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2016年09月05日

3モデル インプレッション Vol.19/CERVELO S3 (エアロロードモデル)

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 CERVELO / S3

S3/エアロダイナミクスにおけるリーディングバイクである上位モデルのS5とはフレーム形状が異なり、このS3はサーヴェロとしてはシンプルにまとめているのが特徴。そして業界屈指のエアロバイクであることには間違いはない。プロライダーにも好評でワールドツアーで使われるほどのパフォーマンスだ。このボリュームながらもフレーム単体重量は1050g(サイズ51)という軽さに仕上げている。シンプル・ファスターというサーヴェロの理念を具現化したようなバイクといえる。

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■フレーム:カーボン■フォーク:サーヴェロ・オールカーボンテーパードS3フォーク■試乗車のコンポーネント:シマノ・アルテグラ(クランク:ローター・3D30)■ホイール:マヴィック・コスミックエリート■カラー:レッド×ブラック■サイズ:48、51、54、56■価格:730,000円(シマノ・アルテグラDi2完成車・税抜)、600,000円(シマノ・アルテグラ完成車・税抜)、380,000円(フレームセット・税抜)

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鋭利な剣のようなスクオーバルチューブ。エアロロードバイクらしいダウンチューブ形状だ。

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BBライトはパワー伝達性能を最適化するサーヴェロ独自のフレーム形状だ。

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乱流を引き起こしやすい突起物となりやすいシートクランプはフレームに内蔵した。

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シートクランプの形状までもエアロ化している徹底ぶり。カーボンレール向けの台座もオプションで用意されている。

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フロントフォークは定石どおり上下異径サイズとなるが、大口径化した下側のサイズは1-3/4インチと標準とされているサイズよりも大きい。

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エアロロードらしさを際立てるシートチューブのカットアウト形状。力強いチェーンステーと振動をいなすようなバックステーの形状の対比も特徴的である。

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実用的なエアロロード■菊地武洋

サーヴェロがエアロバイクの祖を築いたという説明は大きな間違いである。空気の抵抗が自転車を速く走らせる障害なのは、自転車が誕生すると同時に分かっただろう。その後、様々なアプローチが施され、小さなブームや改良を何度となく繰り返してきた。ただ、ロードレースのアタックと同じく、状況を一変するようなゲームチェンジャーは早々現われないものだ。その滅多に決まらないアタックを決めたのがSシリーズであることに異論がある人はいないだろう。新しくなったS3はサーヴェロがデザインした最新の形状を身に纏い、走行速度の向上とライダーの体力の消耗を抑える効果を発揮する。というのが、このバイクのあらましである。
試乗車はリム高の低いマヴィック・コスミックが装着されている影響か、エアロバイク特有の違和感がない。撮影用としては控えめなスタイリングだが、横風などを考慮してオールマイティで使える実戦的なアッセンブルである。エアロ効果には大きな期待をしていない。プラセボ効果まで含めるなら話は別だが、フレームの形状だけで作り出せる空力効果はたかがしれている。S3でも、これといった効果は感じなかった。それでも魅力に陰りはない。たとえばハンドリングは大きく進化した。強化されたフロントフォークとヘッド回りの剛性、ジオメトリーのバランスがいい。コーナーの曲率が変化しても、コントロール性が一貫している点は過去のSシリーズにはなかったものだ。快適性も良くなっている。メインフレームの強化を図りつつシートステーで上手にいなし、レーシーな雰囲気とロングライドもこなす乗り心地を両立させている。ブレーキの取り付け位置やケーブルのルーティングなど、見た目のエアロを捨ててユーザーの『実』を優先させたのが成功のポイントだろう。

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質実剛健、これぞサーヴェロ■芦田昌太郎

とにかく進む。踏めばそのぶんしっかりと反応し、巡航に入ってからも足りない脚力を補ってくれている印象だ。サーヴェロらしさをしっかりと体現していて、流れるように加速してゆく。バイクとの一体感を得られる、乗っていて心弾むバイクで、速くなった気にさえさせてくれる。
R3に比べると、かなり硬質な感覚を覚えるのだが、むしろそれは心地よい硬さで、フォークもソリッドで好印象。サーヴェロというブランドに対して抱いていた「洒落たバイク」というイメージがさらに膨らみ、実益も兼ねた本気のバイクであることが分かった。まさに質実剛健、エアロダイナミクスを追求してきた結果がこのSシリーズに反映されている。
決して求めやすい価格とは言えないが、この完成度、この性能を鑑みると納得させられてしまう。

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サーヴェロにしてはおとなしい形状■山本健一

S3はSシリーズの中でも異端児的で、S5でもS2とも形状が異なる。“どうしたの?”というくらいおとなしいエアロロードバイクだ。エアロロードというとギミックてんこ盛りのバイクに嫌でも注目が集まる。全部内蔵してやるぜ!といった進取のフレーム設計は確かに空力が優れていて速いだろうし、乗っていて悦に浸れることは間違いない。それを支持する気持ちは否定しないし、もちろん速いバイクへの憧れもあるので個人的にも楽しいバイクだと認めている。完全なエアロロードの側面から見たらS3の存在意義は希薄となる。だがライドしてみると、やっぱりサーヴェロだった、とある意味の期待を裏切らないライドパフォーマンスを楽しめる。Rシリーズの気持ちよい加速性能、そして想像よりも快適性も高められており、ノーマルロードに近い雰囲気だ。さらにフレームデザインもノーマルっぽいのでアッセンブルするホイールもディープリム以外でもマッチしやすい。1秒でも速く、順位を1つでも上げたいという走りの質を高めたいサイクリストにとっては、エアロロードなのに走らないフレームよりも、ほどほどのエアロで爽快なフィーリングを得られるバイクのほうがイイに決まっている。形状には絶対にこだわりたい……というライダーの気持ちはわかる。手を焼くようなバイクがしっかりと動作したときの喜びはなんともいえない。そう、可愛くて仕方がないからだ。しかしエアロロードに走りの質をも追求するのであれば、このS3は外せない1台である。

 

(写真/和田やずか)

問:東商会 http://www.eastwood.co.jp/

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