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2018年02月27日

瀬戸圭祐の 「快適自転車ライフ宣言」 6-1) 知らなかった!地域の魅力、日本の美しさ、メッチャあるある

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瀬戸圭祐の 「快適自転車ライフ宣言」 第6章:底なしの魅力!?ツーリングを徹底的に楽しむ

6-1) 知らなかった!地域の魅力、日本の美しさ、メッチャあるある

 

日本は世界的に見て、サイクリングやツーリングを最も楽しみやすい国である。コンパクトに様々な自然や風景が凝縮されており、歴史や文化も趣が深い。大陸に比べてどこに行くにもアクセスがラクでインフラも整っている。こんな素晴らしい国に住んでいるのだからその幸運さを有効活用して、どんどんツーリングを楽しまなきゃモッタイナイ!?

 

<サイクリングとツーリング>

ツーリングの具体的な話に入る前に、ちょっと整理しておきたいのが、サイクリングとツーリング、ポタリングなどの定義である。明確に定められているわけではないが、混同を避けるためにも大まかな認識を共有しておきたい。

まずはサイクリングである。これは自転車に乗る事すべてを網羅する一番大きな傘の概念である。 cycleは「自転車に乗る」という動詞であるが、その名詞形がcyclingである。つまりツーリングやポタリングだけでなく、ママチャリでの買い物も競輪もサイクルサッカーも、広義ではサイクリングに属することとなる。個人的には自転車に乗って楽しいと思えれば、それはサイクリングと言えると思う。まぁ宅配便で自転車を使って仕事をしている人が、自分はサイクリングしているとは思わないかもしれないが、そう思えれば仕事も楽しくなるかも?

ツーリングは旅をするというtourという動詞の名詞形がtouringであるため、語源的には旅をすることを意味する。オートバイでもクルマでもツーリングは同じ意味であり、バックパッキングでも交通機関を利用してもツーリングなのである。明確な目的地があり、目的地迄の行程がツーリングと言うこともあるかもしれないが、特に目的地を細かく決めず、行く先々での情報や出会いなどによりフラフラと彷徨うような旅もツーリングなのである。

筆者の仲間には自転車で世界中のツーリングを続けている変態? もいるが、彼らにすれば人生そのものが旅であり、自転車とともに壮大な旅の魅力を求めツーリングを続けているのである(やっぱ変態かも?)。自分が旅を意識し、旅を感じるサイクリングならば、それがツーリングなのであろう。

ポタリングは同様に「のんびり散歩する」とか「ぶらぶらする」という意味のputterを語源とした言葉である。あちこちをのんびり気楽にマイペースでぶらつくサイクリングのことで、自転車散歩や散走などと言うこともある。美味しいものを求めてのグルメポタリングや、史跡名勝などを巡る観光ポタリングなど様々な楽しみ方がある。クルマや交通機関での移動では気づかなかった小さな路地を見つけて思わず入り込んだり、寄り道や回り道をしたりすることで思いがけない発見があったり、普段と違う新たな情景や気づきに出会えるのもポタリングの良さである。

サイクリングを始める場合に、自転車の種類やウェアーなどをあまり気にせずに、まずはやってみようと気楽にゆる~く楽しむのには、ポタリングはちょうど良いだろう。但し、誰でも気軽に楽しめるイメージだが、ポタリングと称した自転車イベントでも長距離を走ったり本格的なパスハンティングなどを含む場合もあるので、あくまでも主観の問題であることを認識しておきたい。

ライドやランという言葉も良く使われるが、Rideは乗る、Runは走る、でどちらも行動(動き)を示しており、ツーリングやポタリングに限らずトレーニングやイベントなどにも幅広く用いられている。セグメントもクリアではなく、定義は人それぞれということになるだろう。

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サイクリングとツーリング、そしてポタリング。それぞれの言葉を使い分けられれば、もっと自転車に乗るのが楽しくなるかもしれない

 

<自転車ツーリングの特徴>

自転車ツーリングの大きな特徴は、エンジンなどの外部動力を使わずに自分の力で旅するところにある。鉄道やクルマの旅では目的地に行くまでの、乗り物に乗っている時間は単なる移動となる場合が多い。しかし自転車ツーリングは目的地そのものよりも、そこへ至る過程を楽しむことに意義がある。点から点への単なる移動ではなく、それをつなげる線が旅になり、線の周りに広がる風景や様々な発見、人との交流や感動などを含めた「面」の旅ができるのである。

「面」のツーリングをすると、その土地がより身近に感じられて、自分の世界が広がるような気分になり、ほのかな喜びを覚えることができるのだ。ツーリングは、タイムを競うわけでもなく、ノルマがあるわけでもチェックを受けることもない。この先に何があるのだろうという興味や関心を原動力に、自分の力だけで好きなスピードで赴くままに進んで行く。この感覚はDNAに刻まれた、人類が生まれながらに持つ好奇心や探求心といった、本能を満足させてくれるのかもしれない。

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目的地を目指すだけではなく、その過程を楽しむことで思わぬ発見に出会えるのが自転車ツーリングだ

 

<ツーリングは自由に楽しめる>

自転車のツーリングは自由である。自分の好きなときに好きな場所へ行くことができる。電車やバスの時間に縛られることなく、疲れたら休めばいいし、止まりたいと思えば気軽に立ち止まっても構わない。気に入った場所ではゆっくりすればいいし、体調や天候の変化があればコースを変えても止めてもいいのだ。観光シーズンでもクルマの様に渋滞に悩まされることもなく、自分の時間を自由にフレキシブルに楽しめるのも魅力のひとつである。

もちろん距離や獲得標高などの目標を定めてツーリングをしたって構わない。目的を果たしたときの何とも言えない達成感もツーリングの嬉しさである。自分の立てた計画にしたがって、それを自分の力で実地見聞しながら実現出来たという充実感にも浸れるだろう。

一方、非日常感を味わうことを目的とする人もいる。自転車に無心で乗って目の前の道を 走ることだけに集中することにより、日常生活の煩わしさを忘れて「非日常」に浸るのである。自転車に乗ること自体に魅力を感じ、夢中になれるのも自由なツーリングの喜びである。

 

<地域の魅力発見>

自転車ツーリングの魅力は走りながら流れて行く景色だけではない。自然に触れながら、人工物の造形美にも心を打たれることもある。産業や経済活動を感じたり、突然思わぬところで産業廃棄物の処理場などに出くわすなど、社会問題に驚いたりもする。田んぼや畑、果樹園や花畑など人々の生活の糧となるフィールドからも、営みを鑑みることができるだろう。名所や史跡から歴史の匂いが漂い、江戸や明治の面影に出会うこともある。地域の記念館や美術館など様々な建造物や施設から、その土地ならではの文化を見出すことができるかもしれない。

美味いものや名物料理などを探すのも楽しい。走り進むエネルギー補給をしながら、クルマや電車の旅よりも、きっとより美味しくいただくことができるはずだ。何度も来ている土地のはずなのに、知らなかった道、知らなかった場所に次々と出会って驚きと感動を覚えたりもする。

自転車ツーリングはクルマでは速すぎて気が付かない様々なことを「面」で捉えることができ、徒歩よりも機動力があるため、より多くの情報を得ることができるのだ。ツーリングの楽しみは訪れた土地の魅力を発見することにもある。

 

<日本の自然は素晴らしい>

日本列島の自然は、スケールの大きさでは大陸にかなわないかもしれないが、狭い国土に山・川・海・湖などが凝縮された変化に富んだ国である。地形だけでなく植物などの多様性、生命感にあふれており、世界的に見てもとても素晴らしい。

筆者はこれまでに世界60カ国以上を訪問し、欧州に住んでいたこともあり、何百回も空の上から地球を眺めてきた。じつは地球は自転車でツーリングするには変化に乏しい、単調で広大な土地が大半を占めている。もちろんアルプス山脈やロッキー山脈などといった、壮大な自然を満喫しながらツーリングできるフィールドも多々ある。しかし日本のように日帰りや週末でアクセスして手軽に楽しめる範囲に、様々な自然がそろった国土をもつ国はあまりない。日帰りの軽い装備で、雪をかぶった山々を見ながら海岸線を走り、食料調達やトイレにも苦労しない国は他には無いのだ。

南北に長くのびる日本列島は寒帯から亜熱帯の多種多様な、様々な自然に恵まれている。日本の森林面積は国土の67%で世界でもトップクラスであり、どこに住んでいても緑豊富な自然に親しむことができる。長く複雑な海岸線は、波に浸食された磯浜や断崖、砂浜や干潟、港や工業地帯など変化に富んでいる。島々の数は6~7千にも及び、世界でも有数の多島国なのである。日本は峻険な山々と豊富な雨量のおかげで渓谷美に恵まれ、滝もあちこちにある。ちなみに、大陸では手軽に「滝」を見ることができない場所がほとんどである。日本は決して広くはない国土に、アクセスが容易な多種多様な自然環境が凝縮されている、世界的にも非常に恵まれた美しい国なのである。

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多様な自然を楽しめる日本でのツーリングは近年海外からも注目を集めている

<日本の四季を愛でる>

日本の自然の美しさは単に地形的に恵まれているだけではない。四季折々の自然の変化がはっきりとしているのも日本の特徴である。同じ場所でも春夏秋冬それぞれに、景色も趣も異なった表情を見せてくれる。

日本人は桜好きであり、各地に桜の名所がある。街中でも里でも、寺社でもお城でも、山でも川でもいろんなところで桜を愛でることができる。ツーリングでのお花見ライドは日本ならではの楽しみかもしれない。

新緑も森林が多い日本においては、いたるところで新鮮な芽吹きと萌黄色を満喫することができる。温帯地域に位置する日本には常緑樹と広葉樹が多く、針葉樹が多い欧米などに比べて新緑をよりヴィヴィッドに感じることができるのだ。

日本の紅葉は世界有数の美しさである。そもそも紅葉は北半球の温帯地域以外ではあまり見られず、そのほとんどは紅葉ではなく黄葉である。英語には紅葉という単語が無いのだ。日本は紅葉する落葉広葉樹の種類が世界で最も多く、赤や黄色やカーキ色と常緑樹の緑の彩豊かなコントラストを生み出すのである。

雪が多いのも日本の特徴である。日本海側の山岳地域は世界有数の豪雪地帯である。雪化粧や残雪に輝くの山々の景色を、日帰りのアクセスで気軽に楽しむツーリングができるのも日本の気候のおかげである。

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桜から雪壁まで四季折々の風景を楽しめるのが日本の特徴だ

<歴史と文化がツーリングパラダイスを支えている>

「自然のもの全てには神が宿っている」という日本古来の世界感は、日本の文化の源になっている。山々にも森にも村や街にも、いたるところに有る祠や鳥居、道祖神などから歴史を感じることができる。それらを祀る精神が育んだ日本人の文化は、ツーリングをする上での有形無形の心地よさにつながっている。自然に対しての崇拝する気持ちは、清潔を美徳とする意識のベースになっている。日本を訪れた外国の人から「日本人は夜中にこっそりと皆で街の掃除をしているんじゃないか」と疑われるほどに、日本の街は海外に比べてゴミが無く綺麗である。

農耕文化を基盤として村々で助け合って生きてきた民族は、旅人にも寛容な文化を生み出した。コンビニに行けばトイレは使えるし、補給食も入手できるだけでなくATMでお金を引き出すサービスまで充実している。食に対する思い入れが深い文化のおかげで食べ物も美味しく、コンビニなどでの食事も海外に比べて非常にレベルが高い。海外にもコンビニはあるが、日本のサービスは極めて高品質なのである。

また、他民族に侵略された歴史を持たない日本人は、銃器で保身をするニーズも無く、世界でも最も高い治安レベルを維持していて、日本中どこでも安心してツーリングを楽しむことができる。相対性理論で有名なアインシュタイン博士は、次のような言葉を残している。

「私は地球上にこのように謙虚にして品位ある国民が存在することに深い感銘を受けた。私は世界各地を旅行してきたが、いまだかつて、このような気持ちのよい国民に出会ったことがない。日本の自然や芸術は美しく、深い親しみを覚える」

自分が生まれ育った国の様々な環境は、当たり前のこととなって自覚しにくいかもしれない。しかし世界的に見て、我々はこんなにもツーリングを満喫するに素晴らしい国に住んでいるのである。地球人としてこの恩恵を享受し、ツーリングを思いっきりエンジョイしよう!

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瀬戸合峡で愛嬌を振りまく筆者(瀬戸)。お後がよろしいようで

 

(瀬戸圭祐さんの「快適自転車ライフ宣言」は隔週火曜日掲載です。次回は3月13日(火)に公開予定です。お楽しみに!)

(写真/本人)


第6章:底なしの魅力!?ツーリングを徹底的に楽しむ。

1)知らなかった!地域の魅力、日本の美しさ、メッチャあるある

2)とにかく始める、まずは半日、そして日帰り、宿泊ツアーへ

3)楽しみの創造!プランニングするほどにドンドン世界が広がる

4)うまうまグルメ、史跡に寺社巡り、山でも海でも、フィールドは∞

5)どこでもドア!?輪行を極める!

6)軽くコンパクト!荷物と装備とパッキング技術!

7)オシャレだけではない。安全にも快適さにもアクセサリーは重要

8)センスが光る!ウェアラブルグッズで快適に!

9)快適ライドの決め手!暑さと寒さ、風と雨、上手につきあう

10)仲間が増えれば楽しさ倍増、ビギナーも安心、自転車は人をつなげる!

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