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2018年06月01日

【PROJECT 75 富士ヒル・シルバーへの道】Vol.3 本番直前! スバルライン試走で見えた手ごたえと課題とは!?

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今年で15回目を迎えるMt.富士ヒルクライム(6月10日開催)で、俳優・芦田昌太郎と当サイト編集長コタカが75分切りのシルバーリングにチャレンジする企画「PROJECT 75」。サポートするのはアテネ五輪・自転車ロード代表の田代恭崇さん(リンケージサイクリング代表)。早いもので富士ヒル本番まで約1週間と迫ってきたが、ここ最近の2人は富士スバルラインの試走を繰り返し、75分切りに向けて明るい兆しも見えてきた!?



ハルヒル参戦でレース感覚をつかめ!

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久しぶりのレースで気合十分!

この企画が始まって約3カ月間トレーニングを積み重ねてきた2人だが、実は芦田さんは約3年間、コタカも昨夏の乗鞍以来レースから遠ざかっていた。そこで富士ヒル3週間前の5月20日(日)、ヒルクライム大会の雰囲気に慣れるため、ハルヒル(榛名山ヒルクライム in 高崎)に出場。コースは14.7kmと富士ヒルより短いものの、標高差907m、平均勾配6.0%、後半に最大勾配14.0%の激坂が待っているのが特徴だ。

「追い込むというより、ペダリングや心拍をチェックしながら上った感じですが、それでも昔より速くなってました。中間地点ぐらいで自己ベストが出るという体感があって、ラスト4kmからの急勾配区間は加速せずにいきました。ですが、54分22秒と自己ベストから2分縮まりました」と、力がついてきていることを実感した芦田さん。田代さんからの教えも肝に銘じていた。

「レースなので心拍が上がるところもあるけど、基本LT値(乳酸閾値=有酸素運動と無酸素運動の境界の心拍数)ぐらいで走りました。一番意識したのが、序盤で周りのペースに合わせて上げすぎないことでした」

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芦田さん、後半の激坂は抑え気味に走っても自己ベスト更新!

 

一方のコタカは、重いスチールバイクでの出走で58分11秒。前回、田代さんに指摘されたサドルの座り位置を意識して走ったという。

「後半の急勾配区間を考えて前半抑え目に走ったんですが、やはり急勾配はきついものはきついですね(笑)。勾配がきつくなるにつれて上体が後ろに下がってしまうことを田代さんに指摘されていたので、意識して前に重心を持っていくことはできたかなと思います」

と、榛名山の山頂でまずまずの手ごたえを得た2人だった。

 

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富士ヒル前最後の実戦を無事ゴール! 成果も課題も見えてきた!?

 

富士スバルライン試走! 目標タイムにどれだけ近づいた!?

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富士ヒル本番の舞台、いざ富士スバルラインへ

これと前後して、富士ヒルの舞台である富士スバルラインの試走も何度か行った2人。まず、5月13日に行われたファンライドの「Mt.富士ヒルクライム試走会」と同日に2人も走行。この日は久しぶりに走るのでコース確認という目的が主だったが、それでも芦田さんはほぼ自己ベストの1時間24分で上った。

ハルヒル後も、2回の試走。途中、工事区間や駐車待ちのバスの後ろでストップする区間があったものの、それを差し引いたタイムで芦田さんは2本とも1時間18分前後にまとめ、だいぶ目標タイムに近づいた。

「走れば走るほどコースも覚えるので、タイムも上がってきました。ここでジェルをいれないと、という補給ポイントの確認もできた。やはり、補給したほうが心拍が落ちないですね。心拍はどちらもLT値内でおさまっていて、VO2Max(最大酸素摂取量の心拍域)まで上げてない。まだケイデンスも低いし、最後のパワーが足りないのはずっと課題ですね」

「ここからの3分は厳しいかな」と、本番に向けて多少の不安はあるものの、田代さんが作ってくれたローラー台と実走の練習メニューをコツコツと実践してきた成果は強く感じている。

「田代さんのメニューはすごい!自信がつきます。この3カ月間、30回のローラー、週1回の実走で約2000km、獲得標高は2万5000m。こんなに乗るのは久しぶりですからね」

 

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75分まであと3分とシルバーリングも射程圏に入ってきた芦田さん

コタカは、ハルヒル後1回目の試走は「忙しくて睡眠不足のまま」走って1時間28分。その数日後の2回目は自己ベスト1時間25分を上回る1時間23分と、こちらもトレーニングの成果を発揮。課題だった体重も、練習量が増えたからかここにきてぐっと減って65kgとなり、その相乗効果もあるようだ。また以前の富士ヒルでは毎回のように終盤に足が攣る感覚があったが、それがなくなったという。

それでも、まだまだタイムアップの余地はあるようで「心拍が上がり切れていないですね。前回4月の椿ラインのタイムアタックではVO2Max近くまで上がったけど、今回の試走ではそれより5ぐらい低かったです。睡眠不足等の体調のせいかもしれませんが、もうちょっと追い込める感覚はあります。距離が長いぶん、ペース配分が難しいですね。心拍には余裕があるけど、脚がいっぱいになってしまいそうで……」とのこと。なんとか、本番にベストの体調で臨みたいところだ。

 

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課題だった体重もようやく減ってきた、コタカ。自己ベストは更新できたが、ここからが勝負

 

芦田さんは、大会1週間前にもう一度スバルラインを試走して最後の追い込みをする予定。また「本番のスタート時間に合わせた生活をして、体をなじませたい」という。コタカは本番まで「油断して食べ過ぎないことを気をつけます(笑)。一週間前の土日は仕事で両日とも140kmぐらいずつ走るので、もう2kgぐらい体重を減らしたい」と、最後の追い込みがテーマだ。

 

<富士ヒル直前、気になることを最終チェック!>

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気になる疑問は田代さんが解決!

 

<スタート前のウォームアップはどうする?>

ここからは、富士ヒル本番で気になることを、田代さんに相談。まずはウォームアップについて。

コタカ「当日のウォームアップはどうしたらいいでしょう」

田代さん「富士ヒルの場合は、ウォームアップは難しいよね。朝は寒いし、荷物を預けたり、スタートで長時間並んだりといろいろあるから。ウォームアップ後に1時間何もしないと体は冷えるから。ギリギリで少し体をあっためる程度がいい。ローラー台で徐々に心拍を上げてLT走で2~3分、VO2Maxで1分、アップ、ダウンを含めてトータル30分以内。タイムトライアルのような細かいアップは必要ないです。終わったら、そこから身体が冷えないようにスタートギリギリまで上着を着ておく。預けられる人がいれば、薄いウィンドブレーカーではなく、厚手の暖かい上着を着たほうがいいです。脚も冷えると思ので、ウォーマーなども準備しておきましょう。とにかく身体を冷やさないことが大事」

コタカ「スタートから計測開始地点まで1kmありますが、どのようなペースで走ればいいでしょうか」

田代さん「その非計測区間の1kmでウォームアップは十分と考えてもいいです。インナーローで軽く回して、低い心拍で走りましょう」

芦田さん「ウエアはどうすればいいでしょう?」

田代さん「上るときはあまり着込みたくないけど、標高2000m超えると寒い。例えばウォームアップ用のマッサージオイルを全身に軽く塗っておくのも方法のひとつです。可能なら、本番前に試したほうがいいですね」

 

<雨が降ったときの対策は?>

コタカ「当日、雨だった場合は? タイヤ、空気圧など機材はどうすればいいでしょう?」

田代さん「季節的に雨の可能性は低くないので、雨の想定もしておいた方がいいですね。雨が降ると斜面から砂利などが流れてきてのパンクやグレーチングで滑るリスクは高くなります。前日に判断して超軽量タイヤから、パンクリスクを多少軽減できるタイヤに変更するのも手かと思います。ロードレースになるとダウンヒルもあり空気圧を0.5ほど下げることもあります。グレーチング対策でヒルクライムレースでも多少下げてもいいと思います」

コタカ「雨天時のウエアで気を付けることはありますか?」 

田代さん「雨だと気温は下がり、風も強くなる傾向ですのでウエア選びは難しいです。着れば着るほどウエアは雨を含み重くなってきます。軽量化を図りたいのに、重くなるという悪循環です。寒がりの人は、先ほども話した身体を温めるマッサージオイルなど使用するといいと思います。塗りすぎると熱くなりすぎたりするので注意も必要です」

「スタートすればヒルクライム中はあまり変わらないかもしれませんがクリアレンズのサングラスは必須です。周りを確認するためにも前走者の跳ね上げの泥水が目に入り続けると集中力も散漫になりかねません。あと雨で気温が低いとスタートまでにカロリーを消費するのでゼリー状の高カロリー補給食を持っていると安心です。ゴール後は濡れているウエアは体温を下げますのでアンダーウエア含めて全取り換え必須です」

 

<本番のペース、走り方は?>

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本番ではどのデータに注意すべき?

 

コタカ「本番はどんなペースでればいいでしょうか」

田代さん「最初から無理すると、後半ほとんど回復できない。スタートからドカーンと行く人も多いけど、それについていくとオーバーペースになる。計測開始から最初の10分は気持ち抑え気味にして、自分の心拍が上がるのを待つ。最初に他の人を見送るのは精神的にきついかもしれないけど、ここをどうやってこなすかで後半が変わります。前半はみんなのペースに合わせながらギリギリのタイムの仲間を見つけ、後半で抜いていくつもりでいきましょう」

芦田さん「ゴール前、約2.5kmの平坦区間は全開で行ったほうがいいですか」

田代さん「全開というより、心拍ペースで行ったほうがいい。風が強いときは、いい感じの列車を探してみんなと協力したほうがいいですね。富士ヒルは全体的に一定勾配だけど、前半やや勾配がきついところがある。そこで心拍を上げすぎずにやり過ごすイメージで、逆に勾配が緩いときに上げるほうがいいでしょう」

コタカ「レース当日も心拍を見ながらの走りになるでしょうか?」

田代さん「サイコンは心拍とケイデンスを中心に見て、スピードはあまり見ない。ケイデンスはシッティングで85回転、ダンシングで75回転ぐらいかな。シフトはこまめに変えた方がいい。とはいえ75分切りを達成するには、平均19.2㎞/hと結構速い。あくまで平均速度だけど、これを達成するには最低でも15km/h以下には落ちないようにしないといけないですね」

芦田さん「ゴール後にしゃべれなくなるぐらい力を出し切った、オールアウトになった経験がありません。周りを見ると、立てないぐらい追い込んでいる人もいるのに……。自分も力を出し切るためにはどうすればいいのでしょうか? そもそも出し切った方がいいのでしょうか?」

田代さん「頂上まで5分間ぐらいVO2Max強度に入れられてゴールすれば『出し切った』オールアウトに近い状態にはなると思います。ただ、それよりもトータルで『出し切る』方がいいかと思います。目標タイムの75分の比率を、ざっくりですがLT強度60分、VO2Max強度10〜15分の目安がいいところだと思います。LT強度中心で走りながらもVO2Max強度に入れて2分ほどで一度LT強度以下まで戻すなど、VO2Max強度が長すぎないこと、オールアウトに近い状態にならないことが重要です。ゴール前5分ぐらいでVO2Max強度で踏み切れれば、『力を出し切った』感じが強いかと思いますが、そこばかりにとらわれると最後の5分全力で行けたとしても結果的にタイムが悪かったなんてこともあるかと思います。無理して出し切ることを目指さなくていいのではないでしょうか」

 

そして最後に、田代さんから、芦田さん、コタカに最後のアドバイスとエールをいただいた。

田代さん「残すところ1週間ちょっとです。芦田さんは頑張り屋さんですので、大会ギリギリまで頑張りそうなのが心配です。しっかり回復することも本番に向けてのトレーニングです。高強度短時間トレーニングを中心に、大会前はしっかり回復をして本番に臨んでください」

「コタカさんは体重の心配がつきまとった3カ月でしたね(笑)。忙しくなかなかトレーニングに集中できなかったかもしれませんが、もともと力を出せるタイプです! 体重管理と体調をしっかり整えて本番に臨んでください。気負わず富士山と向き合い大会を楽しんでください。大会も後押ししてくれますよ」

2人のタイムも気になるところだが、富士ヒルに出走するみなさんも、残りの1週間、田代さんのアドバイスや2人のトレーニングを参考に最善の状態で本番を迎えてください!

 

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富士ヒルまで残りわずか! ゴール後もこの笑顔が見れるかな?

 


【PROJECT75 スケジュール】

3月
・週2回1時間の室内トレーニング
・週末の1~2日実走(上りTT含む)
・箱根・大観山ヒルクライム

4月
・前月と同様の内容(室内トレーニングメニューは前月より強度を上げる)

5月
・前月と同様の内容(室内トレーニングメニューは前月より強度を上げる)
・20日 ハルヒル参戦
・下旬 富士スバルライン試走

6月
・最終調整
・10日、富士ヒル本番!


 

 

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田代恭崇(たしろ やすたか)

04年アテネ五輪代表、01年、04年全日本ロード王者と輝かしい実績を誇る元プロロードレーサー。現在はリンケージサイクリング代表として、パーソナルコーチング、フィッティング、サイクリングプログラムの企画、スポーツサイクルのレンタルなど、初心者から中上級者まであらゆる人々の自転車ライフをサポートする。

 

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LINKAGE CYCLING

〒251-0032 神奈川県藤沢市片瀬4-14-4

TEL:0466-51-8497

http://linkagecycling.com/

 

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芦田昌太郎(あしだ しょうたろう)

俳優。富士ヒル90分切りの中級クライマー。表紙の女性モデルに惹かれ初めて買った自転車雑誌がfunride。以来、大会MCを務めるなど縁が続く。

 

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編集長コタカ(小高雄人)

本サイトの編集長。学生時代は陸上部で100m走に明け暮れた。そのスピード感からロードバイクに夢中に。負けず嫌いだが練習嫌いのためなかなか速くならない。

(写真/小野口健太、編集部)

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