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2018年03月13日

瀬戸圭祐の 「快適自転車ライフ宣言」 6-2)とにかく始める、まずは半日、そして日帰り、宿泊ツアーへ

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瀬戸圭祐の 「快適自転車ライフ宣言」 第6章:底なしの魅力!?ツーリングを徹底的に楽しむ

6-2)とにかく始める、まずは半日、そして日帰り、宿泊ツアーへ

 

ツーリングは何キロ以上走らなければならないなどといった縛りは何もない。たとえ10 Kmでも20 Kmでも、楽しみを感じて自分が旅と思えるならばそれはツーリングなのだ。自宅の近くをチョイ乗りしたって、小さな感動と喜びを見つけることができる。少しずつ距離と行動範囲を伸ばし、自分のフィールドという感覚が広がっていくのは嬉しいものだ。自転車に乗ることが楽しく感じれれば、その延長線上にツーリングの醍醐味が待っているのだ。

 

<自分の街のチョイ乗りから>

初めてのツーリングとなると何かと不安になり、何処に何時に着かなければならないといった緻密な計画を立ててしまう人もいる。もちろんそれでも構わないが、いきなり大上段に構えなくても初めは自分の街のチョイ乗りで良いのだ。そして隣の駅まで、更にその隣までと足を伸ばしてみよう。意外に簡単に行けてしまい、なんだこんなに近いじゃあないか!といった小さな感動と喜びを得ることができるかもしれない。

幹線道路ではなく裏道や住宅街の中を抜けて行くほうがいい。素敵なお店を見つけたり、小さな工房やギャラリーがひっそりと隠れていたり、緑の気持ちいい通りがあったりと街の横顔に感激することもある。チョイチョイ乗るのだからあまり大げさに準備はしたくない。普段着でそのまま乗っても良いのだ。ただしズボンの裾は自転車用のべルクロテープなどで留めておこう。チェーンで汚れたり巻き込んだりするリスクはチョイ乗りでも同じだ。そして自転車を離れるときは必ずカギを必ず掛けよう。「ちょっとだからいいや」という隙を泥棒は狙っているのである。面倒くさくても2種類のカギで愛車を守ってあげよう。

 

<気になる場所をつないで行く>

ツーリングを計画する場合、まずは気になる場所や行きたいところを探してみる。スマホやネットで自分の街やその周辺を検索してみよう。公園、寺社、名所旧跡、美味しそうなレストランやスーパーマーケット、道の駅や住宅展示場なんかも面白い。街路樹や植え込みの花などの季節ごとの彩りも楽しみだ。候補が見つかればネットの地図の上で目標となる行きたい場所を定めよう。はじめは10km~20km程度の範囲で何ヶ所かの目的ポイントを決め、それを線でつないでいく。交通量の少なそうな道を選べば基本計画の完成だ。

コースを良く頭に入れて地図を印刷したりして持参し出発しよう。もちろんスマホやサイコンに行き先を入れてしてナビすることができればラクである。いずれにせよ、自分が今どこを走っているのかを認識しながら走ることが大切である。橋を渡っただとか、鉄道とクロスしただとか大通りを越えたといった各ポイントで現在地を認識していく。都会の風景は次々に変化があって楽しいし、確認のポイントも多いので初心者にはかえって走りやすい。ただし確証がなければ必ず地図やスマホなどで現在地を確認しよう。

最初の頃は折り返して同じコースを戻ると道に迷いにくく、所要時間も計算しやすくて、安心して帰ってこられるのでお勧めだ。同じ道でも視点の方向が変われば新たな発見が増えることもある。慣れてくれば周回コースを試して見よう。ピストンでも周回でもなく、思うままに自由きままに走ったって構わない。現在地さえ把握できていれば、どこに行っても迷うことはないのだ。

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住み慣れた自分の街も自転車で走ることで新たな発見に出会える

 

<距離と速度はゆる~く計画>

チョイ乗りを気ままに楽しめるようになれば、距離を伸ばしてみよう。20km~30kmだとか、山手線一周の距離である34.5kmなどは趣のある距離設定だ。ただ目標の距離を走ることや目的地点への到達にこだわる必要はない。途中で気に入った場所や面白いものをみつけたらゆっくりすればいい。写真を撮ったり散策をしたりと好きなように楽しめば良いのだ。それで時間が余計にかかっても構わない。計画通りでなくてもプロセスを楽しむのがポイントである。目的地は逃げないし、何回も同じ場所やコースを走ったっていいのだ。

筆者はジテツウを長年続けているが、毎日同じコースを走っていても季節の変化や人々の日々の営みの移ろいなどを感じることができ、ちょっとしたツーリング気分を味わうことができる。ツーリングは楽しんだ物が勝ちなのである。

コースプランニングでは初心者の頃は時速10km程度で考えれば良い。ママチャリでも走れる速度だが、信号で止まる事もあるし、景色を眺めたり面白いものを発見したり、写真を撮ったりとゆっくりと楽しみながら進める速度だ。自分のペースが掴めてコントロールできるようになればそれに合わせて走行速度の前提を少しずつ速めても構わない。ただし初心者がツーリングを楽しむのならばMAXは18km程度だ。それ以上だと普通の体力や一般的な脚力の人の場合は走るだけになってしまい余裕がなくなる。もちろんこれらの速度には休憩や食事の時間は含まれないので、別枠で時間を確保してプランニングしたい。

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余裕を持ったプランニングをし、疲れたら適時休憩を入れればよいのだ

 

<半日ランから日帰りツアーへ>

コースプランニングができて、走行中も自分の意の向くままにフレキシブルに対応できれば、20~40kmくらいまでの半日ランならば、自分の思うままに楽しむことができるだろう。

体力配分なども上手くでき、もう少し楽しみたいな、走れるなといった感覚を持つことができれば日帰りツーリングをしてみたくなるだろう。1日かけて走る距離は、例えばマラソンの42.195kmを目標としてちょっとした完走気分を味わうだとか、50kmをひとつの節目として目指すのもいい。しかしはじめはその程度をMAXとして十分に余裕を持つことが大切だ。

ルートは輪行しないのであれば周回コースが基本となる。上手く周回コースをとれなければ、同じ道を戻ってくるピストンルートを組み込んでも構わない、行きと帰りでは風景の見え方が随分違うのだ。また、行き止まりの道は交通量も少なく静かで走りやすい場合が多い。

ツーリングの良いところは誰もが行く観光地に行かなくても、人やクルマの少ない場所での自分だけの様々な発見や喜びを見出せることにある。もちろん自分の行ってみたい場所は大切にしたい。事前にその場所へのアクセスや入場可能時間、見るべきポイントや周辺情報などを含め、TELで確認したりネットなどで調べておけば良い。いきなり目的地に行っても開いていなかったり、閉鎖されていたりすることもあるのだ。また、クライマックスである最も行きたい場所は後半のゴール近くに持ってくれば、そこへ向けてのワクワク感を保持したまま楽しく走りつづけられる。

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日帰りツアーを組めるようになると、様々な発見に出会える

 

<日帰りツーリングは早出早帰りが原則>

ツーリングで何を優先するかは、その時々の状況に応じてフレキシブルに考えたい。自分の行きたい場所を巡っても、距離を求めても、標高差や峠を目標にしても構わない。ただしそれに捕らわれすぎて無理をすると様々なトラブルの要因となる。体力的にキツくなってきたり、天気や風向きが悪くなったり、そしてそんな時に限ってパンクやメカトラブルが発生するのだ。楽しむ事が最大の目的なのだ。そのためにはできるだけ時間にも体力にも余裕を持って、トラブルがあっても精神的な安定を保てるようにしたい。

とくに秋や冬になると日が短くなり、夕方から日没後は急速に気温も下がってくる。午後の3時から4時頃にはゴールできるようにプランニングしたい。春から夏の日が長い季節であっても5時以降のゴールは計画段階では避けるべきだ。日帰りツーリングは早出早帰りが原則である。早朝スタートで余裕を持つことに十分留意したい。

スタート直後はまだまだ元気で、気分も高揚気味なので速く走りがちだが、ここで体力を使ってしまうと後半が辛くなってしまう。前半で体力の3割程度を使い、後半で5割を使うイメージでペース配分する。残りの2割は有事やトラブル、体調や天気の変化などに備えて必ず残しておくのがポイント。距離的にも前半で全体の6~7割を走行し、後半は余裕をもって3~4割の距離を楽しみたい。それでもトラブルなどで時間がかかり暗い中を走らねばならない場合もあるので、ライトは明るいものをフロント/リアともに必ず常備しておきたい。

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予想以上に時間がかかり日暮れを迎えてしまう場合もあるので、ライトの装着は必須だ

 

<初めての宿泊ツーリングは、イベント参加がラク>

日帰りツーリングを満喫できるようになれば、宿泊ツーリングにも行ってみたくなるのは自然かもしれない。しかし宿の手配やプランニング、荷物の増加、家族の説得や予算など様々なハードルがあって躊躇することもあるだろう。日帰りツーリングで十分に楽しめれば、無理して宿泊ツーリングをしなくても構わない。日帰りでも宿泊でも海外ツーリングでも、あくまで自分の気に入ったスタイルで楽しめればそれで良いのだ。とは言え、あちこち行きたいという人間のDNAに刻み込まれた好奇心や探究心に素直に従えば、宿泊ツーリングでちょっと遠くまで足をのばしてみたくなるのが、サイクリストの性であろう。

ハードルが低いのは毎週末のように全国各地で行われている、自転車イベントに宿泊で参加することだ。とくに地方でのイベントは前日受付を行っている場合も多く、1泊2日のイベントも増えている。イベント参加にすれば、コースプランニングはお任せでも良く、増えた荷物も預かってもらえるので気軽に走れる。宿泊も含めたパッケージがあれば手配もラクだ。

もちろんソロツーリングを楽しむのも良いが、仲間と一緒ならば楽しみは倍増するだろうし、イベント参加で仲間ができるかもしれない。イベント参加だけでなく、その前後の日程でツーリングする楽しみも広がっているのだ。

 

<大人の週末ツーリング>

自分で企画しての宿泊ツーリングは世界がグッと広がる。見てみたい自然や文化、遺跡や造形物、走りたい道や峠、食べたいものや泊まってみたい宿、などなど自分の興味や欲望をひとつひとつ満たして行くのは、ツーリングの楽しさのみならず、人生の思い出としての喜びになるはずだ。昨今、社会人の中に自転車ツーリングにハマる人が増えている。毎日仕事に追われているビジネスパーソンにとって、仕事の重圧やストレスから開放され、運動不足を解消することは、週末の大きな楽しみでもある。

週末ツーリングは自分の行きたい場所に行って自分の力で走りを楽しみながら、その土地の魅力を感じるなど満足を得ることができる。気持ちよく汗をかきながら、澄み切った美味しい空気でエアロビクスを満喫し、景勝地の風景に感動する。宿では露天風呂に浸かって満天の星空を眺め、地酒や郷土料理に舌鼓を打って夢心地になる。肉体的にも精神的にも、仕事や日常の生活で溜まった不純物がキレイに浄化されて行くのを感じることができるのである。

慣れてくればメジャーな観光地ではなく、ガイドブックに載ってない素敵な場所を見出すこともできるだろう。地元の人から得た情報や自分のカンなどで、穴場や秘密のスポットなどを発見できれば内面から喜びが湧いてくるのだ。そんな大人の週末ツーリングを是非楽しみたいものである。

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四季の移ろいを感じられる日本はツーリングにぴったりなのだ

 

<1日100km超えを目指す>

ツーリングで少しずつ距離を伸ばせるようになってくると、1日100kmを走ってみたいという思いを抱く人は多い。慣れてくれば決して不可能な距離ではなく、目標達成意識がしっかりあれば誰でも実現できる可能性があるのだ。もちろん、いきなり100kmを目指しても疲れるだけである。50km、80kmと徐々に距離を伸ばしてステップを踏みながら目指すのがセオリーだ。

ただし100%の力で走り続けても楽しくないし、体力的にも精神的にも続かない。60~70%程度の力で余裕を持って景色を眺め、走ること自体をゆっくり楽しみながら走るのがポイントである。ロードバイクならば巡航速度を20kmくらいで走れば、単純計算で5時間あれば100km走行できる。

ちなみに初心者のランナーがフルマラソンを走る場合、大体5時間が目安になるという。東京マラソンは3万数千人がフルマラソンに挑むが、初心者の参加者が多いこの大会でも完走率は96%というから、初心者の多くが5時間程度で完走しているのである。同様に自転車でも100kmを完走するのは、初心者でもちゃんとステップを踏めば決して困難な目標ではないのだ。自宅から往復で100kmを目標にすると片道50kmぐらいの距離ということになる。

東京から50kmといと八王子や横須賀、飯能や成田などといった、ある意味通勤圏内にある場所だ。多くの人が通勤している距離を行くと考えれば何となくできそうな気がするだろう。同じ道を引き返せば自宅までの距離も認識しやすく、現在地と目的地が頭の中で明確になっていれば精神的にも随分ラクになるのである。

成功のポイントは1日中ペダルを回し続けることではなく、むしろ何度も休憩をはさんでのんびりと走ることである。通勤している人の距離と考えて、通勤の感覚で休みながら走ってみると、案外ラクに走れてしまうのだ。1日100km乗れる自信がつけば、ツーリングで楽しむ世界がかなり広がる感覚を持てるだろう。ツーリングは距離を目指すものではない。しかし距離を目指すことで達成感を感じ自転車に乗ることが楽しくなれば、そしてそこに少しでも旅を感じることができれば、それはツーリングなのである。

さぁ自分のツーリングを始めよう!

 

(瀬戸圭祐さんの「快適自転車ライフ宣言」は隔週火曜日掲載です。次回は3月27日(火)に公開予定です。お楽しみに!)

(写真/本人)


第6章:底なしの魅力!?ツーリングを徹底的に楽しむ。

1)知らなかった!地域の魅力、日本の美しさ、メッチャあるある

2)とにかく始める、まずは半日、そして日帰り、宿泊ツアーへ

3)楽しみの創造!プランニングするほどにドンドン世界が広がる

4)うまうまグルメ、史跡に寺社巡り、山でも海でも、フィールドは∞

5)どこでもドア!?輪行を極める!

6)軽くコンパクト!荷物と装備とパッキング技術!

7)オシャレだけではない。安全にも快適さにもアクセサリーは重要

8)センスが光る!ウェアラブルグッズで快適に!

9)快適ライドの決め手!暑さと寒さ、風と雨、上手につきあう

10)仲間が増えれば楽しさ倍増、ビギナーも安心、自転車は人をつなげる!

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