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2023年02月21日

あの日の夢~これからの夢  EF エデュケーション-NIPPO デヴェロップメントチーム監督 大門 宏さん(後編)「これからも目指すのは」

EFエデュケーションとの提携 最高峰の環境での若手育成

以降、日本鋪道(2004年以降はNIPPO)は欧州チームとパートナーシップを組み、欧州にも拠点を置き、外国人選手やスタッフをチームに迎え入れつつ、日本人選手、監督、メカニック、マッサージャーに海外挑戦のチャンスを与え続けた。

日本舗道レーシングチームの立ち上げに大きく関わった高村氏(ラバネロ製作所)の他にメカニック部門で関わって来て現在でも活躍しているメンバーは少なくない。シマノレーシングOBの藤原富美男氏、遠藤徹氏(元スイスのプロチームで活躍。現在は仙台市でショップを経営)、永井氏(ポジティーボ代表)、現シマノ社員の小松氏はじめ、最近では大西氏(現TeamUKYO)、福井氏(現ラバッジョ代表)らの将来に大きな影響を与え、それらスタッフの育成活動は現在も継続中だ。

2014年以降はイタリアのヴィーニファンティーニと提携した日伊合同チームとなり、ジロ・デ・イタリアにもワイルドカード出場。山本元喜や初山翔ら日本人選手が完走するなど、その活躍は注目された。

2016年ジロ・デ・イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニから出場した山本元喜が完走を果たす(写真:Team NIPPO)

NIPPOの世界規模での活動を通じて、大門さんは外国人選手から多くの影響を受けたと話す。

指導者は選手から学ぶ

「NIPPOや僕にとって、一流選手やスタッフから学んだことがすごく大きかったですね。
NIPPOにとって初めての海外契約選手だったスイスのグイドッティやカメンツィン、最近であれば先日引退したリケーゼ、コロンビアのアレドンド、ルビアーノ、みんな我々のチームをステップにワールドツアーで活躍する選手ですが、イタリアのベテランのダミアーニ・クネゴ、バリアーニからもすごく多くのことを学びました。それは我々日本人に限ったことではなく、当時所属していたイタリア人の若いスタッフにとっても勉強になったはず。今でも彼等と再会するとよくそういう話をします」

「身近で引退して監督や指導者になる人にはよく言うんですが、指導者は選手から学んで自身の成長に役立つことの方が圧倒的に多いんです。
一般的に新人監督は期待を込めた評価として選手時代のキャリアで語られることが多いですが、実際は違うと思っています 」。

「たとえ一流選手でも引退して指導者になった途端評判を下げる人は意外と多いんです。
ベテラン選手はキャプテンとしては有能ですが、キャプテンとして指導する立場と、バイクに跨らない引退後の監督の指導方法とは、根本的に異なります」。

2012年ツアー・オブ・ジャパンではバリアーニ(左3人目)が総合優勝、アレドンドが山岳賞(右3人目)、そしてTeam NIPPOは団体総合優勝にも輝いた(写真:TEAM NIPPO)

フォルトゥナート・バリアーニ(イタリア)は、2012~13年ツアー・オブ・ジャパン連覇。マッシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)は2012年ツール・ド・北海道で総合優勝し、ワールドツアーでもスプリンターやリードアウトとして長らく活躍。ジュリアン・アレドンド(コロンビア)は2013年にツール・ド・ランカウィとツール・ド・熊野で総合優勝し、翌2014年はトレックに移籍してジロ・デ・イタリア山岳賞を獲得した。

「確実に優勝を狙える強い選手がいれば、だいたい勝負所をチームカーから目視出来ることが多い。そうすると、勝負どころのアタックポイントとかトップ集団の戦略みたいなものが教科書のように解ります」。

「それからリケーゼやアレドンド、ルビアーノは南米の国籍でヨーロッパ人じゃないからか、感心させられることも多かったです。
ツアー・オブ・ジャパンやツール・ド・北海道のようなアジアのレースでもNIPPO(スポンサー)が求めてることであれば、全力を尽くしてくれる。リケーゼもルビアーノも日本で稼いだUCIポイントが結果的にワールドツアーやプロチームへの道に繋がった。
また彼等は日本人選手のUCIポイントの獲得にも協力する模範選手でした。
残念ながら日本人選手の実力が及ばず上手く活かせないことも多かったのですが、当時所属していた日本人選手も彼らの姿勢から学んだことも多かったです」。

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