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2016年01月06日

3モデル インプレッション VOL.7/ARGON18 NITROGEN(エアロロードモデル)

ARGON18 / NITROGEN IMPRESSION

アルゴン18が得意とするエアロダイナミクスを取り入れたロードバイク。そのうえ990gと軽量で、しかも独自のヘッドシステムをもっているなど、ユニークなバイクが多い中でもひときわ目立つ存在である。上位モデルにはボーラ・アルゴン18がグランツールで仕様したナイトロジェン プロ(フレーム重量はなんと833g!)が控える。

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■フレーム:HM6003カーボン■フォーク:オリジナルカーボンフォーク■試乗車のコンポーネント:シマノ・アルテグラDi2■BB:BB86■ホイール:ビジョン・メトロン55■完成車実測重量:7.0kg(ペダルなし)■カラー:ブラック×ホワイト■サイズ:XS(433)、S(487)、M(515)、L(567)C-T■価格:340,000円(フレームセット、専用シートポスト、専用ヘッドパーツ、専用内装バッテリーホルダー、専用ブレーキ前後、税抜)

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エアロロードだけに独自のエアロフォルムの3Dヘッドチューブを用いる。シフトケーブルはヘッドチューブ上面から収納し、リアブレーキケーブルもヘッド上部から挿入する。

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Vブレーキタイプのエアロブレーキはフォークのブレードと一体感のある設計。

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エアロフレームらしい豪快なハンガー部分。BB規格はプレスフィットBB86だ。

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翼状断面のシートチューブはリアホイールに沿ってカットアウトされる。

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チェーンステーはボリュームがあり、ややカーブしている形状。

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従来のロードバイクと同じ位置に配置したVブレーキタイプのエアロブレーキ。バックステイは細身ながらも縦方向に扁平している。


 

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まとまりがよいエアロフレーム◆菊地武洋

出自(しゅつじ)というのは実に興味深い。アルゴン18がタイムトライアル系バイクで高い評価を得てきたのは、目の肥えた自転車マニアなら一目瞭然だろう。理由は?と聞かれても明確に答えられないが、ナイトロジェンは立ち姿がしっかりとしているというか、まとまりがいい。結論は乗った後で判断するとしても、ヒトと同じで第一印象がいいのはアドバンテージだし、経験を積んでくると大きく予感は外れなくなる。ナイトロジェンの美点はハンドリングが極めて真っ当だということ。エアロバイクは空気抵抗を低減するためヘッドチューブ周辺が大きく、個性的なことが多い。ヘッドチューブ周りの剛性が高いのは歓迎すべきだけど、剛性バランスを失ってコントロール性が著しく悪くなったり、ワイヤリングが煩雑で空気抵抗を増やしているんじゃないの?と疑いたくなるモデルも少なくない。仰々しいスタイルのエアロバイクは、いかにも特別感があって魅力的に見える。しかし、乗りにくいバイクは徐々に乗る回数が減っていき、結果として高価な買い物になりがちだ。してみると、ナイトロジェンのような乗りやすさを最初に感じるエアロバイクは、それだけでも価値がある。ブレーキはVブレーキタイプとしては標準以上の制動力があり、フォークの剛性も必要十分なレベルを確保している。また、ボトムブラケットの位置を低くして、ペダリングの軽快感よりも安定感を優先しているのもいい。一般的なロードに比べると振動を身体に伝えてくるので、乗り心地は褒められるレベルじゃない。しかし、それがエアロバイクだ。

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キレのある走りが特徴◆小高雄人

エアロフレームながらフレーム重量900g台と軽量なので、平地だけでなく、上りもガンガン走れる。サーキットなど細かくアップダウンのあるコースでとくに威力を発揮しそうだ。全体的に剛性は高めなので、ついつい調子に乗って踏みすぎないように注意したいところ。ブレーキは専用のエアロブレーキを採用している。このブレーキのブレーキング性能に関してはあまり高くない印象を持った。キャリパーブレーキではなく、Vブレーキタイプを採用しているので、仕方のない部分もあるとは言えるが。アルゴン18の特徴である3Dヘッドチューブもエアロ化している。ハンドリング性能はエアロフレームの中でも高いと感じた。

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軽さとエアロダイナミクスが武器◆山本健一

エアロロードバイクはその翼状断面形状からどうしても質量が増えてしまう。造形を極めるためなら重量は諦めてもよい、という風潮があるが、このナイトロジェンは1000gを切るという実に軽く仕上げてきた。上位モデルのナイトロジェンプロともなると、軽量バイクに匹敵するような800g台となる。これはエアロロードバイクとしては画期的なまでに軽いといえる。空力と軽さを制すれば、スペック的にはまさに敵無しだ。しかしライディングフィールはどうだろう。いくら空力に優れていても、軽さに特化していても剛性不足や不要なねじれが生じてしまっては意味がない。ペダリングパワーを卒なくリアホイールに伝えてこそレーシングフレームだ。ナイトロジェンはその心配もない。軽やかに加速し、上りも下りも苦にしない。ペダルを回しても、トルクをかけてもレスポンスよくバイクが進んでくれるが、振動吸収性にかんしてはもうひとつ欲しいところ。個人的にはタイヤやホイールで好みの乗り味に調整がかけられる範囲であると思う。失礼ながらグラフィックこそ派手さはないが、メジャーブランドのエアロバイクと比べても決して見劣りしない性能を約束しよう。


(写真:和田やずか)

アルゴン18のお問い合わせ先 インターマックス お問い合わせフォーム

http://www.intermax.co.jp/

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