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2018年08月23日

【第18回アジア競技大会(2018ジャカルタ・パレンバン)現地レポート】別府史之がゴールスプリントで惜敗するも銀メダルを獲得!

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インドネシアで開催されている第18回アジア競技大会。23日は男子個人ロードレースが行われた。コースは全長144.5kmで前日の女子のコースよりも折り返し地点を遠方に設定したもので、およそ125kmまでは緩いアップダウンの続く平坦基調の道で、後半の約20kmがヒルクライムとなるルートだ。
日本チームは、別府史之(TREK SEGAFREDO)と新城幸也のケガによる欠場で急遽招集された中根英登(NIPPO VINI FANTINI EUROPA OVINI)の2名が出場した。今大会から各国の出場枠が4名に広げられたなかで、2名で挑んだ日本チームには、優れた戦術が求められた。

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前半から中盤にかけて優勝したアレクセイ・ルツェンコを含むカザフスタンの4名がメイン集団をコントロールした

前半から中盤にかけて単独や数名でのアタックによる逃げが発生してタイム差を広げるものの、ゴールまで到達できるような逃げは決まらず、カザフスタンのコントロールするメイン集団に吸収されてしまう。逃げ集団から韓国の選手単独でアタックをかけるものの、上りに入ったところでこちらも吸収された。

最後の上りに入って、各チームがペースアップして、日本の2名を含むトップ集団が絞られていく。
最終的に残ったのは、日本の2名のほか、カザフスタンのアレクセイ・ルツェンコと、タイのNAVUTI LIPHONGYU(ナウティ・リポング)とPEERAPOL CHAWCHIANGKWANG(ピーラポー・チャーチアング・ワング)の5名。ここで中根が献身的に集団を引いて、後続から追いつかれないペースを維持し、別府のゴールスプリントに向けて脚を温存させる手段に出る。
別府がトップで最後のゴールスプリントに臨むものの、フィニッシュライン手前でルツェンコに差されてしまい2位となった。役割を果たしきった中根はトップから15秒遅れの5位でレースを終えた。

 

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チームカーからの補給を受け取る中根

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集団内の別府に補給を届ける中根。今回初めてチームを組んだ2人だが完璧な連携をしていた

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平坦路でのアタックを無視して集団内で脚を温存した別府(右)と中根(中央)

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ラストの約20kmまでは、緩いアップダウンはあるものの平坦基調の道が続いた

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ゴールスプリントのトップ争い。別府はゴールまであとわずかのところでルツェンコに差され銀メダル

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別府(左)の銀メダルを祝福する中根(右)。日本チームは、数的不利のなかでベストなレースを展開した

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表彰式。左より銀メダルの別府史之、金メダルのアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン)、銅メダルのNAVUTI LIPHONGYU(タイ)

リザルト


別府 史之(TREK SEGAFREDO)のコメント

2人で臨んだレースだったが、予想どおり優勝候補のいたカザフスタンがレースをリードしていた。前半は2人で動きながら、中根選手が僕のサポートに付いてくれて、万全の体制で最後の山に向かうことができた。
途中で逃げていた集団も山の前で吸収されると思って無視していた。山を迎えたところでいろいろなチームがペースアップするなかで、中根選手も調子が良さそうで、僕も調子がよかった。僕が集団にステイして、中根選手にフォローしてもらう展開と考えていた。
残り5kmは平坦基調でスプリント有利になり、僕を連れていったら勝てる可能性あるので、そこに賭けた。最後は中根選手がずっと前を引いてくれて、すばらしいサポートをしてくれた。最後、万全のタイミングでゴールスプリントに臨めたが、ラスト1mで抜かれてしまった。

2位という結果だが中根選手のアシストを受けて万全の体制と体調で臨めたレースだけにどうしても勝ちたかった。優勝した選手も僕と同じワールドツアーを走り、大きなレースで沢山勝っている選手。このレースの前も調子がよかったので一番の優勝候補だった。
それをどう自分たちの作戦でねじ曲げていくかのレースだった。金メダルまであと少しのところまでいったが、少しの差で負けてしまった。ここまで良い内容のレースを戦えたというのは日本ナショナルチームのおかげで、サポートしてくれたみなさんのおかげだと思っている。
本音でいうと金メダルを持ち帰りたかったが、銀メダルという結果が出て、僕ら2人で参加して、良いチームワークと結果が残せたと思っている。

急遽チームを組むことになった中根選手とは、今大会でルームメイトでもあり、部屋でも事前に集団内でどう動くかなど、緻密なすりあわせができた。スポーツは生き物なので、シチュエーションや相手チームの動き方など、見てみないとわからないところがある。それで実際に走りながら動いてみて、良い結果が出せてよかった、

気持ちも体調も万全なので、明日のタイムトライアルも引き続き頑張りたい。まだ決まったわけではないが東京オリンピックを目指している。あと2年間プロチームの契約も更新したので、東京オリンピックに向けて、このリズムを崩さずに走っていければいいと思っている。


中根 英登(NIPPO VINI FANTINI EUROPA OVINI)のコメント

自分が後半の急勾配で様子見のアタックをかけたが、ほかの選手に反応されて付いてこられてしまった。そこでゴールまで行くならフミさん(別府)のスプリントの方が絶対に勝率がいいと判断した。
ラスト5kmからは自分が5名の集団の先頭を引いて、後方からの選手に追いつかれないスピードでコントロールした。とりあえず引き切ってラスト300mでフミさんにまかせた。集団のなかで自分が上りは一番優れていた自信もあったが、勝負できるきつい上りが終わってしまったので、フミさんにスプリントをお願いしたほうが、メダルを獲るためには得策だと考えた。レースが始まってからのアタック合戦についても、作戦はいくつか決めていた。

序盤は集団のなかで脚を使わないようにセーブして、ラスト15kmからの上りに備えた。どういう展開でレースが進むか読めなかったが、一番思いどおりのパターンにはまってくれた。やはり他国が4名でこちらは2名という、サッカーで例えたらレッドカードで2人を失ったようなもの。ロードレースでも不利にはなるが、2人で戦えるベストな作戦を立てて、それどおりにはできたのかと思う。

代表選考では自分も候補に入れてもらっていたが、幸也(新城)さんに決まった時点で、出場はないと思っていた。でも5日前だろうが4日前だろうが、「レースいけるか?」と言われて準備ができていなければ自分でチャンスを逃してしまうようなものだ。いま所属しているNIPPO VINI FANTINI EUROPA OVINIがそういう面からも自分を成長させてくれておかげで、準備期間が4日と短いなかでも調子を合わせることができた。

今回のレースで日本チームとしては最良の動きができた。フミさんの最後のスプリントに関しては、仕方ないというかこれが勝負の世界だと思う。初めてフミさんと同じチームで走り、無線の使用が許可されない今大会でもうまくできたというのは、次につながるいい収穫になったと思う。

 

写真と文:猪俣健一
関連URL:https://www.joc.or.jp/games/asia/

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