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2017年04月25日

瀬戸圭祐の 「快適自転車ライフ宣言」 3-7) 過言ではない! 天候が全てを左右する

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瀬戸圭祐の 「快適自転車ライフ宣言」 第3章:快適に走る、楽しく走る、ライディングテクニック

 

3-7)過言ではない! 天候が全てを左右する

 

快適に走る、楽しく走る、天候はそのためのもっとも重要な要素のひとつである。
どんなに華麗なライディングテクニックを身につけても、景色の良い素晴らしいコースであっても、大雨や暴風の中では、快適にも楽しくもなり得ない。
天候に関する情報をしっかりと入手し、自分で考え、分析して、より正確に判断することは、ライディングテクニックとともに、自転車を楽しむのに必要かつ重要なノウハウなのである。

 

<天候情報は1週間前から分析をはじめる>

日本は世界的にも湿潤な気候の国であり、雨季と乾季やスコールといった定型パターンはなく、雨は不定期に長くも短くも強くも弱くも、さまざまなパターンで降るのであって予測は難しい地域である。
しかし天気予報は多様なビジネスにも結びつくこともあって、近年その内容がどんどんと詳細になり、予報の範囲も時間も細分化されつつある。その精度も向上していてネットやスマホでいつでも最新情報を入手することができるようになった。
ツーリングにおいて天候はあらゆることに影響する非常に重要な要素であり、その情報は少しでも多いほうが良い。

ツーリングは週間天気予報のチェックからはじまる。
週間予報は変動することも多く、ツーリング予定日のその地域の予報とその変化を毎日ネットなどで確認する。目的地だけでなくその周辺の地域の予報とその変化もよく見ておく。2~3日前になれば1時間単位の予報が入手できるサイトも多く、それらを駆使して周辺地域を含めマクロとミクロの視点で確認する。
日々の天候の変化を見ていれば、当日はどの方向から何時ごろ晴れてくるのか、もしくは崩れてくるのかといった予測を立てることができるようになる。
しかし、どんなに多くの情報を入手し、しっかり分析していても予期せぬ変化があるのが自然現象である。1秒間に何兆回もの演算をこなすスーパーコンピューターの予測であっても、あえなく外れる事もあるのだ。
とくに山岳地域は細かな変化が起こりやすく、油断は禁物である。
ツーリング中も天候が怪しければ、休憩のたびにスマホの天気予報サイトにて最新の状況をチェックしておきたい。

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前もって天気予報をチェックしておけば、ツーリングの際の適切な装備を余裕を持って準備できる


 

<気候変動のしくみ理解する>

天気予報の基本知識として季節毎の大まかな天候のサイクルを理解しておきたい。

冬の間はシベリアから大陸性高気圧の寒気団がやってきて、いわゆる西高東低の冬型気圧配置になり日本海側は雪、太平洋側は晴れの日が多くなる。風が強い日もあるが年間を通じてもっとも晴れの日が多いのは冬の太平洋側である。寒さ対策さえしっかりすれば、ツーリングを楽しむのに雨の心配の少ない良い季節なのである。
春になると大陸から移動性高気圧がやってくる。この高気圧に覆われるとポカポカ陽気になりツーリングには優しい気候となる。ただし移動性というだけあって陽気は長続きせず2-3日で周期的に天気が変わるので天候の予測がとても重要となってくる。
4月や5月になれば移動性高気圧は勢力を増し、数日間好天が続くこともありベストシーズンとなる。
梅雨の時期になると、梅雨前線の微妙な動きで週間天気予報とは違った天候になる場合が多い。逆に言えば雨の予報でも降らない、または晴れることも良くある。この時期に上手く良い天気を掴めば、日が長く暑さも厳しくない最高のコンディションとなる。
天候予測のご褒美が最も大きいのもこの季節であり、経験と知識とカンをフル活用して臨みたい。

夏は太平洋高気圧に覆われて晴れる日が多いが、猛暑で熱中症のリスクもある。また、にわか雨や夕立が突然にやってくる場合もあるため、そのような可能性が高い日には天気予報のこまめなチェックが不可欠である。

9月は台風と秋雨前線の動きで、梅雨時と同様に週間天気予報が大きく外れることがある。秋雨前線が太平洋の南海上に押し出された後、10月以降は晴れやすく、サイクリングには絶好の季節となる。しかし春と同様に天候の変化も早い。「女心と秋の空」であり予測には細心の注意を払いたい。

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イベント選びの際も天気のサイクルを理解しておくと良いだろう


 

<降水確率をどう判断するか>

天気予報の降水確率はそれが50%以下の場合は実際に雨が降るのはそのパーセンテージよりも少なく、逆に60%以上だとそれ以上の確率で雨が降ることが多い。ただしこれは、週末毎に自転車やアウトドアを楽しんでいる小生の、何十年もの天気予報チェックからの経験値である。
もちろん50%以下でも降水確率はあるのだから安心はできない。
ひとつの目安はツーリング当日の天候が、下り坂か回復基調かである。下り坂ならばできるだけ早朝から楽しんで雨が早まった場合にはエスケープルートや輪行にて早めに切り上げる。回復基調ならばとりあえずスタンバイして雨が上がり次第出発すれば良い。
天候が回復するまでの待ち時間に、ツーリングできる残り時間での無理のないコースプランニングをしておけば良いのだ。
いずれにしても最新の予報をこまめにチェックすることが大切である。

 

<風を読む! 風向きと強さは疲労に直結する>

ツーリングの際の天気が雨ならば、中止したり途中で切り上げたりすることもあるが、風で中止をすることはあまりない。
しかし実際にツーリングをしていて、肉体的にも精神的にも最も大きく影響するのは風なのである。
自転車は言うまでも無く、風圧の影響が非常に大きい。とくに強い向かい風の中をえんえんと走るのは辛い思いがある。仮に気持ちの良い快晴であったとしても疲労度合いは大きくなって楽しさは減退してしまう。
坂道ならがんばって上り切れば下りの爽快感や景色が待っているが、向かい風には何もご褒美がなく心身ともに滅入ってしまうだけである。
そんな事にならないように天気予報では、風向きとその強さを充分に注意して確認しコースプランニングをしておきたい。
全てのアウトドアにとって天候は非常に重要であるが、とくに自転車は「風」というファクターを最も慎重に考えなければいけない。
向かい風か追い風か? その強さは? 時間帯での風向きや強度の変化は?
天気予報と天気図で大きな風の方向と強さを把握してコースプランニングをし、実際に走るときにも、風の変化には敏感になりたい。

 

<風の向きと強さを予測する>

天気予報には大概の場合、風向きとその強さの情報も提示されている。風向きは南西だとか東といった方角や矢印で示され、強さは3m/sというように1秒当たりの空気の移動距離、つまり風速何mかを表示している。まずはこの風速をチェックしよう。風速が1~2m/sであれば風向きがどうであれあまり影響は無い。しかしこれが5~6m/sを上回るようになると風向きが重要になってくる。進む方向がなるべく風下になるようにコースプランニングするのだ。北西の風が強いのであれば南東方向に進むようにルートを考えよう。もちろん風向きを優先して行きたいところへ行かないのは本末転倒な部分もあるので、多少の向かい風ならば我慢も必要である。

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風を読む力はレースでも生きるスキル


 

<風を読むカンを身に付ける>

天気図を読んで大きな風の方向と強さを把握する事ができれば、その後の予測も可能になってくる。
原則として風は高気圧から低気圧に向かって流れる。気圧差が大きいほど、つまり等圧線が立て込んでいるほど風は強くなる。
天気図上で日本列島に等圧線が2-3本しかかかっていない状況なら風は穏やかだろうが、4-5本以上になれば風向きには要注意だ。風は地球の自転の影響で北半球では高気圧から時計回りで吹き出し、低気圧に向かって反時計回りで吹き込んでいく。従って等圧線に垂直に吹くのでなく20~40度くらいの角度をつけて高気圧と低気圧を中心に回転するように吹くことを覚えておきたい。
しかし風は曲者である。つねに等圧線に沿って吹くとは限らず、太陽で熱せられて起こる上昇気流の影響や、地形によっても吹き方は変わってくる。追い風だったのが、食事をしているうちに向かい風に変わってしまうこともあるし、突然に強風になったり凪になったりもする。竜巻やダウンバーストといった極限の自然現象も風のイタズラなのである。
風向きが読みにくい時は空を見上げて雲の流れを見てみよう。その地域での大きな風の動きをおさえることができる。
ネットやスマホでの天気予報の風の情報を時系列で見るだけなく、等圧線を注意して風向きを考えながら見続けていると、風を読むカンが身に付きはじめ、高気圧と低気圧の動きや、地形や雲の動きなどを注視することにより、カンの精度が上がって行くのである。
ただし想定外に向かい風が強い場合などはコースを変えたり、途中で引き返すことも必要な選択である。決して無理をする必要は無い。

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雲や霧の動きで、風が吹く方向や強さがわかる


 

<海風、陸風、谷風、山風、いろいろある>

海から近い場所は海風と陸風の影響を受ける。
未明から朝のうちは陸が冷えており温度変化の少ない海のほうが暖かいため海に向かって陸風が吹く。しかし午後になると熱されやすい陸の温度がぐんぐん上がり大気が上昇したところに暖まりにくい海上の空気が流れ込んで海風が吹いてくる。
河川沿いのコースならばこの自然現象を上手く利用して朝は河口に向かって進み、午後は河口から上流に向かえば風は行きも帰りも追い風となる。とくに晴れて昼夜の温度差の大きな日は、海風が強くなることがあるので要注意である。
これと同様の原理で谷風と山風もある。谷風とは谷間から山の尾根に向かって吹き上げる風で昼間に太陽よって山の斜面が熱せられて起こる上昇気流である。
逆に夜から朝にかけては山の斜面や谷間が熱を放射して冷えるので、下降気流が起こる。これが山風で山の頂上から谷間に向かって吹きおろす。ただし山間部は木々や起伏などで風が弱まりやすくサイクリングへの影響は小さい。しかし山の稜線などを走る場合、とくにダウンヒル途中などは吹き上げてくる風や、突風に煽られる事があるので注意しよう。

雲や風の動きに注意する
谷風や山風の性質を理解しておくと、山間部をサイクリングする際の助けになる


 

<観天望気で現地現物判断>

雲の動きや変化などの自然現象をもとに天気を予測することを観天望気と言う。
日常生活の中でも天気図や予報を頭に入れつつ雲の動きや風の流れなどを意識して観察していれば変化のパターンを覚えやすく、観天望気の能力を向上させることができる。

雲

消えない飛行機雲は天候悪化の兆し
消えない飛行機雲は天候悪化の兆しだ


 

<天気のことわざも活用する>

言い伝えなどのことわざも科学的に正しいものが多い。例えば「カエルが鳴くと雨」と言ったことも、湿度の上昇にカエルが敏感に反応した結果であり、ちゃんと根拠のあるもので、是非とも天候予測に活用したい。

ことわざ

自転車に限らず、アウトドアにおいて天候はあらゆる事に影響する非常に重要な要素である。天候を予測し、変化を掴むカンを磨き、状況に応じた柔軟かつ適切な判断で行動する技術は、自転車やアウトドアのみならず、生活の様々なシーンに生かすことができる。この技術、身につければ一生役に立つのである。

過言ではない!天候が全てを左右する!!

 

(写真/小野口健太、本人)

 

(瀬戸圭祐さんの「快適自転車ライフ宣言」は隔週火曜日掲載です。次回は5月9日(火)に公開予定です。お楽しみに!)


第3章:快適に走る、楽しく走る、ライディングテクニック

1)ビシッと決める、乗車ポジションとフォーム

2)心臓と肺で走る!ペダリングの極意

3)こまめなシフティングが快適ライドのコツ

4)ラクに上る、坂を楽勝でこなす方法

5)テクニックの差が出る!下りを速く安全に!

6)悪路走破の快感で、MTBにハマってしまう!

7)過言ではない!天候が全てを左右する

8)疲れない走り方

9)身体と自転車と家族と、アフターケアが大切

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