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2017年02月28日

瀬戸圭祐の 「快適自転車ライフ宣言」 3-3)こまめなシフティングが快適ライドのコツ

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瀬戸圭祐の 「快適自転車ライフ宣言」 第3章:快適に走る、楽しく走る、ライディングテクニック


3)こまめなシフティングが快適ライドのコツ

 

<心臓と肺で走るために>

前回の連載で、心臓と肺で走るペダリング(http://funride.jp/serialization/jitensyalife17/)について書かせていただいた。
心臓と肺で走るのに重要なのがシフティングであり、どうすれば一定の心拍数と呼吸数を保ちつつ、仲間としゃべりながらでも快適に走行できるかを、シフティングのノウハウから考えてみたい。

自転車走行におけるシフティングは速く走ることが主目的ではなく、刻々と変わる走行環境に対応して身体への負荷を少なくし、より効率的なペダリングを行うためのものである。路面状況や走行環境、平地や登り下り、向かい風などの天候、体調や疲れ具合などさまざまに変化する状況に合わせて、脚への負荷を変えることなく、一定のケイデンスを保ち続けるためのテクニックなのだ。
きめ細かくスムーズに対応できれば、呼吸や心拍数も一定に保てるようになる。

 

<人間のパワーを最大限効率よく使うために>

クルマやオートバイなど原動機の付いた乗り物の場合、ギアによる変速は通常、原動機の回転数を減速してトルクを増すのだが、自転車の場合はギアによって回転数を増速(加速)してトルクを減少させて進む。
つまり人間のパワーは原動機よりもはるかに小さいため、それを上手に増速してある程度のスピードを確保するのである。最終アウトプットの推進力を発生源から減速して調整するよりも、小さな力を増速しながら調整するほうが、微妙で細やかな操作が必要になる。クルマやオートバイなどの変速数は一桁レベルであるが、スポーツバイクの場合は通常十数速から30速以上まで多数あるのは、わずかな変化にもきめ細かく、ヴィヴィッドに対応するためなのである。

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路面の変化に応じて小まめなシフトチェンジをしていくことで、より効率的なぺダリングにつながる


 

<ギア比を理解する>

まずはギア比についてしっかり理解しておきたい。
48Tx16Tといった表記を見ることがあるが、これは前のチェーンリングのギア歯数が48枚、後のスプロケットのギア歯数が16枚という意味である。このギア設定の場合、前のギアが後のギアのちょうど3倍のためギアレシオ(ギア比)は3.0という事になる。つまり足を1回転させた時に車輪が何回転するかという指標であり、この場合は3回転となる。数値が小さいほど軽いギアということになる。MTBなどは1.0未満から3.5程度のワイドなギアレシオ(ワイドレシオ)設定となっており、山道のシングルトラックなど変化の大きい路面状況や走行環境に幅広く対応できる設定になっている。ロードバイクは2.0以上から4.0程度のクロスレシオ設定になっている。基本的に舗装された道路を快走することを前提としており、小さな変化にも細やかに対応しやすい設定である。

但し、車輪の大きさによって(26インチ/27インチ等)同じギアレシオでも進む距離が違うので注意が必要だ。特に20インチなどの小径車の場合は、例えばギア比が3.0の場合でも27インチに比べて進む距離がずっと短くなるので、その分、より高いギア比の設定にして、足への負荷と一定のケイデンスを保ち続ける必要がある。

<参考:ギア比テーブル(MTBの例)>

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数式=前ギア÷後ギア

 

<状況を読み、きめ細かくシフティングする>

ロードバイクの場合フロントが2枚とリアが10枚の20速程度が一般的であるが、20速をどのように組み合わせて使うかというのは、初心者には悩みの種かもしれない。クロスバイクやMTBはフロントが3枚の場合が多いので30速程度の組み合わせができるが、ベテランでもそれら全てを使いこなすのは容易ではない。

走行環境にこまめに対応した頻度の高いシフティング(ギアチェンジ)が効率的なペダリングには必須条件となる。レースの選手やベテランになるほどシフティングは高頻度になって行き、ツール・ド・フランスなどの選手では平均15秒に1回の頻度で変速するという。大まかなギア選びはフロントギアで行うのがビギナーには易しい。つまり平地ではセンター、上りではインナー、下りではアウターといった具合にフロントギアで対応し、それぞれの細かな微調整をリアギアのスプロケットで行う。

ギアを一段ずつ落としながら軽くし、ちょうどいいなぁと思えるところから更に1-2段落としてみる。かなり軽く感じるかもしれないがそのぶん自然と回転数は上がっており、なおかつスピードは落ちていないはずである。グループで一定のスピードで走行している中でやってみれば良くわかる。重いギアを踏めば走行は安定しにくく、また膝など身体を傷めやすくなる。一方で、軽いギアで回転数を上げれば上げるほど血流が良くなり循環機能及び心肺機能向上にも結びつくのである。1分間に60-90回転ぐらいのケイデンスを目安にし、一定の軽い力で同じ回転数を確保するスムーズなペダリングをシフティングテクニックで実現したい。

状況に応じた目安のギアレシオとケイデンスは、27(もしくは26)インチの場合、概ねつぎのとおりとなる。

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<スムーズなシフティングテクニック>

シフトチェンジのタイミングは、ペダルに力がかかっているときはシフトしにくく変速機への負荷も大きくなるためNGである。両足が12時と6時の位置、つまり一番上と下にきた時がスムーズに行く。とはいえとっさの状況やタイミングが合わない時もあるが、そんな時はペダリングの力を一瞬抜いて、から回り状態にしてシフティングすれば良い。ベテランほど変速ショックのない滑らかでこまめなシフティングをするものだ。

リアギアもフロントギアもシフトチェンジはペダルに力がかかっていないタイミングで行うのだが、歯数差の大きいフロントギアのほうが初心者には難しい。とくにインナー(内側)からアウター(外側)へシフトチェンジするのはシフトレバーの操作にコツが必要だ。シフトレバーをぐっと押し込んだままペダルを軽く回し続け、チェーンがアウターに移動しはじめても操作しつづける。アウターにチェーンがすべて入ったと認識できてから指を離して完了となる。

フロントギアのシフトチェンジは歯数差が大きいので、足にかかる負荷や回転数にも影響が大きい。それを緩和するためには、同時にリアギアのシフトチェンジも行うのである。
つまり、フロントをアウターからインナーに落とすと同時にリアギアも2〜3枚トップ側ギアに落とす。逆にフロントをインナーからアウターに上げる場合には、同時にリアギアも2〜3枚ロー側のギアへ上げてやるのである。同時に滑らかに操作するのが理想だが、慣れなければギアを軽くする操作を少し早めに行う。フロントを落とす、もしくはリアギアを上げる操作を先に行い、ギアを軽くしてから適正ギアに調整して行くのが望ましい。

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両足が12時と6時の位置での変速が理想


 

<アップダウンのシフティングテクニック>

坂道では登りに差し掛かる直前にギアを落とし、ペダルが重くなる前に次々にシフティングしていく。重くなってからではシフティング機構全体に無理な力がかかってしまうし、何よりも足への負荷が一定レベルを保持できなくなる。
登り坂に入る前にフロントはインナーに入れて、それからリアギアで適正に調整していく。
先にリアギアを軽くしてしまうと、リアカセットの余裕がなくなった状態でフロントをシフトダウンすることとなり、トルクがかかった状態で変速せねばならず、リアギアでの調整も困難になる。
下りではペダルが空回りしないように、そしてチェーンのバタつきを防止するためにもアウターに入れてテンションを確保しておく。下り始めたらリアギアを徐々に重いギアに入れて行き速度に応じた調整を行う。下りでも加速が必要な場合に対応できるように、空回りしないようスタンバイしておくのだ。

下りからの登り返しの際には、なるべく下りのスピードを落としたくないので、アウタートップに近い状態でスピードを落とさずに、登り返しはじめる。2~3段リアを軽くしたところでスピードが落ちてくる前に、フロントをインナーに落として同時にリアを少し重くしてから、遅くなるごとにリアギアを軽くして調整しケイデンスを維持していくのである。
ただし、坂の距離が短くて一気に登れそうだったら、アウターのまま最後はダンシングなどで登りきる場合もある。

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下りからの登り返しでは、登りの距離に応じてアウターのまま走り切ってしまうのでも手だ


 

<ストップ&ゴーのテクニック>

街中のライドでは信号などによるストップ&ゴーのシチュエーションが頻繁にある。信号で止まる場合、停止前の減速時にあらかじめギアを軽くしておく。スムーズな発進ができるギアの状態にして止まるのである。私の場合はフロントギアをインナーに落としギア比が1.3程度(例えば34Tx26Tなど)以下になるようにリアギアを調整しておく。

交通量が多い場合など状況によってはシフトダウンができずに、重いギアのまま止まってしまうこともある。その場合ビンディングペダルであればフロントに加重してリアを浮かせればクランクを回してギアチェンジをすることができる。トップチューブをまたいだ状態で片足(通常は右足)はペダルの上においておく。フロントブレーキをかけハンドルを前方に押して後輪を浮かせた状態でペダルを回し、シフトダウンするのである。コツがわかればフラットペダルでもできるワザだ。

発進時は通常交差点に入るので、ふらつかないように軽いギアで回転を確保して安定を図る必要がある。ダンシングや急加速はせずに、ギアを1枚1枚徐々にシフトアップして、巡航速度まで加速するのである。
実はこの信号などでのストップ&ゴーはシフトチェンジテクニックを習得する良いトレーニングになる。走行負荷が大きく変わるストップ&ゴーをスムーズにこなすことが、上達に役に立つのである。

 

<チェーンをたすき掛けにしない>

チェーンはできるだけフレームのラインに平行に近いほうが良い。
フロントがアウターでリアがローや、フロントがインナーでリアがトップなどの場合はチェーンが斜めになってたすき掛け状態になる。無理な力がかかり、エネルギー効率も悪化するのでできるだけ避けたい。それだけでなく、スプロケットやチェーンの寿命を縮めることになる。
これを避けるため、他のギアの組み合わせで同様のギア比に設定することは可能である。
たとえばフロントアウター50Txリアがロー25Tとなっている状態と、フロントをインナー34Tに落としリアを真ん中あたりの17T にした場合、このギア比は両方とも同じになる。

50÷25=ギア比:2.00

34÷17=ギア比:2.00

前者がたすき掛け状態になっているのに対し、後者でのチェーンはフレームのラインに平行に近い状態を確保できているのである。
たすき掛け状態では、リアギアは一方通行にしかシフトができず、スムーズなシフティングもしにくくなるのである。
シフティングはギアと噛み合っているチェーンを脱線させて、大きさの違うギアに移動させるという、ある意味ストレスのかかる無理な操作である。
この操作をスムーズにきめ細かく行うテックニックを習得できれば、心臓と肺で走る滑らかなペダリングによって、効率良く身体にも良い快適ライドにつながるのである。

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チェーンはたすき掛けよりもフレームラインに並行の方がエネルギー効率が良い

 

(写真/小野口健太※一部月刊FUNRiDEの過去の写真を転用しています)

(瀬戸圭祐さんの「快適自転車ライフ宣言」は隔週火曜日掲載です。次回は3月14日(火)に公開予定です。お楽しみに!)


第3章:快適に走る、楽しく走る、ライディングテクニック

1)ビシッと決める、乗車ポジションとフォーム

2)心臓と肺で走る!ペダリングの極意

3)こまめなシフティングが快適ライドのコツ

4)ラクに上る、ヒルクライムのテクニック

5)テクニックの差が出る!下りを速く安全に!

6)悪路走破の快感で、MTBにハマってしまう!

7)過言ではない!天候が全てを左右する

8)疲れない走り方

9)身体と自転車と家族と、アフターケアが大切

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