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2016年01月10日

「ヘル オブ マリアナ」レースリポートby中村龍太郎 【中編】

ビーチロード1

いよいよレースがスタートした、HOM2015。引き続き、リベンジに燃える中村龍太郎さんの臨場感あふれる実走レポートをお届けします。


 

スタート直後から先頭集団は人数を絞られた

スタート後に2kmほど走ってすぐに折り返す。折り返し地点も先頭が折り返したところが折り返し地点という大雑把さ。コーンとか置いてない。向かい風だがそこまで強くない。まずはラストコマンドーを右手にスーサイドクリフへ向かう。韓国のチョウさんが積極的に先頭で牽く。風もあってか一列棒状に。チョウさんはここでふるいにかける気だ。その動きは自分も望んでいたので、上りに入って先頭交代。

このレースで一番キツイ勾配(18%ほど)の区間でアタック気味にペースアップ。350Wを目安に上り切りまで踏み切る。スーサイドクリフの頂上に到着する前に一旦大きく下るため、その時間は5分ほど。

頂上まで上り、折り返す。このHOMは折り返しの繰り返しでもあるので後続との差が確認しやすい。この時点で先頭は5人(台湾の3人とグアムのパトリック)。一気に下る。ここから先頭交代で後続を離す動きをつくる。しかし台湾の1人が先頭交代に意欲的でない。きれいな集団走行とはいえず、バードアイランドの折り返しで後続の集団が近づいてきているのがわかる。

グロットに入る分岐点で先頭の台湾の選手がコースミス。それもそのはず、誰も立ってないし、小さいコーンに矢印がちょびっとあるだけ。昨年も走っている自分でさえ思わず間違えそうになった。パトリックが自分の前で曲がったので気づけた。間違えた台湾の2名を待って、グロットで折り返し。折り返しということは自分が今まで下った道を上るということである。上りが先ならいざ知らず、下りが先だと憂鬱さに拍車がかかる。「Hell of」と言われる所以である(と勝手に思っている)。

バンザイクリフに行くまでの短い上り。ここでもアタックして台湾勢の様子を見る。3人とも余裕そうについてくる。パトリックが遅れてしまったが、ここで遅れるということは終盤まで残れないだろう。心を決め、容赦なく置いていく。これで台湾3vs日本1。このままいくと圧倒的に不利だ。しかしこのあとは平坦区間が続くのでおとなしく走る。バンザイクリフで折り返し。砂利が浮いているところにコーンが3つ。オイオイ。

ラストコマンドポストを左手に見て、島を南下。ここからど平坦。スタート地点のマリアナリゾートで声援を受け、4人でローテーションを回す。風向きは追い風だが、強くはない。4人の横をテレビ局を連れてきた台湾の車と中村さんの乗る日本の車が並走。ローテーションを回すがバードアイランドで先頭交代に参加しなかった選手(14番)がまたも後ろに付き位置。

一度下がって様子を見るとキツそうだ。暑さにやられたのか?自分は普段からサウナで鍛えているので暑さには強い。先頭交代しながらじっくりと相手の走りを見る。13番の選手が上半身が安定しており、ぺダリングにも無駄がない。そもそも日本にいる選手に似ている。勝手に「トヨカツ」と名付ける。もう一人の12番は「トガワ」。

3人でローテーションを回し時折4人目が入ってくる。台湾選手間で何か話している。蘇る昨年惜敗を喫したロシアンチームプレイ。アタックを繰り返されたらたまったもんじゃない。上りのたびにふるいにかけなければならない。まずは14番を落とそう。と決めていた。海岸線の平坦区間が終わり、飛行場へ入る道。上りで異常にペースが落ちたので、つい踏んでみる。アタックとみたのかトガワが反応。しかしすぐに「いや行かせよう」と緩める。

スーサイドクリフ

スーサイドクリフへの上り。この時点で先頭は5人。遠くにはマニャガハ島の姿も見える。

バンザイクリフ

バンザイクリフを折り返すと平坦区間へ。グアムのパトリックが遅れたため、3対1の人数的に不利な状況へ……。

 

半分を残して、独走態勢に

この後のコースレイアウトは短いアップダウン。長い上りならまだしも、短い上りなら頑張れる。風も強くない。48.9km地点で残り50kmほど。とか考えたのは後づけ。どちらかというと「こんの野郎!3人なら楽に捕まえられるってか!」と頭沸騰。何も考えずに踏んだ、527w。飛行場を過ぎて大通りに出る。差は20秒ほど。木々が鬱蒼と茂っているわけではないので後続は自分の姿が見えるし、自分も後続が見える。50kmなんて逃げたことねぇと気づく。

60km地点の短い上り。昨年アレックスがアタックした地点。自分は追わずにあとでファストが「あいつダチだから」って牽かなくなった思い出の地。ここで全力。上りきったら下りが待っているから。実際ここで距離が離れたのが勝因だったようにように思う。台湾の選手たちはコースを知らなかった。

65km地点のゴルフ場の折り返し。その前に長い下りがあるが、交通規制が間に合っていない。下りこそGOKISOが活きるのに!と思いながら車を捲る。折り返して後続を確認。3人で回している。目算で1分弱の差なので、まだまだ安心はできない。しかも今下ったところを上る……。後ろもつらいと信じて踏み続ける。

最後から二番目の折り返し地点(コースには8カ所も折り返しがある)キングフィッシャーへと。相変わらず入り口だけ道路が荒れている。サイパンは比較的道がきれいだ。昨年までおよそ何年続いたであろう工事が終わり、ベテランのイシムさんが喜んでいたが、このキングフィッシャーに入る地点の荒れた路面は直す気が無いようだ。そのほんのちょっとの区間が終わると綺麗なのに、なぜ。と恒例の疑問を抱きつつ、下りへ。

このキングフィッシャーに至る道は昨年路面が濡れていてまったく攻められなかった道。短いアップダウンなので下りの勢いそのまま上りたいところをロスしてしまった覚えがある。

今年は路面は乾いているが、相変わらずのブラインドコーナー。昨年よりは攻めれたが、後続と差が縮まっている気がする。折り返して3人との差を確認するけど縮まっているか広がっているかまったくわからない。余裕がなくなってきて後ろを車で走る中村さんにタイム差を聞く。逃げ続けるのも大変だ。保証がほしいのである。

「一分差!」と言われ、ホントかよ、と思う。自分で聞いといて何たる態度。申し訳ない。容赦なく照り付ける日光が首の後ろを焼く。ベタベタするけどCCDを首と足にかける。濡れるだけで違う。すぐに乾くけど。ここら辺のワットは300wを下回り、GARMIN見たくなくなる。こりゃ追いつかれるなと次第に自暴自棄に……。

ラオラオ高速コーナー

48.9km地点でアタックを成功させたラオラオの高速コーナー

(後編へ続く)


 

中村龍太郎

イナーメ信濃山形所属。フルタイムワーカーながら2015年度全日本タイムトライアルを制した、強豪レーサー。ロードレースのオフシーズンもシクロクロスレースに積極的に参戦し、年間出場レースは50を越える。Mt.富士ヒルクライム2015でも優勝を果たしている。

ヘルオブマリアナ http://www.hellofthemarianas.com/  (大会ホームページ)、https://www.facebook.com/HOMRace/ (大会フェイスブックページ)

写真提供:中村滋(マリアナ政府観光局)

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