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2018年10月26日

絶景は雲の切れ間から【第1回 伊豆スカイライン国際ヒルクライム レポート】

普段は自転車で走れない場所を特別に走れるというのは、サイクリストにとって大きな魅力だろう。

たとえば、アネスト岩田ターンパイクで開催されている箱根ヒルクライムや群馬県の万座ハイウェーを舞台とした嬬恋キャベツヒルクライム、青森県の津軽岩木スカイラインの岩木山ヒルクライムなど、年に1度だけサイクリストに有料自動車道が開放されて開催されるヒルクライムイベントは全国にいくつかある。

10月14日(日)に初開催された伊豆スカイライン国際ヒルクライムも、上記のイベントと同様に普段自転車では走れない有料自動車道、伊豆スカイラインを走れるプレミアムなヒルクライムイベントだ。関東方面から日本サイクルスポーツセンターに行ったことのある方なら、誰もが通ったことがあるであろう伊豆スカイラインは、天気がよければ抜群の眺望で、駿河湾や富士山の大パノラマを楽しめる。この道路を「自転車でも走ってみたい!」と思っていた方も少なくないはずだ。

本イベントのスタート会場は、2020年東京オリンピックの自転車トラック競技が開催される日本サイクルスポーツセンター内の伊豆ベロドローム横の特設会場。同日に伊豆ベロドローム内では、「TRACK PARTY 2018 in AUTUMN 」が開催されており、2つのイベントはコラボ開催という形がとられていた。

 

雨雲を掻き分け
虹がサイクリストを見送る

 

スタート前、ぶ厚い雲が会場上空を覆い、そこまで激しくはならないものの、パラパラと雨粒が落ちてくる。予報では徐々に天気が回復する見込みとなっていたが、雨のレースを覚悟した参加者も多かったよう。大会スタッフは口をそろえて「早く雨が上がってくれれば」と漏らしていた。

6:30を過ぎ、スタートセレモニーが進むなか、あれだけ雲が覆っていた空に奇跡的に晴れ間が見え始め、日本サイクルスポーツセンターから空に伸びるように大きな虹がかかった。6:45、いよいよスタート。大会MCの「強風のためスタートのバルーンアーチが立てられませんでしたが、自然のアーチ(虹)が皆さんを送り出してくれます!」なんて粋なコメントを聞きながら、約650名のサイクリストが、ウェーブごとに会場をあとにした。

本イベントでは、近隣住民に配慮がされ、計測スタートは、会場から約3.3km離れたところに設定されている。計測スタート地点までは、それぞれがゆったりしたペースで走っていき、上りが本格化する計測スタート地点から、ペースアップし、いよいよリアルスタート。

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先導車を先導に会場を出発する第1ウェーブの選手たち

 

峠のあとに待っている
極上のワインディングロード

 

伊豆スカイラインへは山伏峠から進入する。スタートから山伏峠ICまでは、約3.3km、平均勾配6.5%。序盤ではあるが、もっとも上り基調が続く区間であり、ここでがんばりすぎてしまうと、後半バテてしまうので、注意が必要だ。くわえて木々が鬱蒼としていて、景色はほとんど望めない。お楽しみは、山伏峠を攻略したあとということだ!

「山伏峠」と標識が掲げられているてっぺんまで来たらインターチェンジを右折して、伊豆スカイラインにジョイン。伊豆半島東部の山稜を通る有料道なので、山伏峠までとは雰囲気はがらりと変わる。なおヒルクライムと名づけられてはいるが、伊豆スカイラインに入ると上り一辺倒ではなく、アップダウンが頻繁に繰り返えされる。玄岳IC周辺にはダイナミックな下りもあり、年に1度かぎりのワインディングロード楽しんでいる参加者も多かった。

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山伏峠のてっぺんまでは、上り基調が続く

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山伏ICからいよいよ伊豆スカイラインへ!

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普段走れない有料自動車道を走れる貴重な機会だ

 

天気予報は裏切ることなく、空はだんだんと明るくなっていく。太陽が顔を出すと、汗ばむほどの天気。富士山こそ見えなかったものの、駿河湾や沼津の町並みは、コース上からはっきりと見えた。なかには「めっちゃ景色良い!」と叫びながら、走り去っていく参加者も。コース終盤、前方には再び虹がかかる。この日はとにかく虹に縁があるようだ。

熱海料金所の手前、計測開始地点から約15.3kmのところでフィニッシュ。後半は単純なヒルクライムではく、下り区間も多かったため、思ったよりもあっという間に終わってしまったという感想が参加者たちからは聞かれた。もっと走りたい、もう1本走りたい!なんて声も。それは来年のお楽しみに。

下山開始まではしばらく時間があったが、十国峠レストハウスが参加者の待機スペースとして提供されており、参加者限定の割引サービスも準備されていた。温かいものを体に入れたり、外に出て記念撮影をしたりと、下山までの過ごし方は人それぞれ。再び伊豆スカイラインを通りながらスタート会場まで戻ってきたころには雲ひとつない秋晴れが広がっていた。午後からは「TRACK PARTY 2018 in AUTUMN」のレースがスタートとなり、そちらの会場に移動した参加者もいたようだ。

単なるヒルクライムではなく、ヒルクライムロードレースといった感のある伊豆スカイライン国際ヒルクライム。今後人気になりそうな大会がまたひとつ生まれた。

 

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レース後半になると温かい日差しが差し込む場面も

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上り基調のフィニッシュ。最後の力を振り絞る!

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下山時間までは十国峠レストハウス内で待機できる

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レストハウスでは、参加者限定のサービスも

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下山後の会場では、完走記念品としてフィニッシャータグが贈られる。希望者は有料で名前や完走タイムを入れることも可能

 


チャンピオンクラス優勝 
岩島啓太さん

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エイジサイクルの店主で最速店長としても有名な岩島啓太さんが見事初代チャンピオンに輝いた。
「前から走りたいと思っていた伊豆スカイラインを走れるということで、エントリーが開始されてすぐに申し込みました。ちょっと天気が悪かったのが残念でしたけど、途中虹がかかったり、沼津の町並みも見れて気持ちよかったですね。やっぱり車から見る景色とはちょっと違う印象を受けました。今回は先頭集団にチームメイトが1人いて、彼が山伏峠で逃げたことで僕は後半に向けて脚を貯めることができました。伊豆スカイラインのアップダウンは自分の得意とするロードレースのようなコースレイアウトだったので、ペースの上げ下げで揺さぶりながら、最後は3名のスプリントで勝つことができました。うまく作戦がはまったかなと思います。タイムだけを見ると、一般29歳以下の部で出場していた森田さんの方が速かったので、ぜひ来年はチャンピオンクラスで一緒に走ってみたいですね」

 

伊豆スカイライン国際ヒルクライム 大会HP → http://izuhill.com/

 

 

 

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