2016年08月04日
3モデル インプレッション VOL.19/ CERVELO
◆3モデル インプレッションの定義◆
エアロロード、ノーマル、エンデュランスロードと3つのカテゴリーを有するブランドをセレクトし、この3カテゴリーの代表モデルを各1台、合計3台インプレッションするというもの。ブランドのイメージ、それぞれのカテゴリーに特化したバイクの評価、3モデルを総合した印象と比較など3人のライダーが多角的にレポートします!
第19回目はサーヴェロだ。優れたエンジニアリング、そしてエアロダイナミクスに関して業界でも最先端を進むブランドで、エアロダイナミクスがこれほどまで注目される以前からエアロの優位性をうたっている。プロチームヘの供給も積極的に行なっていて、2015年シーズンからMTNキュベカへ供給。2016年はディメンションデータとメインスポンサーが変更となったがサーヴェロは継続。マーク・カヴェンディッシュ、エドヴァルド・ボアッソンハーゲンなどの大型補強を行なって先日のTdFでの活躍は記憶に新しいところだ。今回のバイクは新機軸のCシリーズから中堅モデルのC3、RシリーズからはR3、SシリーズからはS3をチョイス。3シリーズともミドルグレードでサーヴェロといえども手が届きやすくライドパフォーマンスに優れたバランスの良いグレードだ。
C3/快適性、剛性、軽さとエンデュランスバイクに求められる性能をサーヴェロの優れたエンジニアリングで具現化。グランフォンドライダー、グラベルグラインダー注目の1台といえる。ディスクブレーキ専用設計フレームで、ジオメトリーも既存のサーヴェロラインナップとは一線を画す。上位モデルにC5が鎮座しており、このC3はミドルグレードに位置するモデル。■フレーム:カーボン■フォーク:サーヴェロ・オールカーボン テーパードC3フォークforディスク■試乗車のコンポーネント:シマノ・アルテグラ(クランク:ローター・3D30)■ホイール:HED・アルデニスプラスGP■カラー:グレー×ホワイト×レッド■サイズ:48、51、54、56■価格:790,000円(シマノ・アルテグラDi2完成車・税抜)、590,000円(シマノ・アルテグラ完成車、税抜)、610,000円(スラム・フォース完成車、税抜)、320,000円(フレームセット、税抜)
R3/スペシャルモデルRCa、上位モデルのR5、そしてミドルのR3。2014年にフルモデルチェンジを果たし、コレまでのモデルよりも空力特性に優れ、BB周りの剛性も高まり、ライディングパフォーマンスを著しく高めている。軽量バイクに分類されるが、オールラウンドに使える一台といえる。■フレーム:カーボン■フォーク:サーヴェロ・オールカーボン テーパードR3フォーク■試乗車のコンポーネント:シマノ・アルテグラ(クランク:ローター・3D30)■ホイール:マヴィック・アクシウム■カラー:マッドブラック×ホワイト■サイズ:48、51、54、56■価格:700,000円(シマノ・アルテグラDi2完成車・税抜)、570,000円(シマノ・アルテグラ完成車・税抜)、350,000円(フレームセット・税抜)
S3/エアロダイナミクスにおけるリーディングバイク。上位モデルのS5とはフレーム形状が異なり、サーヴェロとしてはシンプルにまとめてはいるが業界屈指のエアロバイクであることには間違いはない。プロライダーにも好評でワールドツアーで使われるほどのパフォーマンスだ。このボリュームながらもフレーム単体重量は1050g(サイズ51)という軽さに仕上げている。■フレーム:カーボン■フォーク:サーヴェロ・オールカーボン テーパードS3フォーク■試乗車のコンポーネント:シマノ・アルテグラ(クランク:ローター・3D30)■ホイール:マヴィック・コスミックエリート■カラー:レッド×ブラック■サイズ:48、51、54、56■価格:730,000円(シマノ・アルテグラDi2完成車・税抜)、600,000円(シマノ・アルテグラ完成車・税抜)、380,000円(フレームセット・税抜)
サーヴェロのイメージは……
山本:エンジニア集団で、いつもキレキレだった。今は良い意味で丸くなってきていて良い感じ。行き過ぎた感性にようやく周りが追いついた感じがしますね。
菊地:ちょっと前は流行りすぎていてちょっと恥ずかしかったけど、ブーム的な人気も落ちついたし、エンスー的には今の方が旬かも。実力も実績も十分だし、今サーヴェロに乗っているとイイよね。
芦田:初めてサーヴェロの名前を見たとき、eの上にチョンと乗っているアクサンテギュを使っていて……。カナダブランドだと聞いて納得なんですが、自転車を造る国という印象はあまり無くて。バイクを初めて見たときのイメージはエッジが効いていて、尖っているバイクだなというイメージ。
山本:まっさきに空力に取り組んでいたメーカーなので僕も尖っているな、という印象が強いですね。
菊地:最初はお世辞にも洗練されているというイメージではなかった。乱暴に言うと、ヤンチャなガレージメーカーが出てきちゃったぞと(笑)。
山本:キワモノ的なイメージはありましたね。トライアスロン用のアルミフレームなんてシートチューブが湾曲しちゃっているよって。
菊地:イケてるけど、完成度は大丈夫かよ……、というところから始まって、急成長をして。
山本:ロードレース界に参入し始めてから急成長を遂げましたよね。今でいうところのワールドツアーチームといえるチームCSCと組んだころでしょう。
芦田:そんな成り立ちもあってか、サーヴェロに乗っている人は一目置かれるようなところがありますよね。トライアスロン界ではダントツの人気ですし。
菊地:トライアスロンでは人気があるんだって、というところからロード界に入って、あれよあれよと一瞬で広まった。ここにきてポングループに加入してもっと高級ブランドとして何かやるのかなと思ったけど、正直肩すかしかな……、と。
山本:これまでエンジニア集団で資金調達があまり得意でないというのは認めていますから資本が入ったことである意味、開発に注力できている。プロジェクトカリフォルニアとかシビレますよね。
菊地:瞬く間に成長したけど、その後、苦戦することになったでしょ。資本が変わって、どのように高級ブランドとして仕切り直すのか興味深いね。みんなが買えるブランドじゃなくてもいい。高級&高性能ブランドの代名詞にサーヴェロがなることを期待している。販売店やユーザーはそうじゃないかもしれないけど、どのブランドも似たようなラインナップ構成ばかりじゃツマラナイ。
山本:今までできなかったことができるはずですね。ニューラインナップのCシリーズもしかりですけれど、これからの展開が面白いと思います。
菊地:どのブランドも上から下までラインナップを揃える必要性はないからね。
問:東商会 http://www.eastwood.co.jp/lineup/cervelo/
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。