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2024年11月10日

第36回ツール・ド・おきなわ 全種目を50㎞コースに変更もコース冠水により中止へ

2024年11月9日~10日の開催されたツール・ド・おきなわ。UCIアジアツアー1.2クラス(ワンデーレース)のチャンピオンレースが行われ、その雄大なコースから一般クラスの市民レースは最強のホビーレーサー決定戦としてシーズンを締めくくる最高の舞台とし、名実ともに国内最大級の自転車ロードレースといえる。

そんなツール・ド・おきなわは、9日未明に発生した線状降水帯によって、コースの一部となっている国道331号線に土砂がながれこみ通行ができなくなった。大きな被害を被ったのは沖縄本島北部の3村。その中でも東村では建物への被害も報告されており、また大宜味村では浄水場が破損し断水となり、多くの地域でライフラインにも影響がでている。これまでの総雨量は500mmを超えており、1日を通じて大雨警報をはじめ複数の警報・注意報が発令される状況であった。

9日、中止になってしまったサイクリング部門の参加者の皆さん。海外からの参加者で名残惜しそうに記念撮影を行っていた。

そんな中、レース開催に向けて大会事務局は尽力したが、この悪天候の前では安全を第一に9日のサイクリング部門6種目は中止の判断をくだした。また翌日開催のチャンピオンレース、市民クラスの17種目はすべての種目を50㎞コースを用いて開催するという方針を正午に発表。プロサイクリングレースでは悪天候によって距離短縮するというケースはみられるものの、ツール・ド・おきなわでは40年近い歴史の中においてもこのような措置は異例だ。

「このレースのために一年間頑張ってきた選手たちのことを思うと開催しないと、と思っているのでできることはないかと手を尽くしています」。サイクリング部門中止直後、大会主催者の一人はこう言った。プロ選手はシーズンラストの大一番、ほとんどの市民レーサーは仕事や生活の中にトレーニング時間を設けてこの日に臨んでいる。レース主催者としてはその気持ちを受け止めなければならず苦渋の決断となった。

レースは全種目50㎞に変更となったが

レース種目は200㎞、140㎞、100㎞、50㎞の4コースが設けられ、今回の土砂災害から免れた50㎞のコースを用いてすべての種目が集約された。200㎞は50㎞のコースを通るため事前の予習ができている選手が多いが、140、100㎞の選手は未知のコースだ。緩やかなアップダウンの平坦基調のショートコースのため、スピードレースが予想され、多くの人が注意喚起を促すSNSを発信していた。

スタート地点はすべての種目が名護市役所前となる。本来はスタート地点が異なる100㎞、140㎞の部などは大幅に変更を余儀なくされ、新種目チャレンジレースの4種目は混走へと変更された。

各待機列へ並ぶ選手たち
市民140のプラカードが名護にある異例の事態だ
スタートを待つ市民200の選手たち

コース冠水により市民レースはスタート直前に中止へ

早朝スタートラインには出走する選手がそれぞれの種目ごとに整列をした。すべての種目の整列は圧巻であった。チャンピオンレースは定刻でスタート。しかし市民レースの最初のスタートである市民200のスタートが切れられない。やや待機する時間を経て、 當山 智士大会会長から中止の宣言が行われた。
選手たちからは励ましの声が上がる。こうして2024年のツール・ド・おきなわは幕を閉じた。

渡具知大会会長からレース中止のアナウンスが。選手たちからは励ましの声が上がる

大会会長はこう言う。「昨日はすべての種目を中止にしましたが、市民レースの人たちにはぜひ走ってほしかったという想いがありました。スタート時点では何もなかったが、早朝の豪雨の影響かコースの35㎞地点の複数個所に冠水が確認されました。これは危険を伴うということで、チャンピオンレースはスタートした後でしたが、それ以降の市民レースの皆さんには説明を行いご理解をいただきました。
しょうがないと思います。選手のことを考えると続行をしたかったのですが。来年にむけてはぜひ晴天で半袖で走れる大会になれば。準備も怠らず皆さんを迎えられればと思います。申し訳ありませんでした。」

続報:サイクリング部門 の 沖縄本島一周サイクリング及び伊平屋島サイクリングの2日目は、スタート地点及び走行コースが離れていることもあり(一部バス送迎を伴いながらも)開催された。
参加料金について、は、大雨災害による中止および大会直前の判断という状況で多くの発注物がそのまま大会開催に向けて準備された状況となっており、大会参加規約に基づき、返金は行わない方針に。
【重要】大雨災害による大会中止と返金なしについてのご説明 | ツール・ド・おきなわ 大会ニュース


今回発生した線状降水帯により被災してしまった鹿児島県与論町、沖縄県の皆さまにお見舞いを申し上げるとともに、次回ツール・ド・おきなわの開催を心よりお祈り申し上げます。

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