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2018年04月24日

瀬戸圭祐の 「快適自転車ライフ宣言」6-5)どこでもドア!?輪行を極める!

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瀬戸圭祐の 「快適自転車ライフ宣言」 第6章:底なしの魅力!?ツーリングを徹底的に楽しむ

6-5) どこでもドア!?輪行を極める!

輪行はカンタンである。いろいろな小技を身に着け、慣れれば10分もかからずに完了できるようになる。目的地までのアクセスを交通機関などを利用して移動できれば、時間的にも体力的にも大きなメリットとなり、行動範囲と楽しみを広げることができる。ただし、慣れるまでにはノウハウの習得が必要である。ポイントとコツを掴んでスマートに輪行しよう。

 

<輪行は楽しみのフィールドを広げてくれる>

自転車のメリットは交通機関などを利用しての運搬が可能なことにもある。最近はいろいろな交通機関が輪行での自転車運搬に対応している。自分のニーズに応じて上手く輪行を活用すればフレキシビリティーの高い自由きままなツーリングを楽しむことができる。

ツーリングにおいて自宅から走っていく場合にはどうしても距離の制限が出てくる。目的地までのアクセスを輪行で移動できれば時間的にも体力的にも大きなメリットとなる。

輪行に時間がかかったり、抵抗がある場合には、片道は自走で片道は輪行するパターンから始めても良い。慣れてしまえば往復輪行で、楽しみのフィールドがドンドン広がっていく。

 

<輪行袋は縦型がお勧め>

輪行袋にはいくつかのタイプがある。ここでは鉄道での輪行を前提として、考察してみたい。(なお、飛行機での輪行は、後日に次章で詳しく述べるので今回は割愛する)

最もお勧めなのが「縦型」輪行袋である。これは、前後輪を外してフレームを挟んでパッキングし、リアエンド部分とサドルを底辺にハンドルを上にして自転車を立てて収納するタイプ。リアディレーラーを保護するリアエンド金具を使用する必要があるが、最もコンパクトに収納でき、電車内での占有スペースが小さく自立もしやすい。輪行袋本体も軽くて小さくなる。

次に「横型」輪行袋。逆さ輪行袋とも言い、前後輪を外しハンドルとサドルを底辺にして自転車を逆さにして収納するタイプ。エンド部分が上になるためリアエンド金具は不要。収納時の高さが低いので、身長が低い方でも担ぎやすいが、縦型タイプよりは横幅が大きいため、車内で邪魔になりやすく、先頭か最後尾車両の運転席壁際などに置くことが推奨される。

お勧めできないのは、前輪のみ外し後輪は外さずに収納する輪行袋。JRの車内持込手荷物の大きさの規定が、縦・横・高さの合計が250センチとなっており、このタイプはそれを超えてしまうため、規定違反となる。車内への持ち込みを拒否される可能性もあるので、これは避けたい。仮に持ち込めてもデカイため邪魔になり、他の乗客に迷惑をかけるリスクが高い。

 

<小技がポイント!快適輪行術>

一般的に輪行する機会が最も多いのは鉄道である。また、使用者が多い「縦型」輪行袋のケースで快適輪行術を考えてみよう。ちなみに横型輪行袋の場合も、ポイントやコツは共通しているので参考にして頂きたい。

  1. 適切な輪行作業場所を確保する。
    駅の改札口からあまり遠くにならない範囲で、人通りの多い場所を避け、他の利用者の迷惑にならない場所を探す。自転車を立てかけられる壁のある場所が便利である。点字ブロックはふさがないように配慮したい。自転車から下車する直前に、フロントギアをアウターに、リアをトップギアに入れておく。これはアウターギアの歯で輪行袋を破かないようにすることと、チェーンがバタつかないようにテンションを確保すること、そして後輪を外す作業をしやすくするためである。

  2. 付属品を自転車から取り外す。
    輪行袋、バッグ類、ボトル、サイクルコンピュータ、ライト類などの付属品を取り外しておく。但し輪行袋に入れる際に邪魔にはならず、運搬中も外れたり傷ついたりするリスクがないものはそのままでも構わない。
    外した付属品は、紛失しないように輪行袋の収納袋になどに入れてまとめておく。

  3. 輪行袋を収納袋から出し、固定用ストラップやショルダーベルト、リアエンド金具などを準備する。
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  4. タイヤの太いMTBやクロスバイクの場合、ブレーキのレリースを緩めるかワイヤーを外すなどしてブレーキを開いておく。ロードバイクでもホイールを外す際に、ブレーキが干渉する場合はレリースを緩めておく。

  5. 自転車を逆さにして自立させる。
    チェーンと反対側に立ち、チェーン側のフロントフォークとシートステイを持って自転車をひっくり返し、ハンドルバーとサドルを床に着けて、自転車を逆さに自立させる。

  6. 前輪を取り外す。
    前輪のクイックリリースレバーを開いてから、それを数回回転させて緩め、前輪をフロントフォークから外す。緩めるための回転数を決めておけば、組み立てる際に調整に手間取らない。
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  7. 後輪を取り外す。
    後輪のクイックリリースレバーを緩める。前輪のように回転させる必要は無い。そのままでは後輪は外れにくいので、リアディレーラーのスプリングシリンダー部分を、手で後方に押しながら、チェーンとスプロケットギアの干渉を避けるように、車輪を真上から右手後方上部に引き上げる。
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  8. リアエンド金具を取り付ける。
    リアエンド金具を付属の中空パイプにクイックシャフトを通して組み立てる。その際、金具とパイプで囲われた四角いスペースの中にチェーンを通すようにしておく。これはチェーンのテンションを高め、フレームと接触しにくくするためである。金具はサドルと平行になるようにセットし、動かないように強めに締めこんでおく。
    ちなみに、チェーンのテンションをとるのに太目の輪ゴムとクリップなどで、チェーンとブレーキ本体をつなぐ方法もある。このほうが金具とパイプの中にチェーンを通すよりラクで簡単だ。
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  9. サドルの後部とリアエンド金具で車体を立たせる。
    リアエンド金具が垂直になるようにサドルの後部との2点で接地させて立てる。ハンドルを左(チェーンと反対側)に切って、安定して自立するようにする。

  10. 左右クランクを水平にセット。
    輪行袋を担ぐ際、ペダルが身体に当たるのを避けるため、左クランクをリアディレーラー側に、右クランクをフロントフォーク側にセットする。

  11. 車輪がフレームを傷つけないように保護する。
    フレームと、車軸やスポークが干渉する部分にフレームカバーを巻き付ける。フレームカバーがない場合、車軸の部分をグローブや軍手などで覆っておく方法もある。両方を併用すれば更に安心だ。RIMG8653

  12. 前後の車輪を、フレームを挟むように立てかける。チェーン側にスプロケットを外向きにして後輪を置く。前輪は反対側に置く。ハンドルを左に切っているので、重たいスプロケットで左右の重量バランスを良くして自立しやすくするためだ。また、スプロケットでフレームをキズつけない対策でもある。その際、両車輪の中心がトップチューブとシートチューブがつながるコーナーに来るようにセットする。

  13. ストラップで車輪をフレームに固定する。
    最初に一番上の部分を、両輪でダウンチューブを挟むように仮止めして車輪が開かないようにする。次にリアエンド側を固定し、その後サドル側を固定する。3か所すべて仮止めしたら、上側から順番に本締めする。締め方が甘いと車輪が動いてフレームをキズつける恐れがあるが、車輪が歪むほど強くは締めないように。
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  14. 固定具合を確認する。
    しっかり固定されていないとフレームなどにキズがつく恐れがあるので、ストラップで固定したら、一度持ち上げてゆすってみる。ズレが生じるようなら締めなおす。

  15. 担ぎ用のショルダーベルトの片側を固定する。
    ボトムブラケット(BB:フレームの底の部分)と両チェーンステーの間にショルダーベルトの片側を通し固定しておく。

  16. 輪行袋を広げる。
    輪行袋を外側にめくるようにして広げ、底を出してきっちりと確保し、自転車を入れやすくしておく。袋の底はサドルとリアエンドを置く部分が四角く補強してあり、それぞれの置き位置を示す表示がある。
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  17. 自転車を輪行袋に仮収めする。
    底のサドルとリアエンドの置き位置の表示に合わせて自転車を置く。リアディレーラーやペダルなどに引っ掛からないように、下から輪行袋で自転車を覆い上げて行く。

  18. 担ぎ用のショルダーベルトのもう片方を固定する。
    片側をボトムブラケット部分に固定したショルダーベルトを、輪行袋の中ほどの該当部分にあるベルト通し穴に内側から入れて、外側に出す。ベルトのもう片方をヘッドチューブを巻くように通して固定する。
    担ぎ用のショルダーベルトは、その両端をクランクやブレーキなどではなく、必ずフレーム本体に固定する。
    そしてショルダーベルトの長さを調整しフロントフォークのエンド部分にひっかけておく。そのくらいの長さがちょうど良い担ぎ具合となる。
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  19. 自転車を輪行袋に完納する。
    袋を上まで持ち上げて、ショルダーベルトを外にしてチャックを上げる。巾着紐の場合は、ショルダーベルトと輪行袋の巾着部分のストラップが絡まないように注意して締める。
    ハンドルなどが上手く入らないこともあるが無理やり詰め込まない。下部で引っ掛かっていることもあるので、良く見て布地の張り具合を整えながら丁寧に袋詰めする。
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  20. 小物類を入れる。
    ヘルメットやバッグ、取り外した小物類などを輪行袋の中に入れる。ハンドルとフレームの間のスペースや、チェーンステー周辺の隙間などを上手く活用するのがポイント。重たいバッグはバランスを良く考えて、自転車がちゃんと自立するように入れる場所を決める。無理に入れなくても良いが、荷物はひとつに纏めたほうが便利である。
    なお、袋からハンドルやフォーク、ペダルなど車体の一部だけでも出ているとJR規定の違反になる。突起物は引っ掛けや怪我のリスクになるため、全てを完全に袋の中に入れる。
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  21. 作業場所を確認する。
    輪行袋をしっかりと閉めて梱包が終わったら、作業場所に小物などが残っていないか確認をする。意外と忘れ物が多いのだ。ショルダーベルトに肩を入れて担ぎ移動する。大荷物のため、周りの人々に迷惑にならないよう良く注意をする。

組み立ては、概ね梱包の逆のステップとなる。車輪の装着ができればとくに難しいことはないが、面度なのは輪行袋やストラップ類を畳んで収納袋に入れる作業である。きちっとコンパクトに畳まなければ上手く入らないので、丁寧に収納しよう。
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袋の中の空気を抜くように端から丸めていくとコンパクトに畳める

 

<絶対条件!周りに迷惑を掛けない!!!>

輪行の際に最も注意すべきは、一般の乗客に迷惑をかけないことである。自転車を分解して袋詰めにする作業も、まずは他の人々の通行の妨げにならない場所を選ぶ事が大切だ。輪行作業は場所を取る。輪行袋を無造作に広げたり、周りにバッグや外したタイヤなどを放置したりするような事がないようにコンパクトに行うように心がけたい。また、輪行作業は多くの人目を引く。見苦しくないように身だしなみにも注意して周りに不快感を与えないこともマナーである。

移動も周りに配慮する。自転車とバッグや荷物を担ぐとトータルでは10Kg以上となりMTBなら十数Kgになる。実際にそれら全てを持って歩くのは結構大変である。階段の昇り降りなどは慣れなければ段差にぶつけたりもする。フラフラ歩くと周りの人にぶつかってしまうリスクもある。もしエレベーターがあれば利用したいが、あくまでも身障者やご老人、妊婦の方々などが優先であることを忘れないように。

電車の乗り降りは、周りの人と接触するリスクが高まりとくに注意が必要だ。ラッシュ時はできるだけ避けたい。車中では自転車が倒れたり動いたりしないよう、ストラップなどでしっかり固定して、輪行袋のそばを離れないようにする。とにかく他の乗客の方の迷惑にならないよう、しっかり配慮しよう。

 

<電車内での置き場所>

他の乗客の邪魔にならない場所にしっかり固定するのが最低限のマナーである。電車内での置き場所は次がお勧めである。

● 先頭か最後尾車両の運転席/車掌席との壁際。

この場所がベストなので、できるだけ先頭か最後尾車両にする。

● 特急列車などのデッキスペース。

人の乗降や通行の邪魔にならない場所に置く。

●特急列車などの車両最後列座席の後方スペース。

事前に座席指定が取れる場合、車両最後尾のシートを確保すれば、座席後ろのスペースに置ける。
隣に座る乗客のリクライニングに支障をきたさないように気を付ける。

●車椅子用の座席の無いスペース。

車椅子エリアの利用者がいなければ、その片隅に置かせてもらう。
ただし、あくまで車椅子最優先であり、途中からでも車椅子の方がいらっしゃれば、必ず速やかに移動させ、直ちに譲らねばならない。

●縦型輪行袋などの場合は車両乗降口の横も可。

上記場所が確保できない場合は、車両乗降口横に置かせてもらう。他のお客様の乗降の邪魔になりやすいので、スペースを取る場合はなるべく先頭か最後尾車両にする。

なお、多くの自転車がひとつの車両に集中すると、他の乗客に迷惑をかけるリスクが高まる。数人の仲間で乗車する場合は、先頭と最後尾車両などに分かれて乗車し、人数が多い場合はひとつの車両にかたまらず、数人ずつ車両を分散して乗車するようにしたい。

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先頭か最後尾車両の運転席/車掌席が置き場所としては最適。先頭と最後尾は乗降客も少ない場合が多い

 

<クルマでの輪行はラクチン>

ツーリングでの自転車の運搬にクルマを活用すれば機動力が高まる。袋詰めの必要も無くカンタンに車内に積み込める。交通機関を使ったアクセスでは近づけないようなディープな場所へもクルマなら難なくたどり着けて、美味しい楽しみのコア部分だけを走ることも可能である。

時間的にも自由である。輪行では地方の奥深い場所では鉄道やバスは本数が限られておりその時間に拘束されるが、クルマなら何時でもOK。出発も早朝であろうが深夜であろうが縛られない。ただし都会からの脱出やリターンの場合は渋滞のリスクがあるので、時間帯を工夫して上手く避ける必要がある。

荷物は鉄道や飛行機などの輪行ならば必要最小限で極力軽くコンパクトにするが、クルマなら余裕で好きなものを持っていける。例えばライドの後に入る温泉セットや飲食物、着替えやライドには携帯しない工具類、パーツなどもクルマに置いておけば自転車に乗るときは、より身軽になりライドの後も快適に過ごせる。

 

<積み込みは工夫次第>

クルマへの積み込みは例えばステーションワゴンの場合、1台なら車輪をはずして車内に寝かせておけば良いが、フレームを立てて上手に積めば3-4台は入る。ポイントはフレームをまとめて先に積み込み、その隙間に車輪を入れていく事である。1BOXワゴンは余裕だ。後部座席をたためば車輪をはずさなくてもそのままで2-3台は入る。車輪をはずせば4-5台まではOKだ。セダンでも車種によってはトランクに1-2台は入る。後部座席や助手席も活用すればプラス1-2台は対応できる。軽自動車でも後部座席をたためば2台+2名の運搬が可能だ。複数の自転車の積み込みの注意点は接触によるキズ防止である。フレ-ムの間には古毛布やバスタオル、ビニールシートなどを噛ませたい。そして車体をベルトでクルマのアシストグリップなどにしっかり固定して倒れないようにする。

クルマ活用の場合、駐車場所に戻ってこなければならないという制約が発生する。コース設定は周回路もしくは同じ道を戻るピストンルートかその組み合わせとなる。しかし交通機関での輪行を組み合わせて使うだとか、クルマ2台以上の場合は1台をゴール地点にデポしておくといった方法でコース設定の自由度が広がる。また、クルマを伴走車として使えば荷物は積んで置けるし、有事の再にはいつでもクルマを活用できる安心感がある。
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古毛布などの緩衝材を用いれば、愛車に傷がつくのを防止できる

輪行は回数を重ねて慣れれば10分もあればカンタンにできるようになる。しかしそれまでは失敗も多いだろうし、やり直しも何度か経験するだろう。慣れてきたつもりでもフレームにキズをつけてしまったり、パーツを傷めたりすることもある。それは細かなポイントがきちっとできていない事に起因する場合が多い。正しくノウハウとコツを習得し、しっかりとマスターして快適なツーリングを楽しもう!

 

(瀬戸圭祐さんの「快適自転車ライフ宣言」は隔週火曜日掲載です。次回は5月8日(火)に公開予定です。お楽しみに!)

(写真/本人)


第6章:底なしの魅力!?ツーリングを徹底的に楽しむ

1)知らなかった!地域の魅力、日本の美しさ、メッチャあるある

2)とにかく始める、まずは半日、そして日帰り、宿泊ツアーへ

3)楽しみの創造!プランニングするほどにドンドン世界が広がる

4)うまうまグルメ、史跡に寺社巡り、山でも海でも、フィールドは無限大

5)どこでもドア!?輪行を極める!

6)軽くコンパクト!荷物と装備とパッキング技術!

7)オシャレだけではない。安全にも快適さにもアクセサリーは重要

8)センスが光る!ウェアラブルグッズで快適に!

9)快適ライドの決め手!暑さと寒さ、風と雨、上手につきあう

10)仲間が増えれば楽しさ倍増、ビギナーも安心、自転車は人をつなげる!

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