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2017年08月01日

瀬戸圭祐の 「快適自転車ライフ宣言」 4-5) 安全第一!交差点、幹線道路の走行テクニック

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瀬戸圭祐の 「快適自転車ライフ宣言」 第4章:ジテツウで、毎日をヴィヴィッドに、豊かな楽しみを!

4-5) 安全第一!交差点、幹線道路の走行テクニック

 

本年5月1日に、国として自転車の活用を推進することを定めた「自転車活用推進法」が施行された。その内容は1月に、「号外版)自転車利用に市民権!「自転車活用推進法」って何なの?」(http://funride.jp/serialization/jitensyalife15/)で説明したが、ざっくり言うと、国民の健康にも環境にも優しい自転車の利活用を国レベルで推進しよう! という法律であり、自転車通勤もますます奨励されるだろう。安全で快適な自転車走行空間の整備も進み始めているが、より安全に、より快適にジテツウを楽しむための市街地の走行テクニックについて考えてみたい。

 

<道路交通法は理解されているのか……>

自転車に関する道路交通法を完璧に理解し、遵守している人はほとんどいない。「第1章 第3項 複雑怪奇な自転車交通ルール」(http://funride.jp/serialization/jitensyalife03/)にて述べたが、自転車交通ルールそのものが複雑怪奇で世の中にちゃんと認知されていないのである。

例えば曲がる時には必ず手信号を出す事となっている。交差点でハンドルから手を離しながら右折や左折に臨むのは、交通量が多い場所や歩行者がいるところでは決して安全だとは言えない。しかしこれを行わなければ道路交通法違反となり罰則もある事になっているのだ。ちなみに警察官が自転車で曲がる際に手信号を行っているのを見た事は無い。このような不可解な交通ルールに加え、道路標識や路面表示に戸惑う事もあり、何処をどう走れば良いのかわからないケースも多々あるようだ。

 

<違反者にはクルマよりも厳しい処分>

自転車での走行は歩行者と同じ感覚のままの人が多く、どこでも歩行者と同様に自由に走れると勘違いしているのかもしれないが、大間違いである。自転車は道路交通法第2条で荷車や馬車と同じ軽車両として扱われている。

当然守るべきルールがきっちりと明文化してあり、これに従わなければ違反切符を切られ、罰金を支払わねばならなくなるだけではない。検挙されて赤切符を交付された場合は、略式起訴されて刑罰が科されれば前科がついてしまう。

クルマには交通反則通告制度というものがあり、軽微な違反は青切符で反則金を納めれば前科はつかないが、自転車での違反にはこの青切符という猶予措置はなく、いきなり行政処分が科される赤切符を切られる事となる。つまり自転車の違反はクルマよりもずっと厳しい処分になり得るという事である。

 

<車両としてルールを守る>

自転車に乗っている人の多くが道路交通法を充分に熟知しているわけではなく、対歩行者でも対クルマでも事故の場合は自転車側に何らかの違反がある場合がほとんどである。とくにスポーツバイクでのジテツウは注目度も高く、マナー遵守を徹底し、他の皆様の模範となるように心がけて走行していただきたい。

自転車の通行帯については、道路交通法第17条で「歩道または路側帯と車道の区別がある道路においては、車道を通行せねばならない」「道路の左側を通行しなければならない」とあり、車道を走らなければならない事が明記してある。

歩道は一部の例外を除き、自転車での走行は道路交通法違反なのである。心構えを「原付バイクに乗っているつもり」で道交法を遵守して走行すれば、違反はおこさない。

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道路上では、クルマとの譲り合いの精神を持ち、サイクリストのお手本となりたい

 

 

<主な道路交通法違反と罰則>

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<手信号とドライバーとのアイコンタクトが大切>

走行中は手信号で自分の意思をしっかりとアピールする必要がある。とくに交通量の多い道では、クルマに対しての意思表示を明確な形で行うことが両者にとっての安全に繋がる。手信号の前に、まずは後方を振り返り、クルマの有無や距離を確認する。これはクルマに対しても、うしろを気にしているという意思表示になる。左右に曲がる場合はそれぞれの方向に腕を横にまっすぐ伸ばす。

道交法では手信号はクルマのウインカーと同様の扱いで、曲がりきるまで手信号を続けなければならないが、カーブの片手運転は危険でありおすすめしない。事前にしっかり意思表示をして、周りに認知してもらえば、両手でハンドルをしっかり持って安定を確保しながら曲がるほうが安全である。

前方の駐車車両や障害物を避けて車道側に膨らむ時は、右手を斜め下に伸ばし後のクルマに向けて「パスするぞ! 来るな」と掌を開く。逆にクルマに先に行けという場合は右手を上または斜め上に上げてボールを投げるように軽く前後に振る。

どの場合もはっきりとした大きい動作がクルマとのわかりやすいコミュニケーションとなるので、躊躇せずに行い、運転者に確実に認知してもらおう。

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手信号ははっきりと。まわりに自分の意思を伝えよう

 

<信号待ちからの発進は要注意>

信号待ちでは大型車の横は、死角になり左折に巻き込まれる危険があるので避けるべきだ。また、交差点手前で右折待ちのクルマがあれば、後続の直進車は必ず左に寄って来て自転車の走行ラインにかかってくるので前方のクルマのウインカーには注意をしておきたい。

反対側車線から右折車が来る場合、こちら側車線の直進車の陰になって右折車からは自転車が認識されにくい場合がある。とくに片側二車線以上の場合、右折車は加速してスピードが出ている場合があり事故の際には被害が大きくなる。

信号待ちで通勤オートバイの軍団に囲われることがある。前に出ても追い越されるだけなので、後ろにつくのが得策だ。発進直後のオートバイの軍団の後方は排ガスがスゴイので安全を確保しながら少し距離を置いたほうが良いだろう。

信号などで停止する前にギアを数段以上軽くしておくと、安定したスムーズなスタートができる。仮に重いギアのまま停まってしまったら、その場でペダルを回してギアを軽くしておく。重いギアのままでのスタートは交差点でふらつきやすく危険である。停止直前にフロントギアをインナーに落としておくのも良いだろう。

スタート時は左折のクルマに要注意だが、事前にクルマよりも前に出ておいて、信号が変われば左折車にアイコンタクトをしてから先に行ってしまう方法もある。

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すぐに抜かれるのでオートバイの前には無理に出ないようにしよう

 

<信号通過の工夫>

信号にはできるだけかかりたくないものである。前方の信号に引っかかることが予想できれば、周りに注意しながらスピードをおとしてゆっくり徐行運転をしよう。つまり時間調整である。交差する道路の信号が赤のあいだに徐々にスピードを回復し、青になったら交差点を通過すれば足をつかずにすむ。体力消耗をおさえるエコ走法だが、交差点では安全確認に細心の注意をお忘れなく。

もし長い信号待ちとなったら手軽なストレッチでイライラを解消しよう。自転車にまたがったままでも、手や腕、首のストレッチは可能であり気分のリラックスにもなる。また、黄色ではなるべく停車したいが、ブレーキが間に合わず交差点に突っ込まねばならない際には反対車線からの右折車に注意する。相手も信号の変わり目で急いでいるので事故が多い。

 

<路線バスとの競合は避ける!?>

路線バスも場合によっては悩まされる。停車中のバスを追い越すのは面倒だし、追い越してもまた抜き返される。その際にあのでかい図体で幅寄せされることもあり、抜きつ抜かれつには参ってしまう。信号などで早めに意図的に停まるなどしてタイミングをずらすなど工夫はできるが、一番良いのはバス路線を走らないこと。多少回り道でも裏道や住宅街を気持ちよく走る方が絶対にイイ!

一方、都会で4車線以上ある道路では時間帯によってバス専用レーンが設けられるところもある。そのレーンは自転車の通行が認められている場合もある。バスしか通らないので交通量が少なくなり走りやすいが、自転車通行がOKかを必ず確認し、あくまでバス優先となる事を認識して走行しよう。

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バス専用レーンは走りやすい場合もあるが、あくまでバス優先であることを自覚しよう

 

<大通りを効率よく交差通過する小技>

幹線道路などの大通りを横断する場合、信号の待ち時間が長く、何台ものオートバイが一緒に並んだりしてあまり快適では無い。ルートを工夫すれば回避できることもある。

1つの方法としては、幹線道路と鉄道がクロスするルートを探ってみる。幹線道路が鉄道の上を通っているところではその下の鉄道沿いに道があることが多くそこを通れば、信号が無い、または交通量も信号待ちも少なくなる場合が多い。多少大回りをしてもそのルートの方が気分良く走れる。東京なら、環七や山手通りなどでは鉄道とクロスする箇所が多々あり、そのようなルートが取りやすい。

また、幹線道路沿いには並行する交通量の少ない道がある場合も多く、そこを上手く使いたい。幹線道路とクロスする手前で、並行する道に入って進み、各ブロック毎にその交差点から幹線道路を渡る信号を確認して、青になるタイミングを見計らうのである。信号の待ち時間が無い、または少なくなる場所で幹線道路との交差点に臨むと時間的には効率が良い。

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幹線道路から一本入った道はクルマ通りが少なく走りやすいケースが多い

 

<路面の障害に注意して走る>

道路の左側を走行は絶対条件だが、道路端から60-80センチ位のアスファルトの端っこ辺りが適当である。あまり端に寄り過ぎると走行環境は悪くなる。ゴミやホコリ、砂が溜まって小石が浮いていたり、舗装の継ぎ目や排水溝があったりでハンドルを取られることがある。また舗装が古いとアスファルトの割れ目やくぼみ、水たまり穴などがあったりする。クルマのレーンのちょっと外側くらいが走りやすいスペースだ。

路上にもちょっとした障害物は多い。マンホールや交通標識のラインは濡れると滑りやすくなる。雨の降り始めはホコリが浮くのでとくに滑りやすい。これら障害物はそのリスクを認識することが大切であり、路面を良く見ての早期発見が最大の予防となる。

 

<夜間は必ずライトを点灯する>

ジテツウでは帰路は夜間になる場合がほとんどだろう。自転車は音も無くスーッとかなりの速度で動くため、暗い場所ではクルマにとっても歩行者にとっても非常に認知しにくい。夜に無灯火で走っていると自分からはクルマや相手が見えていても、相手にしてみれば音も光もなく、かなりの速さでスーッと近づく自転車にはなかなか気付かないものである。つまり無灯火はとても危険であり、道路交通法でも5万円以下の罰金となる違反行為だ。

従ってライトを必ず点灯し、道路利用者に自分の存在をアピールして互いの安全確保を行う必要がある。とくにスポーツバイクではスピードが出るため、夜間は早くから存在に気が付いてもらえるよう、より強烈にアピールすべく、できるだけ光度の高いライトを用いるようにしたい。夜間走行の安全確保のためには必需品である。

ライトの装着はハンドルバーが一般的だが、複数の場合には前輪のハブ軸用のアタッチメントであるハブライトホルダーを付ければ近くを明るく照らしてくれる。もしくは登山用などのヘッドランプも併用すると安心だ。そしてリフレクター(反射材)を自転車と身体にできるだけたくさん着けておきたい。

 

<ジテツウならハブダイナモが便利>

昭和時代には主流であったタイヤに押し付けて発電するダイナモは減少しているが、現代はハブ(車輪の中央部分)に発電機を搭載し、ライトを点けるハブダイナモが増えている。つねに発電しているが、抵抗を感じるレベルではなく、ジテツウだと毎日使うのでより経済性的だ。

LEDライトは簡易着脱式のモデルが多く、盗難防止のため持ち歩くこととなるが、ハブダイナモだとその煩わしさがなく、最近ではママチャリなどにも広く普及している。これは後付けできるオプションではないので、自転車購入時にハブダイナモ装着車を選ぶ必要がある。

 

<幹線道路以外でも気は抜かない>

住宅街や裏道、工場や倉庫街など交通量が比較的少ない道は幹線道路よりは走りやすい。しかし、住宅街の道路はドライバーにとって自宅が近くなって安堵感が出たり、通り慣れている道だったりで、ついつい気が緩んでいる事もある。また混んでいる幹線道路の抜け道として利用されていたりすると、先を急いで飛ばすクルマもあるなど、事故を引き起こす要因も多くある。

住宅街の交差点は信号が無い場合が多く、見通しが悪かったり、道幅が狭かったり、また歩行者と車を区分けするガードレールが無い箇所も多いので、安全の確認を怠ること無く、とくに信号の無い交差点では十分に速度を落として左右を確認しながら走行するようにしたい。

また、右左折する際には歩道側もよく確認して、歩行者との接触事故を起こさないようにしたい。とくに子どもや数人で歩いている中高生などは、突然に想定外の動きをすることがあるので要注意である。

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歩行者とは十分に間隔を空ける。ギリギリを通過しなければならない場合は声がけを忘れずに

 

<走行環境の改善に声をあげよう>

日本の都市部は欧米に比べ、自転車にとってはあまり良い道路環境ではない。行政は圧倒的な産業規模を誇る自動車を優先し、自転車は後回しにしてきたのだが、昨今の環境問題や健康志向を背景にした自転車ブーム、震災以降のジテツウの激増やそれらに伴う自転車事故の増加もあって、自転車行政が抜本的に見直され実施されつつある。

積極的に行政に働きかけた成果と自負しているが、全国で自転車レーンの設置が進みつつある。今回の「自転車活用推進法」の施行をきっかけに、社会的な自転車の優先度も上がってくるだろう。
ひとりでも多くの方々が行政に対して、パブリップコメントなどで積極的に声をあげて行くことが、将来の快適な自転車社会につながって行くはずだ。

 

 

(瀬戸圭祐さんの「快適自転車ライフ宣言」は隔週火曜日掲載です。次回は8月15日(火)に公開予定です。お楽しみに!)

(写真/本人)


第4章:ジテツウで、毎日をヴィヴィッドに、豊かな楽しみを!

1)自転車が毎日をイキイキさせる!

2)探究心に火が付く?ルート開拓

3)遠くてもあきらめない、ジテツウは楽しめる!

4)ジテツウ用バイクと必須アイテム

5)安全第一!市街地、幹線道路の走行テクニック

6)ミニマイズ!事故を事前に回避する

7)迅速に!交通事故での対応

8)確実に!盗難対策と自転車保険

9)自転車は社会を、未来を、地球を救う!

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