変化や変形を数値データとして拾い上げる。そこから生まれた設計理論を、実際のフレーム設計へフィードバックしていくというブリヂスチトンアンカー独自の開発技術である
BRIDGESTONE ANCHOR・ RL8
心地よく進むロングライド向けのロードバイク
ラグジュアリーをコンセプトとしたロングライド向けのRLシリーズのセカンドグレードとなる。トップモデルは9の称号をもつRL9である。このトップモデルと同様の形状ながらもより耐久性の高いカーボン素材と最適な積層構造を採用し、運動性能と価格のバランスを最適化したのがRL8である。より遠くへより快適に、をテーマに、プロフォーマットを軸にロングライドに適したフレームジオメトリー、しなりと軽さのベストバランスを追求。
2017年モデルと剛性比較を行うと、現行モデルを100としたとき、前三角は108%の剛性アップ、後ろ三角は111%の剛性アップを果たした。ちなみにRL9は120%、120%となる。新しいRL8の重量は、パフォーマンスを重視した結果、50g増の1540g(フレームとフォークセット、490mm、メーカー公称値)となる。
カラーはエッジスタイル2色、シンプルスタイル38色を用意。シンプルスタイルは新色5色を追加している。ロゴのカラーも3色から5色に増えている。
価格:335,000円(シマノ・アルテグラ完成車)、255,000円(シマノ・105完成車)、180,000円(フレームセット)
フレームサイズ:390、420、450、480、510、540mm
ロングライド向けに最適なジオメトリーで、長めのヘッドチューブを用いる
滑らかなカーブを描き振動吸収性を高めた設計のカーボンフォーク
ペダルからのトルクがかかるドライブトレイン側をチェーンステーを太くした左右非対称デザイン。シートステーの形状も振動吸収性を高めるために横扁平している
IMPRESSON
しっとりとした落ち着きのあるロングライド仕様
RS8と同列になる8の称号。しかしながらRLシリーズはロングライドに注力したモデルで、一線を画すバイクといえるだろう。跨った瞬間に歴然としている。良い悪いではなく、まったく違うベクトルである。とはいうもののあくまでもロードバイクという大きな括りの中での話であることを付け加えておく。
大きな違いはペダリングをした時の印象だ。レスポンスがよいRS8と比べて明らかにしなりを感じるライディングフィール。加速局面を想定するとダンシングを多用するような走りが向いている。シッティングでは一枚軽いギアでケイデンスを保ちながら走るようなスタイルが向いていそうだ。コンパクトギアとリアのカセットも少し軽めにして、軽く息が上がるくらいの心地よい疲労感に包まれながら暖かい日差しを浴びて峠を上る週末。といったシーンが頭に浮かぶような、しっとりと落ち着きのある大人のバイクだろう。とはいえスピードを諦めたわけではなく、ここぞという時にはスピーディに走ることができる素養もある。逆説的にこのフレームの優しさがあれば、ホイールに対して優しさを求めることはしなくてもいいので、あえてレーシングスペックのホイールを履かせても面白いかもしれない。と、いろいろなアソビカタを想像してしまう。完全に実用主義、乗り倒してこそ楽しめるバイクといえる。ムツカしい独自規格もなく実にシンプルなのも今はより良く感じる。せっかくだからカラースタイルにはこだわろう。
2018年はカラースタイルがより充実する
30色以上ものバリエーションがあるシンプルスタイルに新たに5色のカラーが追加。その中にはこのマットカラーも登場。上品で落ち着いたシックなカラーリングである
フィットネスに最適なアルミロードバイクとして生まれ変わったRL3ははRL6のアルミ技術を最適化したモデルだ(写真はフラットバー仕様)。溶接ビートやパイプの加工を一部見直し、リーズナブルな価格を実現。ドロップハンドルとフラットバーの2タイプを用意。カラーリングはエッジスタイルの3カラー(ブラック、ホワイト、スタイルレッド)を用意している。
価格は105,000円(ドロップハンドル、完成車)、93,000円(フラットバー、完成車)
フレームサイズ:390、440、490、540mm
写真と文:山本健一
著者プロフィール
山本 健一やまもと けんいち
FUNRiDEスタッフ兼サイクルジャーナリスト。学生時代から自転車にどっぷりとハマり、2016年まで実業団のトップカテゴリーで走った。自身の経験に裏付けされたインプレッション系記事を得意とする。日本体育協会公認自転車競技コーチ資格保有。2022年 全日本マスターズ自転車競技選手権トラック 個人追い抜き 全日本タイトル獲得