記事ARTICLE

2018年08月31日

【第18回アジア競技大会(2018ジャカルタ・パレンバン)現地レポート】橋本英也がオムニアムで2大会連続の金メダル! 男子スプリントでも深谷友広が銀メダルを獲得! 

otherki180830_J2I8481

インドネシアで開催されている第18回アジア競技大会。自転車トラック競技4日目は、男子オムニアム、男子スプリント、女子3000m個人パシュートの決勝種目と、女子スプリントの1/8決勝までが行われた。

橋本英也(TEAM BRIDGESTONE Cycling)が出場した男子オムニアム。橋本は1種目目のスクラッチを8位でフィニッシュ。2種目目のテンポレースで2番目に多い26点を加算し、総合順位を4位で折り返した。3種目目のエリミネイションでは、落ち着いたレース運びで堅実に前方の位置をキープして、香港の梁峻榮との一騎打ちに持ち込むと、先行からのスプリントを勝利。この時点で暫定の首位に立った。最終種目のポイントレースは、4点差の梁峻榮とカザフスタンのアルチョム・ザハロフとの勝負となり、一時は梁に逆転を許すものの、再度逆転して金メダルを獲得した。
前回の2014年第17回仁川アジア競技大会に続き、2大会連続の金メダルとなる。

02_ki180830_J2I7336
3種目目のエリミネイションでは、ポイントごとに積極的に前に出てレースを作った

04_ki180830_J2I8173
最終種目のポイントレースは4点差のカザフスタンのアルチョム・ザハロフと台湾の梁峻榮との点差を意識しながらレースを組み立てた

01_ki180830_J2I8304
ポイントレースが終わり金メダルを確定させギャラリーの声援に応える橋本英也

03_ki180830_J2I8471
男子オムニアム表彰式。左から銀メダル・梁峻榮、金メダル・橋本英也、銅メダル・アルチョム・ザハロフ

総合成績
優勝 橋本英也(TEAM BRIDGESTONE Cycling)
2位 梁峻榮(香港)
3位 アルチョム・ザハロフ(カザフスタン)

 

06_ki180830_J2I7690
経験で勝るマレーシアのアウァンに負けたものの、成長も実感する銀メダルだった

05_ki180830_22I6687
男子スプリント銀メダルの深谷知広

男子スプリントには深谷知広(日本競輪選手会愛知支部)が出場。準決勝でマレーシアのSHAH FIRDAUS SAHROMと対戦し、2本先取して勝利し決勝へと進出した。決勝の相手は、昨日の準々決勝で脇本雄太を破ったマレーシアのアジズル・ハスニ・アウァンだ。圧倒的なパワーを武器に決勝まで勝ち抜いてきた深谷だが「自分の走りをさせてもらえなかった」と語るように、アウァンに2本先取され2位。銀メダルを獲得した。

 

09_ki180830_J2I5885
中村妃智は女子3000m個人パシュートで6位の結果を残した

10_ki180830_J2I6204
日本人同士の対決となった女子スプリント1/8決勝。太田(左)が前田(右)に競り勝ち準決勝に進出した

女子3000m個人パシュート予選には中村妃智(日本写真判定)が出場したが、3分50秒604のタイムで6位となり、メダル獲得はならなかった。女子スプリントは前田佳代乃(京都府自転車競技連盟)と太田りゆ(日本競輪選手会埼玉支部)が出場。それぞれ8位と9位のタイムで1/8決勝に進むものの、日本チーム同士の対決となってしまう。先行した前田をとらえた太田が翌日の準決勝進出に駒を進めた。


橋本英也(TEAM BRIDGESTONE Cycling)のコメント
otherki180830_J2I8481

スクラッチを8位でスタートしたが強いメンバーはわかっているので、弱いメンバーを逃がしてでも体力を使わないようにセーブして走った。次のテンポレースやエリミネイションで自分らしい走りができて、最終種目のポイントレースでも順位をキープして優勝できて良かった。ポイントレースがはじまるときに点差が少なかったが、ほぼ予想どおりのレースをすることができた。自分を含む上位3人がいて、ほかの2人がポイントを取るときは、点差が広がらないように気を付けた。自分がトップの5点を取れるときはしっかり取って、なるべく点差を詰められないようにして走った。相手にラップされて20ポイントを取られることも警戒しながらレースを作れたと思う。終盤で疲れているときにもポイントを取れるようにして、優位に立てた。前回も優勝しているが、あのときは7位スタートで、上位同士が牽制しあっているなかで3周抜かして60ポイント取って勝てた。前は運が95%のレースだが、今回は体力も見せつけて、レースを組み立てられた。いまは競輪選手になったが、自転車で公営競技として行っているのは日本と韓国くらい。日本で一番多いプロスポーツ選手でもあるし、すばらしいシステムだと思う。競輪も盛り上げつつ、自分のやっている中長距離のトラックやロードレースを盛り上げていきたい。東京オリンピックを目指しているし、アジア大会という大きな場で取材してくれるメディア多いので、自転車競技を知ってもらいたい。金メダルを獲ってこれからが勝負だと思う。今年はワールドカップでも金メダルを目指していきたい。


イアン・メルヴィン(JCFトラック中距離ヘッドコーチ)
男子オムニアムの橋本について、全体的にすごくよかった。最初のスクラッチレースだけはいくつかのミスがあったが、修正してその後のレースを走れた。テンポレースの前に、今回はアジア大会だがワールドクラスのレースを走るイメージで臨めと言った。
性格的に少し真剣さが伝わりにくいところがあるが、それを引き締めて勝ちに行くことを伝えた。ワールドクラスになりたかったら、それに合った内容のレースをするべきだ。
エリミネイションについては作戦どおりに実行できて結果も付いてきてワールドクラスの走りができた。ポイントレースはポイント差も少なく、ダッシュを繰り返すことで少タフだった。ポイントを取らなければならないときに取れたし、休むべきところでは休めて、さらに追い込むべきところでも追い込めた。これによってギリギリのポイント差でも金メダルを獲得できた。
女子3000m個人パシュートに出場した中村妃智について、彼女が望んでいたパフォーマンスを出すことができなかったのが残念だったが、ワールドカップに向けて筋力トレーニングを入れた疲れも出てしまっていたと思う。やるべきことをやってレースに臨んだが、パフォーマンスを上げることができなかった。これを続けていくことでワールドカップでいい調子で臨めるという期待をもっている。


深谷知広(日本競輪選手会愛知支部)のコメント

07_ki180830_J2I7776
決勝を戦ったアウァンとゴール後に肩を組む深谷

決勝に関して1本目はまあまあやれたかなという手応えがあったが負けてしまった。2本目も何回かチャンスがあったが、それを逃していた。これを反省点として次につなげたい。脚力自体は差はないか勝っていて、あとは経験とかそういうところだと思う。
アウァン選手はレースがうまくて、今回勝ち上がってきたなかで自分のレースをさせてもらえなかった。
昔やってはいたが長いブランクがあってトラック競技に戻ってきてから1年経っていない。高校生から競輪学校に入って、卒業した後くらいまではナショナルチームに所属していた。
競技から6~7年離れていたが戻ってきた理由は、新田(祐大)さんにドリームシーカーに誘ってもらったのがきっかけ。当初は、オリンピックを目指すなどは考えていなくて、ナショナルチームにいい刺激を与えられればいいなと思っていた。そのなかでやりたいことが新田さんとマッチして、自分のなかでの心情の変化もあって、オリンピックを目指すようになっていた。
自分自身復帰してから1年未満で、どの競技に合っているかもわからないので、何でもやりながら底上げして対応できるようにしていきたい。目指すのは金メダルだが、今回の銀メダルで自分の成長を実感できる部分もあった。この位置まで来られるとは思っていなかったこともあり、大会のなかでも成長している。金メダルを獲れる位置にいての銀メダルで悔しい思いはある。
(競輪との両立について)新田さんや(渡邉)一成さんも両立しているし、不可能ではない。みんなの背中を追っていやっていけば問題はないと思う。


ブノワ・ベトゥ(JCFトラック短距離ヘッドコーチ)

08_ki180830_J2I7899
JCFトラック短距離ヘッドコーチのブノワ・ベトゥと深谷選手

(男子スプリントの深谷選手について)金メダルを獲れなくてがっかりした気持ちはある。しかし深谷は短距離だからこその選手だと思うし、それを再確認できたことは収穫だった。
彼は(トラック競技に戻ってきてから)スプリントの種目に出るのは4回目で、初心者といえば初心者だが、優れた能力を垣間見ることができた。将来有望な選手といえるだろう。
今日負けた理由は経験不足によるものだ。ただし相手は百戦錬磨のアウァンで、深谷はこれまで積み重ねてきた経験を生かし、応用することはできている。言い換えると世界のトップレベルのアウァンに経験だけでしか負けていないということは、それをクリアすれば同じ位置にいけるということだ。
(女子スプリントの太田選手について)今のところは情けない。それ以上上達しないと、私たちのレベルを下げるしかなくなる。レベル的に足りていないのが現状だ。
パフォーマンスを出すためのトレーニングやスタッフといった環境も十分整えられている。だから選手たちにはどこかで反省してもらう必要がある。
自転車競技を始めてからの年月が浅い太田は、才能もあるし希望もある。ただし成長するまで10年待てるということでもない。ハイレベルを目指すなら、2~3年後には時々いい成績を出す必要がある。これから1年以内に才能を発揮してもらわないと間に合わない。

 

■結果 順位確定した種目のみ
男子スプリント 2位 深谷知広
http://tissottiming.com/File/0003100003010406FFFFFFFFFFFFFF02

 男子オムニアム 1位 橋本英也
 
女子3km個人パシュート 6位 中村妃智

写真と文:猪俣健一
関連URL:https://www.joc.or.jp/games/asia/
JCFホームページ  http://jcf.or.jp 

関連記事

記事の文字サイズを変更する

記事をシェアする

1,191 Views