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2016年10月26日

NIPPO・ヴィーニファンティーニ 2017年加入選手発表/JAPANプロサイクリングについて

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イタリア大使館で盛大に行なわれたプレゼンテーション

昨年にひきつづき、駐日イタリア大使館にてNIPPO・ヴィーニファンティー二のプレゼンテーションが行なわれた。プロスポーツチームとして、日本とイタリアの架け橋となっていることを察することができ、既存の日本プロチームとはカラーの異なるチームである事はみなさんも承知のとおりだろう。しかし、同チームの2017年の活動においては、これまでとは違った内容となった。

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ゼネラルマネジャーのフランチェスコ・ペロージ氏
「NIPPO・ヴィーニファンティー二は自転車だけでなく文化的にも、色々なスポンサーの協力によってプロジェクトが成立すると思っている。日本とイタリア、両方の基盤をもっているのは自転車においては珍しい存在で、ほかのスポーツにも注目をされている。プロコンチネンタルチームという世界で2番目に高いカテゴリーに属しており、トップカテゴリーのワールドツアーのレースに出場することができる。たとえばジロ・ディタリアや、オーストラリアでおこなわれる、カデル・エヴァンスなど、トップレベルのレース180大会に出場することができる。2020年東京オリンピックにむけて、日本人選手が多くの世界レベルのレースに出場できるようにしたい。感謝すべきは私たちを支えるスポンサー。スポンサーの存在が選手たちを大きく成長させてくれる。本日紹介したJAPANプロサイクリングに参加できるということはとても光栄。新規加入する4名の選手はこのプロジェクトに初めて参加する選手となる。日本とイタリアは遠く、文化も異なるが、1つとなって若い選手を育てて、オリンピックに向けて努力したい」

JAPANプロサイクリング

「日本の自転車競技はロンドン、リオと大きな成績を上げることができなかった。とくにロード選手を世界レベルに導くためには、より位の高いレースに出る必要がある。しかし、現状ではその資格を有するチームがほとんどない。世界と戦えるカテゴリーの高いレースに参加すべく、NIPPOのプロコンチネンタルチームとしての活動を支えていく。
現在4名の選手の加入が決まっているが、将来的にはより多くの選手を日本のチームから参画させていって、東京オリンピックで、1人でも多くの選手が優秀な成績を収められるように展開していく。オリンピックはロードレースだけではないが、私どものJCFでは先ず最初に、世界でもポピュラーで難しいロードレースで、強い選手を輩出し、自転車競技がもっと周知されるような環境作りを目指す」

東京オリンピックでの選手枠確保、そして自転車競技の発展のために一般社団法人JAPANプロサイクリングの正式な発表がこの場でなされた。当面の目標は2020年の東京オリンピックでの日本人選手枠の確保である。そのためには競技選手のパフォーマンスアップを実現する必要がある。
林辰夫氏(一般社団法人JAPANプロサイクリング理事/日本自転車競技連盟副会長)は「もともとはカテゴリーの高いレースを走れる、プロコンチネンタル以上チームを作り、豊富な経験をもつ大門監督から選手もコーチもメカニックも学んでいって、世界のトップチームと同じようなレベルに達することがひとつの目標としてスタートした。カテゴリーの高いレースでポイントを稼ぎ、2020年のオリンピックの出場枠を確保するのが第一目標。それをJCFが承認し、プロコンチネンタルチームで走れる機会を作ったということ」と概要を語る。この一社の情報の多くはまだ公表されていないが、日本の自転車競技において追い風となる存在となることを期待したい。

橋本聖子会長「2020年はすべての競技でメダルを獲得すること、というのを最低の目標にしたい」

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昨年に続き、橋本聖子会長(一般社団法人JAPANプロサイクリング理事長/日本自転車競技連盟会長)も出席し、コメントを残した。

「今回もNIPPO・ヴィーニファンティーニの記者会見に同席できることを、心から感謝します。
昨年10月の記者会見のあとにJAPANプロサイクリングのチームを立ち上げることになりました。私自身は理事長という形でスタートを切りました。2020年の東京オリンピック、パラリンピックで、すべての競技において、メダルを獲得したいというのが日本オリンピック委員会の願いです。私自身もJOCの強化本部長という立場で、あと4年弱となったオリンピックに向け、各競技にきめ細かい強化対策の提出をしていただいております。それにできるだけの予算をつけることで、強化連携を図っていきたいと言うのが、いまの現状であります。その中で、私自身は日本自転車競技連盟会長という立場でもありますので、これからの自転車競技において、ロード、トラック、BMX、MTBという4つの競技があるが、すべての競技でメダルを獲得するということを最低の目標にしたいと、大きな目標を掲げています。とくに自転車を取り巻く、環境面や健康面に関するメリットを考えていきますと、これ以上素晴らしい乗り物は世界にないわけです。日本は大変なサイクリングブームだが、その拡大を図るとともに、競技において頂点を目指すことで、2020年以降の自転車における環境というものが激変していくのではないかと思います。経済的な効果とともに、健康年齢の延伸をはかるという意味においても自転車というものが普及することが、より素晴らしいことであると考えている。私どもはNIPPO・ヴィーニファンティーニの強化をしっかりと行ないながら、日本やイタリアの選手が東京大会で確実にメダルを獲得できるような、協力体制をしっかりと築いていきたい。

4人の移籍選手

新たに加入した3名の日本人選手は、中根英登(愛三工業レーシング)、伊藤雅和(愛三工業レーシング)、リオオリンピック・ロードレースに日本代表として出場した内間康平(チームブリヂストン・アンカー)である。3選手ともに国内屈指のUCIコンチネンタルチームに所属し、国内外のレースで活躍、世界ランキングをめざすうえで、日本の自転車ロードレース界の中核を担う選手たちです。すでに発表されているU23全日本チャンピオン小林海(チームクオータ C.パウリーノ)と合わせ、2017年は新たに4名の日本人選手がNIPPO・ヴィーニファンティーニとともに、世界の舞台をめざす。

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小林海(こばやし・まりの)
略歴
1994 年7 月1 日生まれ(22 歳)
172cm / 62kg 脚質:オールラウンダー
東京都出身
2016 年U23 ロードレース全日本チャンピオン
スペイン人の父をもつハーフ
2014 年よりU23 スペイン・アマチームに所属。8 月よりNIPPO・ヴィーニファンティーニとトレーニー契約
2014 年 Sopela-S.D.Ugeraga (U23)
2015 年Construcciones Paulino Team (U23)
2016 年 Team Kuota C.Paulino (U23)

「NIPPO・ヴィーニファンティーニで走れることにうれしく思います。3年半スペインのアマチュアレースを走ってきたが、これからヨーロッパのプロの世界で走れることを楽しみにしています」


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中根英登(なかね・ひでと)
略歴
1990年5月2日生まれ(26歳)
170cm / 56kg   脚質:パンチャー
愛知県出身 名古屋市立緑高校、中京大学卒業
大学在学中からチームユーラシア、チームNIPPOに加入し欧州で競技経験を積む
登坂でのスピードや粘りが持ち味
2001年〜2011年 チームユーラシア(U23)
2012年〜2013年 チームNIPPO
2014年〜 愛三工業レーシング

「プロコンチネンタルチームへと1つステップアップできることをとても嬉しく思っています。現状維持ではなく、自分自身がさらに強くなるために、NIPPO・ヴィーニファンティーニへ送り出してくれた愛三工業、そして愛三工業レーシングチームには本当に感謝しています。これから世界トップレベルのレースに参戦していくことにワクワクしています。当然苦しむことも増えると思いますが、それを力に変えていきたいと思います」


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伊藤雅和(いとう・まさかず)
略歴
1988年6月12日生まれ(28歳)
171cm / 60kg   脚質:クライマー
神奈川県出身 法政大学第二高校、鹿屋体育大学卒業
ジュニアカテゴリーからナショナルチームで活躍し、大学時代にツール・ド・インドネシアで区間2勝
2014年春に大腿骨骨折の大ケガを負い、リハビリを経て2015年に競技復帰

2011年〜 愛三工業レーシングチーム

「このようなお話をいただき大変光栄に思い、加入させていただきました。自分はまだ日本でベストな選手ではありませんが、この環境を最大限に活かし、ベストな選手になれるよう努力して参ります。ここまで育てていただいた愛三工業レーシングチームや、いつも応援してくれる家族にも感謝しています」


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内間康平(うちま・こうへい)
略歴
1988年11月8日生まれ(27歳)
170cm / 61kg   脚質:スプリンター
沖縄県出身 沖縄県立北中城高校、鹿屋体育大学卒業
2015年UCIアジアツアーランキング国内1位
リオオリンピック・ロードレース日本代表

2011年〜2013年 チームNIPPO
2014年〜 チームブリヂストン・アンカー

「プロコンチネンタルチームへとレベルが上がり、今まで走ってきたレースよりも厳しいレースが待っていると思いますが、今回はたくさんの期待がかかっており、自分の自転車競技人生をかけての移籍だと考えていますので、命がけで臨みたいと思います」


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NIPPO・ヴィーニファンティーニ キャプテン/ダミアーノ・クネゴ
ジャパンプロサイクリングについては日本とイタリアを繋ぐ役割がある。2020年東京オリンピックに向けて、チームを強化できるでしょう。そして若い選手の走りに貢献できるよう私はキャプテンとして頑張っていきたい。私には豊富な経験があるので、育成に力を入れていきたいと思います。


 

福島晋一監督のコメント

編:来季のプランをお話できる範囲でお聞かせください。

福:直近では11月にも3日間の顔見世的な合宿があります。

編:イタリアでですか?

福:はい。12月には2週間の合宿が入ります。そして1月にはアルゼンチンとオーストラリアのレースに出場します。そこでは少し早めに現地に入って調整するような形になります。

編:来季はアジアツアーも回りますか?

福:アジアツアーは今のところ日本以外には中国、韓国、そして台湾と計画しています。それに加えてランカウイのほうから招待を得られれば、そこにも出場したいと思います。また、まだ招待は来ていないんですけど、もちろんジロにも出場したい思っています。

編:東京オリンピックへの対策をお聞かせ下さい。

福:オリンピックに関しては、その出場枠を争うのは2018年ぐらいからで、18、19年のポイントで決まります。

編:そのあたりからアジア中心のレース展開にシフトするのですか?

福:ヨーロッパのポイントが加算されるのかされないのか、そこら辺のルール確認しながらですけども。ただ、やっぱり世界で戦うためにはヨーロッパで通用しないとダメなんですよ。なのでそういう意味では、ヨーロッパでちゃんとポイントが取れる日本人選手を育てていくことがすごい大事だと思います。アジアにはこだわりはないです。

編:会見で「育成」という言葉が出てきました。新しい選手をどんどん受け入れる体制ができているのでしょうか? シーズン途中でも積極的な受け入れをしますか?

福:そうですね、研修生制度などもありますし。人数をたくさん受け入れることは大事です。ただそれに見合う選手が出てくるかどうか。そういう意味では我々のチームに上がる前段階の選手育成というものも大事ですよね。広く多くの選手に良い指導を行き渡せるということも大事なので、イタリアのやり方を学んで、それをどんどんと伝えていくことが大事だと思いますね。とにかくいろんな人がそういうことに携わっていかないといけないですよね。

編:福島さんはフランスで活動するのですか?

福:僕は、フランスに家を借りて、6人~10人の選手を滞在させています。場所はノルマンディ。パリの北のほうですね。まぁ天気はあまりよくないのですが、ベースがいいですよね。そこでじっくりやっております。


大門監督のコメント

今までコンチネンタルチーム間で選手の取り合いすることもあった。少しでも多くの資金を用意して選手を獲得することでチームを優位にするという思惑もあった。今回の愛三工業に関しては同社としてのチームに投資をして、その中の一番優秀な2名をトップレベルのレースに送り込むという意識がすごくあったのだと思う。今回の協力体制については、それがなんといっても最大のメリット。NIPPOだけではなく、イタリアのチームと一緒に、そして大きなスポンサーを動かして世界を目指すということが達成できた。愛三工業も同じ考えで、少しでも企業を団結させて、大きなもので世界を目指すことになった。

内間選手に関しては、ご周知のとおりNIPPOにいた時はアシスト人生だった。ただ彼としてはアシストだけでなくて、自ら勝利し、日本人のためにポイントを取りたいという意識があったと思う。ブリヂストンアンカーさんにお世話になって、すぐに結果を出した。日本だけでなく、アジアでも勝って、チームにポイントをもたらしたというのは、すごく大きかった。

リオの日本の代表枠は2名だったが2名とも沖縄県が出場選手輩出させた。ということは沖縄でも内間選手を個人的に支える方、また企業としても支える方がすごく多いということのバロメーターになった。なんといってもこの世界は“プロ”なので、一人でも多くのファンの方が真剣に選手を支えてくれているというのは大きな意味がある。なので今回、内間選手を再発見した。再発見という言い方は本人に失礼かもしれないが、そういう意味で、もう迷いはなかった。JAPANプロサイクリングと提携するということは、私にとってもすごく大きな進歩だと思うので、彼にはすぐに声をかけた。

小林選手は、今年のU-23の日本チャンピオン。私はよく言うが、全日本選手権のチャンピオンというのは10年やれば10回挑戦できるので別に珍しいことでも何でもない。世界を目指すのであれば、全日本のチャンピオンそのものに価値はないと思う。それは誰かが必ずなるわけだから。重要なのはこれまでと違う全日本チャンピオンになるということ。これまでと違うというのは、世界に向けての戦いを制したかどうか。というのはナショナルチームというのは日本国内の成績を評価してはダメだと思う。世界のランキングでどれだけ戦えるかっていうのを見るのが、ナショナルチームとしての価値。そういう意味ではこれまでにU-23の選手で、ヨーロッパで活躍できる選手というのはほとんどいなかった。新城幸也選手は確かにU-23のころから片鱗は見られたけれども、小林選手は新城選手、内間選手に続くぐらいの経歴をもっている選手だと思う。今回トレーニーに採用し、研修生として使ってみて、すぐにその片鱗は見えた。彼が東京オリンピックに出るかどうかはわからない。ただ少なくとも、東京オリンピックを目指すプロジェクトで彼の存在が日本選手のレベルを上げるのは間違いないと思う。そういう意味ですごく期待している。

(写真と文/編集部)

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